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〈九〉
しおりを挟む「ん、ぅ……っ」
ちゅう、と強めに唇に吸いつくと珠緒はもどかしげに甘く溜め息をついた。頬や耳だけでなく首すじもぬくもりが戻っている。もう寒くなさそうだ。大助はグレーのカーディガンとブラウスのボタンを外し、腕から袖を抜く。手早くたたみ、ローテーブルへ置く。がっちりときつく乳房をホールドするブラジャーのホックを外すと
はふ。
解放感からか珠緒は小さく溜め息をついた。しかし白のスリップの上から豊かなふくらみに触れると体を強張らせる。
「あ、の、胸は……やめて」
「痛かった?」
「そんなことは、ないけど……見られたくなくて」
珠緒の目が泳ぐ。
ふと、ローテーブルの向こうの悟と目が合った。こちらを悔しげに睨み涙を流す幼馴染みの顔を見ているとなんとなくではあるが
――余計なことを吹き込んだな。
察しがつく。
「じゃあブラジャーだけとってしまおう。楽になるだろ?」
「ん……」
珠緒はうなずくとスリップのストラップを落とし胸が露わにならないよう前を押さえながらブラジャーを引き抜き、また元どおりにスリップのストラップを肩に戻した。まるで欠点であるかのように隠すのが気になる。
――そんなに見られるのが厭なのか。
なぜだか分からない。大きくて素晴らしいおっぱいなのに。むしろ誇ってよい。
薄い布越しにおっぱいが透けているのに気づかないふりをして長いフレアスカートのファスナーを下ろし脱がせる。靴下を脱がせこちらも手早くたたんでおく。じっくり眺めたいのをこらえて大助は珠緒を後ろ向きにして膝に載せた。
「お願いがある」
バックハグの態勢で抱き寄せ髪を耳にかけ口づける。耳を愛撫され気まずそうにもじもじする珠緒がこちらを悔しげに睨む悟に気を取られているうちにたたみかけた。
「俺からは見えないから――おっぱい、さわってもいい?」
「でも……」
「痛くしないから」
「ん……」
それは分かっている、といいたげな珠緒の曖昧なつぶやきを肯定ととらえ、大助は背後から手を伸ばした。つるりとして薄い布につつまれたおっぱいを両掌で下からそっと掬う。
「ああ、すごくいい……」
思わず声がもれた。すばらしい手ざわりだ。
ずっしりとした豊かな乳房が掌の上で
ふる。ふる。
やわらかく形を変える。双丘の裾野から頂きへゆっくりのぼるようになでた。
くりり。
指先が甘勃ちの乳首を掠める。溜め息とともに珠緒がぴくぴくと体を震わせた。感じやすい乳首だ。指をやや外側へ戻しつるりとした布越しにくるくると乳輪をなでた。スリップの生地にゆるく、ときおり大助の指で掠めるようになでられて乳首が硬く凝る。
「……んっ」
膝の上で珠緒が体をくねらせた。刺激から逃げるためか、背後の大助にやわらかい尻をすりつけるのがたまらない。もっと喘ぎを聞きたくておっぱいを撫でまわそうとして気がついた。珠緒の喘ぎがくぐもっている。
「痛かった?」
手を乳首からおっぱいの裾野へと下げ、大助はのぞきこんだ。
唇を噛みしめ、珠緒が首を横に振る。
「厭だった?」
「……やじゃ、ない」
「だったら、もっと撫でていい?」
許しを待たず大助は指で乳頭をくりくりと擽った。
「ん、っあ、駄目……ぇ、駄目なの、きもちよく、なっちゃうから、ぁ」
「そのためにかわいいかわいいってしてるんだから、気持ちよくなっていいんだよ」
「だらしない、って」
「え?」
驚いた。ジーパンの内側でがちがちに勃起している肉棒がすん、と少しだけ醒めてしまうくらい驚いた。
「私のおっぱい、大きいだけでだらしないって……」
「すごくいいけど? 大きいのもいい。俺は大好きだよ」
離した手をスリップの内側にくぐらせる。すべすべとして肌理が細かくあたたかい肌が掌に心地よい。あらためておっぱいの裾野へ直にふれた。もちもちとしたおっぱいに溜め息が抑えられない。掌が幸せだ。撫でているだけで肉棒がふたたび勃ちあがる。
「そのうえ乳首も感じやすいなんて、かわいくて最高じゃないか」
耳から頬へ唇を這わせながら囁きかけた。興奮で声が上ずる。が、止められない。
「キスしよう」
目を潤ませた珠緒に口づけた。噛みしめてぽってりと熱をもった唇を食み、舌を忍びこませる。
好きだ。出会ったばかりなのに好きだ。
「ふ、……っ、ぁ」
おっぱいの裾野を撫でていた指で乳首をやわらかくはさみ先っぽをそっと撫でる。
俺を見てくれ。
悟なんかでなく、俺だけを見てくれ。――そういえたら、いいのに。
珠緒と愛し合えたらいいのに。
堕ちてくれ。快楽に耽っている今だけでいい。俺のもとへ、堕ちてきてくれ。
「あ、ぁっ! ……っ、んんんっ」
がくがくと体を震わせる珠緒に唇を重ね、大助は喘ぎを呑みこんだ。
* * *
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