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最後の二週間
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最後の2週間となった。部活も勉強も手は抜かないが、
この世への別れのために、慎重に作戦を考えて、行動を開始した。
友人から借りていたものを全て返し、PCの中のやばそうな電子ファイルは全て完全消去。
日記も焼却した。
死期が分かっているというのは、その意味で大変便利というか、
後に残したくないものを正確に冷静に処分できるのが良い、と俺は思った。
海外にいる家族のためには、遺書というか手紙を書かなくては。
まあ大した内容じゃなくて、感謝の手紙だ。
俺は、これまでずっといい加減で、心配ばかりさせていたからな。
部室や教室のロッカーも綺麗に片付けた。家も順次綺麗にしていった。
洗濯掃除OK。チェックリストを作ってひとつずつ実行していく。
正直に言おう、そうでもしないと気が変になりそうだった。
そりゃそうだろう、なんの前触れも無く死がやってくるわけで、
その日時を自分が知っているという状況は、気の狂わない方がおかしい。
準備を進めている間、妙にサリーが静かだったのに気がついたのは、
残りあと一週間となった日だった。
いつもの弾むような声、笑顔が少ない。
俺は夕ご飯の後に、サリーに尋ねた。
「お前、最近元気ないけど大丈夫か?」
少女はびっくりしたらしく目を大きく見開いてから、
唇をきゅっと結んだ。俺は言った。
「俺は、最後の一週間に入ったが、心配しなくて良いぞ。覚悟まではできてないが、冷静に進めている」
そして、少し無理に笑って、少女に言った。
「準備万端整えて逝くよ、悔いは無い。この一年間、俺はできるだけのことを、やったつもりだ」
そして、付け加えた。
「これでも次にダンゴムシに転生するのなるなら、それも良しだ」
少女の目に涙があふれる。おい、泣くなよ、泣きたいのは俺の方だぞ。
「あのね、違うの。そうじゃなくてね」
後は、言葉にならない。サリーはぐじゅぐじゅと鼻をすすり上げて、泣きじゃくる。
俺は小さな肩を抱いてポンポンと軽く叩いて言った。
「俺は大丈夫だからさ」
少女はようやく落ち着いたらしく、じっと床を見つめてから俺の目を見て小さな声で言った。
「勇気は、強いな。尊敬する」
俺は笑って答えた。
「なに言ってるんだ?俺は怖くて仕方が無いんだぞ。だからやるべきだと思ったことを徹底的にやることで忘れようとしてきたんだ。それは最後まで変わらない、それだけだよ」
またぽろぽろと涙を流し始めた少女の肩を俺はずっと抱いていた。
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