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第6章 ― 風と、海と、太陽と。ー
第2話 ふたりのあいだで
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翌日、治希は学校を休み、一日中自宅に籠っていた。
昨日と一昨日の寝不足が一気に疲労を増幅させていたのだ。
夜になって再び、治希の自宅の電話が鳴った。
「今から出てこれない?」
それは愛からだった。
治希はその声が少しだけ元気が無いように感じた。
「今日は行けない。顔を見たくない・・・」
治希は今話しても、また平行線を辿るだけだと思っていた。
「お願い。どうしても今、会って話がしたいの」
「オレは会いたくない」
「それじゃあ、私がそっちに行くから、会ってくれる?」
「来なくていいよ。会いたくないって言ってるだろ」
そう言って治希は電話を切った。
「(今日は来ないな)」
夜の11時を回ったところだ。時計を見てそう思った。
だが、予想に反して愛は30分後に電車でやって来た。
もう帰りの最終電車は終わっている。
「こんな時間にどうしたんだよ。話しなんかないよ」
そう言いながらも、さすがに追い返す訳にもいかず、
最終電車が通過した無人の駅のホームに移り、
ベンチに座って話すことにした。
治希は自動販売機で缶コーヒーを2本買い、1本を愛に渡した。
「美奈と二人だけで会ってたのは悪かった。ごめん。
でも、何も無いって言ってるだろ」
治希は缶コーヒーを見つめながら言った。
「治希、私の話しを聞いて。
どうして、美奈ちゃんとドライブに行ったの?」
「・・・どうしてか。・・・わからない。
何も考えず動いてた感じがする」
そう。繰り返すがそれが治希の本心だった。
「治希は美奈ちゃんのことが、今でも好きなの?」
「そういう聞き方は卑怯だぞ。
嫌いになって別れたわけじゃないって言ったろ」
それは言葉にすると、愛と美奈に対しての想いが
“二股”をかけている状態と同じに聞こえてしまうのだが、
治希の中では全く別のものだった。こういうことは、
説明すればするほど伝わらなくなるのが常だ。
「じゃあ、私のことは好き?」
「今は少し嫌い。美奈とは何もないって言ってるのに
信じてくれそうにないから」
少し間があった。
「私・・・、治希のこと誤解してた。ごめんね。
実はさっき、美奈ちゃんに会って来たの」
「マジか!愛はそういうとこホントに行動力すごいよな。
普通は直接会ったりできないよ・・・」
治希は一呼吸置いてから
「で、何を話してきたの?」
あまり気は進まなかったが、そう促すしかなかった。
話を約2時間前に戻そう・・・。
昨日と一昨日の寝不足が一気に疲労を増幅させていたのだ。
夜になって再び、治希の自宅の電話が鳴った。
「今から出てこれない?」
それは愛からだった。
治希はその声が少しだけ元気が無いように感じた。
「今日は行けない。顔を見たくない・・・」
治希は今話しても、また平行線を辿るだけだと思っていた。
「お願い。どうしても今、会って話がしたいの」
「オレは会いたくない」
「それじゃあ、私がそっちに行くから、会ってくれる?」
「来なくていいよ。会いたくないって言ってるだろ」
そう言って治希は電話を切った。
「(今日は来ないな)」
夜の11時を回ったところだ。時計を見てそう思った。
だが、予想に反して愛は30分後に電車でやって来た。
もう帰りの最終電車は終わっている。
「こんな時間にどうしたんだよ。話しなんかないよ」
そう言いながらも、さすがに追い返す訳にもいかず、
最終電車が通過した無人の駅のホームに移り、
ベンチに座って話すことにした。
治希は自動販売機で缶コーヒーを2本買い、1本を愛に渡した。
「美奈と二人だけで会ってたのは悪かった。ごめん。
でも、何も無いって言ってるだろ」
治希は缶コーヒーを見つめながら言った。
「治希、私の話しを聞いて。
どうして、美奈ちゃんとドライブに行ったの?」
「・・・どうしてか。・・・わからない。
何も考えず動いてた感じがする」
そう。繰り返すがそれが治希の本心だった。
「治希は美奈ちゃんのことが、今でも好きなの?」
「そういう聞き方は卑怯だぞ。
嫌いになって別れたわけじゃないって言ったろ」
それは言葉にすると、愛と美奈に対しての想いが
“二股”をかけている状態と同じに聞こえてしまうのだが、
治希の中では全く別のものだった。こういうことは、
説明すればするほど伝わらなくなるのが常だ。
「じゃあ、私のことは好き?」
「今は少し嫌い。美奈とは何もないって言ってるのに
信じてくれそうにないから」
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「私・・・、治希のこと誤解してた。ごめんね。
実はさっき、美奈ちゃんに会って来たの」
「マジか!愛はそういうとこホントに行動力すごいよな。
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