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2章
3話
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女子寮でカレンとの話を終えた翌日――夏休みの初日がやってくる。
私は、馬車でレックス殿下の城まで向かっていた。
昨日カレンから夏休みに聖堂で何が起きるのかを尋ねたけど――ロイを治すことが主だったから、何が起きるのか解らないと言っていた。
馬車のキャビンは私一人だから、昨日の会話を思い出しながら呟いてしまう。
「私がロイの病を治したから、旅行の目的はロイが聖魔力を使いこなすため……ゲームとは全然違うのよね」
昨日の会話から、私はゲームでの夏休みに起きたロイとのイベントを思い返す。
ゲームだと――ロイを治せる可能性があるのならと、長い休みに聖堂に向かわないかロイに誘われて、主役のカレンは同行していた。
それは今までイベントをこなして、ロイを治すため協力する関係になっているからだ。
「聖堂に到着して魔法を学んだり、試練を乗り超えることで主役カレンがロイの病を治せるほどに成長する。昨日カレンはそう言ってたけど……」
今回はそこまで切羽詰まっていないから、危険な試練を受けようとはしないかもしれない。
聖堂に行く目的として、膨大な聖魔力を得られる聖堂の試練というのがある。
二学期のこともあるし、強引になってでも力はつけておきたいから、私は聖魔力が強化される試練を受けたいけど……リスク次第になりそうだ。
そう決意していると――馬車が、レックス殿下の城に到着していた。
◇◆◇
私はレックス殿下に呼び出されて、部屋までやって来ていた。
昨日出された課題を持ってくるように言われたから、その課題の紙をテーブルに並べて、レックス殿下と対面している。
「一日で終わる課題だから、もう今のうちに終わらせておこうと思ってな」
そう言いながら課題に取りかかるレックス殿下を見て、私は頷く。
「それもそうですね……レックス殿下、どうかしましたか?」
紙に書かれている魔法に関する問題の答えを、私はすぐに書いていく。
先生の気分次第で正解が変わりそうな問題が多いけど、絶対に違うと言われない回答を書いておけば問題ない。
私はひたすら書いていると、レックス殿下が唖然としながら呟く。
「い、いや……俺は昨日の夜に半分ぐらい終わらせていたのだが、リリアンの回答速度に驚いていた」
私は答えを考えるより書く方が時間がかかりそうだと思っていたけど、レックス殿下は考えながら書いている。
複雑そうな表情をしているのは、もしかしたら課題を二人きりでやる状況が、予想とは違っていたからなのかもしれない。
レックス殿下からすれば、問題に躓いて二人で話し合って答えを記入するとかしたかったのだろうか?
そこまで考えたけど……今更魔法に詳しい私が、問題を見て戸惑うのは不自然だ。
午前中に夏休みの課題を全て終わらせることができるも、レックス殿下がかなり疲れていた。
私が課題を半分ぐらい終えた頃から、レックス殿下は必死になって問題を解いていたけど……前に用がないなら帰ろうとしたことを、そこまで気にしているのだろうか?
「終わりましたね」
「そ、そうだな……昼からは暇になったし、外に行かないか?」
どうやら課題を終えた後は外に行くみたいだけど、どこに行くのかは聞いていない。
レックス殿下は楽しそうで、私も転生前の夏休みを思い返すことができていた。
◇◆◇
私はレックス殿下の提案で、馬車に乗って森へと向かっていた。
もう護衛は必要ないとレックス殿下が言ったことで、私はレックス殿下と二人で森の中を歩いている。
こうして森に来たということは……夏休みだから、目的は解っている。
「森に行きたくなったら昆虫採集に来たのだと思いますけど、網はどうしますか?」
「リリアンは何を言っている!? なぜ俺が昆虫を採集しなければならない!?」
どうやら違ったみたいで、私の発言を聞いたレックス殿下が物凄く驚いていた。
「……えっ?」
「ちょっと待て、本気なのか!?」
その反応に私が驚くと、レックス殿下が唖然として叫ぶ。
確かに、今までレックス殿下が昆虫を採取している場面なんて見たことがない……夏休みに男子が森に行きたくなったら、昆虫採集だと、前の世界のように思い込んでいた。
夏休みの男児が昆虫採集している場面に関わったことがないから、実際どうなのかは知らないけど、この世界では違うようね。
「えっと、夏は虫が多いですし、珍しい虫を入手したくなるものではありませんか?」
「なんだ? リリアンは虫が好きなのか?」
好きではない。
否定しなければ……何か渡せるタイミングがあれば、レックス殿下は私に珍しい虫を渡してくるでしょう。
今までは私が欲しい物は魔本だからか、数年に一度ぐらいのペースで魔本を入手して渡しているけど……どういう経緯で入手しているのかまったく解らない。
まだ婚約者だし、魔本は読んでおきたいから遠慮せず貰っていたけど、それが虫に変わるのは嫌すぎる。
「好きではありません。森に来た理由が解らなくて色々考えてしまいました。どうしてこの森に来たのですか?」
私が誤魔化しつつこの森に来た理由を尋ねると、レックス殿下は私を眺めて呟く。
「この森で、俺とリリアンは出会った……この森に来た時のことを、覚えているか?」
「はい。レックス殿下が、クロータイガーにやられかけていた時ですよね」
「……それは別人だろ。それから一週間後のことだ」
私は質問に答えたのに、レックス殿下が少し不機嫌になったのは理不尽だと思うしかない。
最初に森で会ったと言っていたのに……いや、あれは私の方から別人だと強引に押し切ったんだった。
レックス殿下の護衛を務めているマイクから、冒険者について教わったと言えば更に不機嫌になるのは間違いない。
クロータイガーを倒したことなのか、何が正解なのか解らないから、もうレックス殿下に聞く。
「色々あった気がしますけど、何のことですか?」
「魔力の使いすぎで倒れたことだ。あの時から今まで、俺はリリアンの魔力が尽きないか警戒していた」
「それでも、つい魔力を使いすぎて何度も倒れましたけど……最近、私は倒れていません」
「その通りだ。だから――いや、もしまた魔力を使いすぎて倒れることがあれば、俺は傍で必ず助ける。婚約者だからな!」
何か言うことを止めながら、レックス殿下は私に決意を口にする。
そんなレックス殿下に、私は頭を下げて。
「ありがとうございます。その時は、お願いしますね」
どうやら最近は魔力の使いすぎで私は倒れていないから、レックス殿下としては気になってしまったようだ。
魔力の使いすぎでよく倒れたこの森に来て、倒れても大丈夫だと言ってくれるのは嬉しい。
どうして今になってそんなことを言い出したのか解らなかったけど――その理由を、私は後に知ることとなる。
私は、馬車でレックス殿下の城まで向かっていた。
昨日カレンから夏休みに聖堂で何が起きるのかを尋ねたけど――ロイを治すことが主だったから、何が起きるのか解らないと言っていた。
馬車のキャビンは私一人だから、昨日の会話を思い出しながら呟いてしまう。
「私がロイの病を治したから、旅行の目的はロイが聖魔力を使いこなすため……ゲームとは全然違うのよね」
昨日の会話から、私はゲームでの夏休みに起きたロイとのイベントを思い返す。
ゲームだと――ロイを治せる可能性があるのならと、長い休みに聖堂に向かわないかロイに誘われて、主役のカレンは同行していた。
それは今までイベントをこなして、ロイを治すため協力する関係になっているからだ。
「聖堂に到着して魔法を学んだり、試練を乗り超えることで主役カレンがロイの病を治せるほどに成長する。昨日カレンはそう言ってたけど……」
今回はそこまで切羽詰まっていないから、危険な試練を受けようとはしないかもしれない。
聖堂に行く目的として、膨大な聖魔力を得られる聖堂の試練というのがある。
二学期のこともあるし、強引になってでも力はつけておきたいから、私は聖魔力が強化される試練を受けたいけど……リスク次第になりそうだ。
そう決意していると――馬車が、レックス殿下の城に到着していた。
◇◆◇
私はレックス殿下に呼び出されて、部屋までやって来ていた。
昨日出された課題を持ってくるように言われたから、その課題の紙をテーブルに並べて、レックス殿下と対面している。
「一日で終わる課題だから、もう今のうちに終わらせておこうと思ってな」
そう言いながら課題に取りかかるレックス殿下を見て、私は頷く。
「それもそうですね……レックス殿下、どうかしましたか?」
紙に書かれている魔法に関する問題の答えを、私はすぐに書いていく。
先生の気分次第で正解が変わりそうな問題が多いけど、絶対に違うと言われない回答を書いておけば問題ない。
私はひたすら書いていると、レックス殿下が唖然としながら呟く。
「い、いや……俺は昨日の夜に半分ぐらい終わらせていたのだが、リリアンの回答速度に驚いていた」
私は答えを考えるより書く方が時間がかかりそうだと思っていたけど、レックス殿下は考えながら書いている。
複雑そうな表情をしているのは、もしかしたら課題を二人きりでやる状況が、予想とは違っていたからなのかもしれない。
レックス殿下からすれば、問題に躓いて二人で話し合って答えを記入するとかしたかったのだろうか?
そこまで考えたけど……今更魔法に詳しい私が、問題を見て戸惑うのは不自然だ。
午前中に夏休みの課題を全て終わらせることができるも、レックス殿下がかなり疲れていた。
私が課題を半分ぐらい終えた頃から、レックス殿下は必死になって問題を解いていたけど……前に用がないなら帰ろうとしたことを、そこまで気にしているのだろうか?
「終わりましたね」
「そ、そうだな……昼からは暇になったし、外に行かないか?」
どうやら課題を終えた後は外に行くみたいだけど、どこに行くのかは聞いていない。
レックス殿下は楽しそうで、私も転生前の夏休みを思い返すことができていた。
◇◆◇
私はレックス殿下の提案で、馬車に乗って森へと向かっていた。
もう護衛は必要ないとレックス殿下が言ったことで、私はレックス殿下と二人で森の中を歩いている。
こうして森に来たということは……夏休みだから、目的は解っている。
「森に行きたくなったら昆虫採集に来たのだと思いますけど、網はどうしますか?」
「リリアンは何を言っている!? なぜ俺が昆虫を採集しなければならない!?」
どうやら違ったみたいで、私の発言を聞いたレックス殿下が物凄く驚いていた。
「……えっ?」
「ちょっと待て、本気なのか!?」
その反応に私が驚くと、レックス殿下が唖然として叫ぶ。
確かに、今までレックス殿下が昆虫を採取している場面なんて見たことがない……夏休みに男子が森に行きたくなったら、昆虫採集だと、前の世界のように思い込んでいた。
夏休みの男児が昆虫採集している場面に関わったことがないから、実際どうなのかは知らないけど、この世界では違うようね。
「えっと、夏は虫が多いですし、珍しい虫を入手したくなるものではありませんか?」
「なんだ? リリアンは虫が好きなのか?」
好きではない。
否定しなければ……何か渡せるタイミングがあれば、レックス殿下は私に珍しい虫を渡してくるでしょう。
今までは私が欲しい物は魔本だからか、数年に一度ぐらいのペースで魔本を入手して渡しているけど……どういう経緯で入手しているのかまったく解らない。
まだ婚約者だし、魔本は読んでおきたいから遠慮せず貰っていたけど、それが虫に変わるのは嫌すぎる。
「好きではありません。森に来た理由が解らなくて色々考えてしまいました。どうしてこの森に来たのですか?」
私が誤魔化しつつこの森に来た理由を尋ねると、レックス殿下は私を眺めて呟く。
「この森で、俺とリリアンは出会った……この森に来た時のことを、覚えているか?」
「はい。レックス殿下が、クロータイガーにやられかけていた時ですよね」
「……それは別人だろ。それから一週間後のことだ」
私は質問に答えたのに、レックス殿下が少し不機嫌になったのは理不尽だと思うしかない。
最初に森で会ったと言っていたのに……いや、あれは私の方から別人だと強引に押し切ったんだった。
レックス殿下の護衛を務めているマイクから、冒険者について教わったと言えば更に不機嫌になるのは間違いない。
クロータイガーを倒したことなのか、何が正解なのか解らないから、もうレックス殿下に聞く。
「色々あった気がしますけど、何のことですか?」
「魔力の使いすぎで倒れたことだ。あの時から今まで、俺はリリアンの魔力が尽きないか警戒していた」
「それでも、つい魔力を使いすぎて何度も倒れましたけど……最近、私は倒れていません」
「その通りだ。だから――いや、もしまた魔力を使いすぎて倒れることがあれば、俺は傍で必ず助ける。婚約者だからな!」
何か言うことを止めながら、レックス殿下は私に決意を口にする。
そんなレックス殿下に、私は頭を下げて。
「ありがとうございます。その時は、お願いしますね」
どうやら最近は魔力の使いすぎで私は倒れていないから、レックス殿下としては気になってしまったようだ。
魔力の使いすぎでよく倒れたこの森に来て、倒れても大丈夫だと言ってくれるのは嬉しい。
どうして今になってそんなことを言い出したのか解らなかったけど――その理由を、私は後に知ることとなる。
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