かみさまコネクト

3章 沖田畷の戦い

10 沖田畷の戦い

　その頃、隆信は士気が低くもたついている一番隊と二番隊に伝令を飛ばし
「無理にでも突撃せよ！！」と命令した。
隆信本隊も同時に進軍を開始する―――。

　その結果、一番隊、二番隊は田と畷の泥沼にハマり混乱寸前の状態になる。
其処へ隆信本隊が突入してきた。
その後混乱状態のまま半里ほど進んでいると左右の藪から矢玉が軽く飛んでくる。
その様を見て隆信は「伏兵恐れずに足らず、突撃すべし」と伝令を走らせた。
だが隆信は其の驕(おご)りが自分を殺す事になるとはまだ知らない……。

　戦を始めて一時、巳の刻(午前十時頃)回った頃、
隆信は輿が田の泥に埋まる程まで前進していた。
霧も晴れ、日が昇った頃左右の藪から一斉に鉄砲と弓が襲った。
其れは今での比ではなく二千を超える一斉射撃である。

　兵はバタバタと倒れ一瞬で混乱状態になってしまった。
二射、三射と間髪(かんはつ)を容れず矢玉が襲う隆信も全身に重傷を追ってしまう。

　直茂は本陣の混乱を見て知ったが、勢いづいた島津勢に背後から追撃され、
その対応に追われてしまい隆信を救援出来ずにいた。
そのうち部隊を抜けて逃げ出す者が次々と出てくる。
龍造寺軍は完全な敗走状態になっていた。

　時同じく島津の足軽隊が退路を断つように展開した。
そのため龍造寺軍は無理であっても突撃するしかなく、
討死する者が後をたたず、隆信の輿を担いでいた兵も今はいない、
隆信は虫の息のところを久貞に見つかる。

「忠堅殿、今こそ好機！！　隆信の首級をあげよ！！」
「おうよ久貞、ここからは我が隊の出番！！」

　隆信の周りには、忠節厚い物達が数十騎守っていた。
忠堅の突撃に合わせて久貞の指揮する鉄砲隊は矢玉を打ち込む。
其処へ忠堅の百人組が突撃した。

「狙うは隆信の首ただ一つ！！　皆の物かかれ―――」

　鐙(あぶみ)を蹴り隆信に突撃する忠堅、足を負傷するも隆信の首を討ち取った。
其れを知った隆信親衛隊の侍大将は次々と島津本陣に突撃して、多くの者が討死。

　結果、二万五千以上いた隆信本陣は壊滅し、
直茂隊も数騎で命からがら戦場をのがれる始末
ここに沖田畷の戦いは終わり、島津軍は圧勝した。

　島津有馬連合軍の主な損害は鎧を軽装にしなかった有馬の国人が殆どである。