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第2章 ―始まり・・・そして終わり―
第2話 ここに来た意味
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入学から2か月が経っても、治希は相変わらず勉強と部活、
自分のことで精いっぱいだった。一方の美奈は勉強と部活、
両方を自分のペースでこなしながら、治希の練習にも勉強にも
手を貸していたが、それは全く苦痛ではなかった。むしろ喜び
さえ感じていた。
しかし、その気持ちにも少しずつ綻びが見え始めた。
いつの頃からか、美奈は自分の目線が男子バレー部の方に
向くことが増えていることに気が付いた。
時々、ハッと気づいて目線を反らし、バスケ部のコートに
目をやるが、その回数が徐々に増えていき、練習にも以前ほど
集中できなくなっていた。
それから約1カ月後の1学期が終わろうとしていた7月中旬。
午後の授業の休み時間に美奈が治希の教室へとやって来た。
「これ、読んで」
ぶっきら棒な態度で手紙をサッと目の前に差し出し、
美奈は廊下へ出て行った。
間もなく次の授業開始のチャイムが鳴り、声を掛ける間もなく
治希はただ茫然と美奈の背中を見送るしかなかった。
久しぶりに受け取る手紙に、治希は少し・・・いや、
かなりの違和感を持ちながらも、授業中にそっと
読んでみることにした。
まあ、こういう場合の予感はだいたい的中するもので、
それは美奈からの一方的な突然の別れを告げるものだった。
治希に突然手渡された手紙。それは世間ではよくある話で、
バレーボール部の先輩のことが好きになったと書いてある。
「中学上がりの1年の“ガキ”と比べれば、
18歳になろうとする3年の先輩は、
憧れる“大人の男性”に見えてしまうのは当然で、
オレにはそれだけの魅力がまだ無かった
だけのことだ。
しかも、相手はバレー部のエース田代先輩だ。
サウスポーで、身長は180cmを裕に超えている。
高校生になって170cmに迫っていた美奈とは、
お似合いのようにも想像できる。
それに、この3カ月間は勉強と部活の両立で、
美奈との時間を作れなかったことが最大の失敗
だったことは認めざるを得ない・・・。
だが、そのことに関しては何も触れられてはいない。
オレが追いかけて行けないタイミングを考えて、
授業開始ギリギリに持ってきたのか・・・。
そう考えると、『何も言わずに受け取って欲しい』
という言葉の表れなのかもしれない・・・」
治希は頭の中でブツブツとひとりごとをつぶやいていた。
当然ながら授業内容は全く頭に入らず、色々と考えが浮かんだが、
中学の時、この高校の入学願書提出前に皆で説得した時の記憶が、
今となっては虚しく蘇ってきた。
「こんなことになるなら、最初から一緒の高校になんか
来るんじゃないよ・・・」
美奈は治希が来ることを予測し、授業の合間の休み時間になると
教室からいなくなり、授業が始まる直前に帰ってくるとういうことを
繰り返した。
その日のバレー部のコートには美奈の姿はなかった。
美奈は自宅の電話にも出ず、結局その日以来、治希は美奈と直接
話しをすることはできなかった。
自分のことで精いっぱいだった。一方の美奈は勉強と部活、
両方を自分のペースでこなしながら、治希の練習にも勉強にも
手を貸していたが、それは全く苦痛ではなかった。むしろ喜び
さえ感じていた。
しかし、その気持ちにも少しずつ綻びが見え始めた。
いつの頃からか、美奈は自分の目線が男子バレー部の方に
向くことが増えていることに気が付いた。
時々、ハッと気づいて目線を反らし、バスケ部のコートに
目をやるが、その回数が徐々に増えていき、練習にも以前ほど
集中できなくなっていた。
それから約1カ月後の1学期が終わろうとしていた7月中旬。
午後の授業の休み時間に美奈が治希の教室へとやって来た。
「これ、読んで」
ぶっきら棒な態度で手紙をサッと目の前に差し出し、
美奈は廊下へ出て行った。
間もなく次の授業開始のチャイムが鳴り、声を掛ける間もなく
治希はただ茫然と美奈の背中を見送るしかなかった。
久しぶりに受け取る手紙に、治希は少し・・・いや、
かなりの違和感を持ちながらも、授業中にそっと
読んでみることにした。
まあ、こういう場合の予感はだいたい的中するもので、
それは美奈からの一方的な突然の別れを告げるものだった。
治希に突然手渡された手紙。それは世間ではよくある話で、
バレーボール部の先輩のことが好きになったと書いてある。
「中学上がりの1年の“ガキ”と比べれば、
18歳になろうとする3年の先輩は、
憧れる“大人の男性”に見えてしまうのは当然で、
オレにはそれだけの魅力がまだ無かった
だけのことだ。
しかも、相手はバレー部のエース田代先輩だ。
サウスポーで、身長は180cmを裕に超えている。
高校生になって170cmに迫っていた美奈とは、
お似合いのようにも想像できる。
それに、この3カ月間は勉強と部活の両立で、
美奈との時間を作れなかったことが最大の失敗
だったことは認めざるを得ない・・・。
だが、そのことに関しては何も触れられてはいない。
オレが追いかけて行けないタイミングを考えて、
授業開始ギリギリに持ってきたのか・・・。
そう考えると、『何も言わずに受け取って欲しい』
という言葉の表れなのかもしれない・・・」
治希は頭の中でブツブツとひとりごとをつぶやいていた。
当然ながら授業内容は全く頭に入らず、色々と考えが浮かんだが、
中学の時、この高校の入学願書提出前に皆で説得した時の記憶が、
今となっては虚しく蘇ってきた。
「こんなことになるなら、最初から一緒の高校になんか
来るんじゃないよ・・・」
美奈は治希が来ることを予測し、授業の合間の休み時間になると
教室からいなくなり、授業が始まる直前に帰ってくるとういうことを
繰り返した。
その日のバレー部のコートには美奈の姿はなかった。
美奈は自宅の電話にも出ず、結局その日以来、治希は美奈と直接
話しをすることはできなかった。
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