22 / 33
3章 沖田畷の戦い
08 戦場
しおりを挟むそうして焼酎を一杯口にしていると
襖を何枚も隔てた奥の部屋から家久の怒声が響く――。
忠堅などはその声で立ち上がったが、
久貞には察しがついていたので忠堅を引き留める。
「忠堅――殿は丈夫だ。これで、日野江の兵と鉄砲は我らの物よ……」
四半時ほどして……家久が久貞のもとを訪れた。
その顔を見るに守備は上々と云った感じであったが、
久貞は礼をもって晴信との会見内容を訊ねた。
「殿、晴信とは如何で御座いましたか?」
「なーに、籠城するならば、我らは八代へ引き返すと云ったまで。
そう聞いた晴信は血相を変えて兵と鉄砲を貸すと云ったわ―――」
それもそのはず。ここ数年隆信は家臣に謀反の疑いあれば一族郎党皆殺し
とゆう暴挙にでていて重臣の諫めも聞き入れない有様で、
島津寄りの国人の離反は少なくなかった。
今回の有馬氏もそれで、島津義久と内通した晴信が挙兵したのだ。
当然そんな有馬氏を隆信が許すわけもなく、
家久の軍勢が引き上げれば日野江城の兵二千と女子供まで皆殺しであろう。
だから、家久の要求を承諾するしかこの戦で生き残る可能性を見いだせなかったのだろう。
島津軍は日野江の城兵二千余をくわえて即北上を開始した。
その数約八千、久貞は家久と轡(くつわ)を並べて、策を語っていた。
「此の分ならば、大分早く戦場につくな」
「はい、本陣は田の後方に。私は川上勢と海岸へ、
他の将は山側と麓の藪に隠しておきましょう。
恐らく山側には鍋島勢が回り込んで来るはず」
「此度の戦、この鍋島勢の勢いをそいで、
龍造寺本陣と合流させなければ我らの勝ちとなります。
ですから山側の敵は精鋭、我らも兵の半数を山側へ――
そして合流出来なくなった龍造寺本陣は一里もない田と畷の泥沼にハマり、
そこへ左右から矢玉を浴びせます。
そうなれば、隆信の首級を挙げることも容易」
家久はその日の早朝に戦場につくと、
陣を張り兵に軽く食事をとらせた。
そして、物見から龍造寺の進軍状況を聞いた。
物見によると、海の汐(しお)の状況が悪く漸(ようや)く海岸に船が着いたとのこと。
龍造寺が軍備を整え戦場に着くのは早くて明日とのこと……。
家久は物見に褒美を与えると、
各部隊へ現状を伝え交代で休息をとるようにと指示した。
0
あなたにおすすめの小説
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
傷物転生令嬢マグダリーナと原初の魔法使いエステラの幻想譚-女神とスライムの光とともに- (旧タイトル:ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
※他サイトでも掲載しています
※ちょいちょい手直ししていってます
2026.12.14 タイトル変更 旧タイトル:ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
フェル 森で助けた女性騎士に一目惚れして、その後イチャイチャしながらずっと一緒に暮らす話
カトウ
ファンタジー
こんな人とずっと一緒にいられたらいいのにな。
チートなんてない。
日本で生きてきたという曖昧な記憶を持って、少年は育った。
自分にも何かすごい力があるんじゃないか。そう思っていたけれど全くパッとしない。
魔法?生活魔法しか使えませんけど。
物作り?こんな田舎で何ができるんだ。
狩り?僕が狙えば獲物が逃げていくよ。
そんな僕も15歳。成人の年になる。
何もない田舎から都会に出て仕事を探そうと考えていた矢先、森で倒れている美しい女性騎士をみつける。
こんな人とずっと一緒にいられたらいいのにな。
女性騎士に一目惚れしてしまった、少し人と変わった考えを方を持つ青年が、いろいろな人と関わりながら、ゆっくりと成長していく物語。
になればいいと思っています。
皆様の感想。いただけたら嬉しいです。
面白い。少しでも思っていただけたらお気に入りに登録をぜひお願いいたします。
よろしくお願いします!
カクヨム様、小説家になろう様にも投稿しております。
続きが気になる!もしそう思っていただけたのならこちらでもお読みいただけます。
異世界スローライフ希望なのに、女神の過保護が止まらない
葉泪秋
ファンタジー
HOTランキング1位感謝です!(2/3)
「小説家になろう」日間ランキング最高11位!(ハイファンタジー)
ブラック企業で過労死した俺、佐久間遼。
神様に願ったのは、ただ「異世界で、畑でも耕しながらのんびり暮らしたい」ということだけ。
そうして手に入れた、辺境の村での穏やかな日々。現状に満足し、今度こそは平穏なスローライフを……と思っていたのだが、俺の妙なスキルと前世の社畜根性が、そうはさせない。
ふとした善意で枯れた井戸を直したことから、堅物の騎士団長やら、過保護な女神やらに目をつけられることになる。
早く穏やかに暮らしたい。
俺は今日も、規格外に育った野菜を手に、皆の姿を眺めている。
【毎日18:00更新】
※表紙画像はAIを使用しています
異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める
自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。
その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。
異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。
定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる