精霊魔法は使えないけど、私の火力は最強だった

SA

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7 帝国動乱編

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 質問の主はもちろんラウだった。

「できればな」

 ラウの質問に軽く答えるテラ。

「スヴェートに乗り込んだ方が、三番目とも接触しやすいし。『感情』が乗っ取っている人間を把握しやすい」

 テラの顔を見ると、何か確信があるような様子だった。ラウも私と同じように感じたのか、テラを問いつめる。

「誰の身体を乗っ取っているのかは、分かっているのか?」

 ここ、大事だよね。

 スヴェートに行ったって、ゼロからの捜索なのか、目星がついてる人間に接触するだけなのかで、だいぶ違ってくる。

「この人物ではないかと目星はつけているんだが、確証がない。直接、会って確認する必要があるんだ」

 テラは塔長にチラッと視線を向けて、小さく頷いた。それの合図になっていたのか、塔長が口を開く。

「スヴェート帝国の実質的な支配者である皇配。もしくは、ここ数年、公の場に姿を見せていない皇太子。このどちらかが怪しいと踏んでいる」

 調査の大半は塔長率いる情報室が担当したんだろう。
 第一塔の情報室。他の諜報との大きな違いは鑑定技能を持つ諜報だということ。技能を生かした人物調査は得意分野だ。

 塔長はスヴェート皇帝情報も付け加える。

「スヴェート皇帝も、体調不良で公の場には姿を見せていない」

 塔長は話を続けた。

「スヴェート皇女の身体を操って動いていたくらいだ。その身体もなくなった。いつまでも体調不良では、ごまかしきれないだろう」

 ふと思う。

 今まで会ったことがあるスヴェートの王族って、あのスヴェート皇女だけだったけど。
 そもそも、スヴェートの王族は何人いるんだろ?

 エルメンティアの王族も『エルメンティア』の家名を持たない人もいるし、王族関係って分かりづらいんだよねぇ。

「式典には各国の王族も参加する。スヴェートで開催となれば、王族は必ず、姿を見せる」

 私がふむふむと考え込んでいると、塔長がちょうどいい話を始めた。

「スヴェートの王族で、今、生きているのは皇帝、皇太子、皇姉の子ども二人、合計四人。皇姉の子どもは逃亡中で現在は行方不明だ」

 皆の視線がエルヴェスさんに向く。

「公式情報では」

 ハーァ?なんか文句ある?みたいな顔のエルヴェスさん。
 エルヴェスさんがスヴェート皇帝の姪って話は、周知の事実だったのか。

「つまり、正統なスヴェート王族で正式に王族として活動しているのは、皇帝と皇太子だけ。
 だから、この二人は必ず姿を現さないといけないんだ」

「そこを狙って確認をするわけか」

「確認は僕に任せてくれ。これでも赤種一の鑑定能力なんだから」

 これには上位竜種三人とも異論は出なかった。当然、私にも異論はない。

「あと問題なのは、クリシス・エルシュミットだな」

 テラが突然、開発者の名をあげた。

 テラの言うとおり、開発者は今までに様々なメダルを作って、スヴェートに提供している。
 魔物を召喚したり、人々を混乱させたり狂気に落としたり。

「『感情』に操られているとはいえ、エルメンティアに与えた被害は甚大。王族でもあるわけだから、責任はとってもらうようだよな」

「彼女を確保する上でも、スヴェート開催の方が接触しやすいよね」

「不利な点は、敵の本拠地に乗り込むから、いろいろ制限がかかることだな。行動や携帯する武具だとか」

「あらかじめ何か仕掛けられているかもしれないし、『感情』の力も強くなる可能性もある」

 皆が口々に話し出したが、この調子だとスヴェート開催で話がまとまりそうだ。
 完全にスヴェート開催前提で話が進んでいるし。

「だから、スヴェート開催にはエルメンティアの竜種と師団の協力や支援が必要となる」

 皆の話を聞いて、テラが締めくくる。

「通常開催にしても、俺たちの協力や支援は必要だろう?」

「スヴェートだと、より面倒で厳しくなるけどな。あそこはエルムの加護がない土地だ」

「それを言ったら、赤種の力だって弱まるはずだね。場所にもよるけど、スヴェートは豊穣のアグスが眠る土地だし」

 最後に、テラと銀竜さんがそれぞれの不安要素を口にした。

 二人の話からすると、スヴェートは赤種や竜種にとって戦いにくい場所になるようだ。
 土地にまつわる神様の加護は変えられる物ではないので、多少、不利な点は目をつぶるしかない。

「おい、ゴチャゴチャ言ってても変わらんだろ」

 私の隣で珍しく静かにしていたラウが、口を挟んだ。

「重要なのは『感情』の復活を阻止すること。先送りすればするほど、阻止が難しくなるんじゃないのか?」

 ラウの意見は間違ってはいない。

 一部が復活しているだけの今、封印をし直す必要がある。

「ああ、そうだ。なら、これで決まりでいいな?」

 テラはラウの言葉に大きく頷き、周りをぐるっと見回したのだった。
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