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「走馬燈」のその先は?
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これは大学のキャンパスか?見たことの無い建物。
自宅から通っているところを見るとそう遠くは無いところだな。
友達?かな。一緒に車を借りて東北旅行に行っているようだ。
祭だ。ねぷたか、青森だな。ああ友達の故郷らしい。
合コンか?結構盛り上がっているな。
俺は酒は弱いみたいだな、真っ赤な顔をしている。
一人背の高いすらっとした女子がいる。
あれその子が隣にいるぞ。なんか美人だ。いいな。
あれ?これは結婚式か?
展開が早いな。就職はしてるんだよな。
ああ、あの子と7年間付き合って結婚したんだ。
今度は転勤だな。仕事は事務職だ。
あれ、おれは文系に行ったんだ。
病院。あ、子供が生まれたんだ。男の子か。もう一人生まれた。今度も男の子か。
嫁さんは仕事を辞めた。
単身赴任かな?ここはどこだ。北国だな。雪はそんなに積もらない。仙台だ。
あ、東京に戻った。
子供の小学校入学式だ。
課長昇進か。こりゃめでたい。
そんなに大きな会社ではないけど堅実な印象。小さな喧嘩とかはあっても家庭は円満。
葬式の場面。父親の遺影。随分老けた写真だ。
急に亡くなったんだ。心臓か。タバコ吸ってるしな。
下の子供を高校受験の会場まで送っていく場面。
上の子はバンドをやってるんだ。
同じ高校に通っているな。
文化祭に行ったんだ。
嫁さん、少し太ったな。
職場が変わったぞ。子会社に行ったようだ。
ヒマそうにしているな。もう少し頑張れよ俺。
赤いちゃんちゃんこ?
上の息子が赤ちゃんを抱いている?俺の孫か。女の子だ、よく泣くな。
下の子はまだ結婚してないな。
あれ花束をもらっている。俺、定年になったんだ。
そうか。嫁さんと海外旅行に来ている。
メキシコかな?
いつか見たピラミッドみたいな建物のある観光地で、写真を撮ってもらっている。
あ、新婚旅行のときもここに来たのか。
今度は病院だな。これはCTスキャンだな。医者が難しい顔をしている、あれ、手術か。
結構入院が長引くな。
抗がん剤、そうか、俺は癌になるのか。
喜寿の祝い?俺の?癌は再発しなかったのかな。
嫁さんもだいぶ年を取ったな、でも元気がいいな。
これは町内会の集まりかなにかだな。
あれ俺が救急車に乗せられている。胸が痛い。
俺の名前を呼ぶ声。そして暗闇。
気がつくと、まだ居間のソファに座っていた。時計を見るとさっきから10分も経っていない。
俺は呆然としてしまった。
あれが俺の未来なのか。
乗り物酔いのような気持ちの悪さを感じて、頭を抱えてしまった。
「大丈夫ですか?」
心配そうに少女の尋ねる声が聞こえる。
俺は答えた。
「ああ、大丈夫だ。乗り物に酔った感じだ」
少女は少し胸を張って笑顔で言った。
「少しは信じていただけましたか?」
俺は、気を取り直してから、少女の顔を見ながら言った。
「催眠術かなにかかもしれないが、一代記を見せてもらったよ。未来の嫁がどんな人かも教えてもらった。でも俺は80歳くらいまで生きるみたいじゃないか。平凡だが悪くない人生だったぞ」
少女は少し顔を曇らせてから俺に言った。
「今、お見せしたのは江藤さんが生きる可能性のあった複数の未来のうち、辿る可能性が一番高かった未来です。でもでも」
少女は少し声を低めて続けた。
「その後の転生が問題なんです」
どういうこと?俺は尋ねた。少女は答えた。
「ダンゴムシなんです」
またか。他の未来はないのかよ。
「私の能力で見える範囲だと、全部次はダンゴムシです」
俺は溜め息をついて言った。
「じゃあ、しょうがないんじゃないの、ダンゴムシで」
少女は、目を大きく見開いて首を横にブンブンと振って言った。
「次がダンゴムシだと、その次もダンゴムシ、そのまた次もダンゴムシかミミズの可能性が高いです。あとは、ずうっとダンゴムシです。太陽が燃え尽きて地球が終わるまでダンゴムシです。人間に一度生まれたならそういう転生を避けた方が良いですし、そのために私は来たのです」
そして少女は俺に言った。
「一年の間、私の全力サポートでダンゴムシへの転生を避けようっていう作戦です!」
俺は少女に尋ねた。
「で、俺はどうすればマシな転生ができるのか?他人に親切にしたりすればいいのか?ボランティアかなにかして、ポイントを貯めればいいのか?」
少女は答えた。
「江藤さん自身の人生を完全燃焼することです」
そして、少し間を置いて、小首を傾げてから付け加えた。
「たぶん」
たぶん?これはまた随分ぼんやりとした回答だなと俺は思った。俺は尋ねた。
「具体的には、どうすりゃいいんだ?」
少女はにこやかに答えた。
「もう夜も遅いので、お風呂に入って明日から頑張りましょう!」
おい、あと364日しかないんだぞ、いいのか、それで?少女は答えた。
「長旅だったので、疲れました」
そして可愛らしくあくびをして、微笑んだ。
いい加減な死神だな。どうにでもなれ、まったく。
「お風呂、先に入らせてもらいますね。覗いちゃダメですよぅ?!」
死神の裸なんか覗くか、アホ。
自宅から通っているところを見るとそう遠くは無いところだな。
友達?かな。一緒に車を借りて東北旅行に行っているようだ。
祭だ。ねぷたか、青森だな。ああ友達の故郷らしい。
合コンか?結構盛り上がっているな。
俺は酒は弱いみたいだな、真っ赤な顔をしている。
一人背の高いすらっとした女子がいる。
あれその子が隣にいるぞ。なんか美人だ。いいな。
あれ?これは結婚式か?
展開が早いな。就職はしてるんだよな。
ああ、あの子と7年間付き合って結婚したんだ。
今度は転勤だな。仕事は事務職だ。
あれ、おれは文系に行ったんだ。
病院。あ、子供が生まれたんだ。男の子か。もう一人生まれた。今度も男の子か。
嫁さんは仕事を辞めた。
単身赴任かな?ここはどこだ。北国だな。雪はそんなに積もらない。仙台だ。
あ、東京に戻った。
子供の小学校入学式だ。
課長昇進か。こりゃめでたい。
そんなに大きな会社ではないけど堅実な印象。小さな喧嘩とかはあっても家庭は円満。
葬式の場面。父親の遺影。随分老けた写真だ。
急に亡くなったんだ。心臓か。タバコ吸ってるしな。
下の子供を高校受験の会場まで送っていく場面。
上の子はバンドをやってるんだ。
同じ高校に通っているな。
文化祭に行ったんだ。
嫁さん、少し太ったな。
職場が変わったぞ。子会社に行ったようだ。
ヒマそうにしているな。もう少し頑張れよ俺。
赤いちゃんちゃんこ?
上の息子が赤ちゃんを抱いている?俺の孫か。女の子だ、よく泣くな。
下の子はまだ結婚してないな。
あれ花束をもらっている。俺、定年になったんだ。
そうか。嫁さんと海外旅行に来ている。
メキシコかな?
いつか見たピラミッドみたいな建物のある観光地で、写真を撮ってもらっている。
あ、新婚旅行のときもここに来たのか。
今度は病院だな。これはCTスキャンだな。医者が難しい顔をしている、あれ、手術か。
結構入院が長引くな。
抗がん剤、そうか、俺は癌になるのか。
喜寿の祝い?俺の?癌は再発しなかったのかな。
嫁さんもだいぶ年を取ったな、でも元気がいいな。
これは町内会の集まりかなにかだな。
あれ俺が救急車に乗せられている。胸が痛い。
俺の名前を呼ぶ声。そして暗闇。
気がつくと、まだ居間のソファに座っていた。時計を見るとさっきから10分も経っていない。
俺は呆然としてしまった。
あれが俺の未来なのか。
乗り物酔いのような気持ちの悪さを感じて、頭を抱えてしまった。
「大丈夫ですか?」
心配そうに少女の尋ねる声が聞こえる。
俺は答えた。
「ああ、大丈夫だ。乗り物に酔った感じだ」
少女は少し胸を張って笑顔で言った。
「少しは信じていただけましたか?」
俺は、気を取り直してから、少女の顔を見ながら言った。
「催眠術かなにかかもしれないが、一代記を見せてもらったよ。未来の嫁がどんな人かも教えてもらった。でも俺は80歳くらいまで生きるみたいじゃないか。平凡だが悪くない人生だったぞ」
少女は少し顔を曇らせてから俺に言った。
「今、お見せしたのは江藤さんが生きる可能性のあった複数の未来のうち、辿る可能性が一番高かった未来です。でもでも」
少女は少し声を低めて続けた。
「その後の転生が問題なんです」
どういうこと?俺は尋ねた。少女は答えた。
「ダンゴムシなんです」
またか。他の未来はないのかよ。
「私の能力で見える範囲だと、全部次はダンゴムシです」
俺は溜め息をついて言った。
「じゃあ、しょうがないんじゃないの、ダンゴムシで」
少女は、目を大きく見開いて首を横にブンブンと振って言った。
「次がダンゴムシだと、その次もダンゴムシ、そのまた次もダンゴムシかミミズの可能性が高いです。あとは、ずうっとダンゴムシです。太陽が燃え尽きて地球が終わるまでダンゴムシです。人間に一度生まれたならそういう転生を避けた方が良いですし、そのために私は来たのです」
そして少女は俺に言った。
「一年の間、私の全力サポートでダンゴムシへの転生を避けようっていう作戦です!」
俺は少女に尋ねた。
「で、俺はどうすればマシな転生ができるのか?他人に親切にしたりすればいいのか?ボランティアかなにかして、ポイントを貯めればいいのか?」
少女は答えた。
「江藤さん自身の人生を完全燃焼することです」
そして、少し間を置いて、小首を傾げてから付け加えた。
「たぶん」
たぶん?これはまた随分ぼんやりとした回答だなと俺は思った。俺は尋ねた。
「具体的には、どうすりゃいいんだ?」
少女はにこやかに答えた。
「もう夜も遅いので、お風呂に入って明日から頑張りましょう!」
おい、あと364日しかないんだぞ、いいのか、それで?少女は答えた。
「長旅だったので、疲れました」
そして可愛らしくあくびをして、微笑んだ。
いい加減な死神だな。どうにでもなれ、まったく。
「お風呂、先に入らせてもらいますね。覗いちゃダメですよぅ?!」
死神の裸なんか覗くか、アホ。
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