悪役令嬢に転生するも魔法に夢中でいたら王子に溺愛されました

黒木 楓

文字の大きさ
23 / 109
2章

4話

しおりを挟む
 楽しみにしていた聖堂のある大陸へ向かう日がやって来て、私たちは馬車で空港に向かっていた。

 キャビンには私、隣にはレックス殿下が座り、正面にはカレン、その隣にはロイがいる。

「部屋は僕とレックス君、リリアンさんとカレンさんで分けたよ。それでいいよね」

「……ああ。それでいい」

「レックス君としてはリリアンさんと一緒の部屋がよかったのかい? レックス殿下よりカレンさんの方が強いんだから、何も心配しなくていいよ」

「えっと……魔法だけで、総合的な実力ならレックス殿下の方が遙かに凄いですよ」

 不満げなレックス殿下を見てロイが呆れていると、おずおずとカレンが言う。
 カレンとしてはレックス殿下に敵意を持たれたら困るからで、ロイは微笑みながら話す。

「なんだか不満げなレックス君がどうも気になったんだ。僕とカレンさんは聖魔力について学びに行くからね……聖堂側にデート気分だと思われるのは好ましくないんだよ」

 ロイの発言を聞いて、私とカレンが反応する。
 この台詞はゲームの時、聖堂に向かうこのタイミングにロイがカレンに言った台詞と類似していて――ゲーム内容は恋愛ゲームだから、結局デートをしながら聖魔力について調べていたんだっけ。
 
「リリアン、どうした?」

 思い返していると、気になったのかレックス殿下が尋ねる。
 流石に正直に説明できないから、私は誤魔化すことにしていた。

「いえ……聖魔力について学ぶと聞いて、楽しみになっていました」

「私も同じです。遠出して今まで知ることのできなかったことを知る。これほどまでに楽しみなことはありません。招待してくださり、本当にありがとうございます」

 カレンが私達に向かって頭を下げると、それを目にしたロイが微笑みを浮かべる。

「気にしなくていいよ。カレンさんやリリアンさんがいると、新たな発見ができる可能性が高そうだから、むしろ来てくれて僕の方からお礼を言いたいな」

「……おい。俺の名前がないんだが」

 レックス殿下が再び不満げになっていると、馬車が空港に到着したようだ。

 空港には魔石を動力にして動く飛行艇があって、これに乗り聖堂のある大陸へ向かう。
 私は飛行魔法で空を飛べるけど……異世界の飛行機に乗れると知ってから、私はこの時を楽しみにしていた。

   ◇◆◇

 私達は空港の中に入って、その景色に驚くしかなかい。

 広い空路には、飛行艇の他にも飛ぶことに特化した翼の広いドラゴン、ワイバーンの姿があった。

「飛行艇も見えますけど、ワイバーンも空路に着地しているのですね」

 私がレックス殿下に尋ねると、説明できることが楽しいのか嬉しそうな表情を浮かべて。

「あれか! 他国の者はワイバーンで大陸移動をした時は空港に着地することとなり、そこで許可証を貰うらしい。俺達が乗るのは普通の飛行艇だから、安心してくれ」

「そうですか……」

 私としてはワイバーンにも乗りたかったけど、今回は諦めるしかない。

 ゲームのイベントでワイバーンに乗る機会が一度もなかったから、ゲームの内容を終えてからになりそうな気がする。
 明確な敵である邪神教もいるし……この調子でゲームの終わりまでいけるのだろうかと不安になってしまう。

 そんなことを考えていると私の前に来たロイが、他と比べると小さいも一番立派そうな飛行艇を指差して。

「僕達が乗るのはあれのようだね……小型だけど、性能は凄いよ」

 ロイがそう言ってから、私達は飛行艇に乗るけど……これは魔石の魔力で動くらしい。
 そもそも飛行機に乗ったのが初めてだけど、落下しないか不安にならないのは、私が飛行魔法を使えるからでしょう。

「到着したら、どうするつもりだ?」

 レックス殿下が尋ねると、ロイが頷く。

「それだけど、聖堂で大賢者と呼ばれるぐらい偉い人が挨拶に来てくれるらしい。僕はそこで聖魔力について色々聞く予定だけど……忙しい人みたいだから、雑談はできなさそうかな」

 どうやら大聖者と呼ばれるぐらい凄い人のようだけど……私はそんな肩書きの人とゲームで会った記憶がない。

 ゲームだと名前のない人で、実際は会っていた可能性はありそうだけど、ゲームのキャラとしてはそこまで重要な人ではないのだろうか。
 大聖者といっても私達にとっては別大陸の、それもロイ攻略の時だけの人だから、数文字で省略されていたのかもしれない。

「その後は、色々と聖堂でのルールを聞いてから自由行動だけど、どうする?」

 いきなり予定を聞かれた私は、ロイと対面して……この大陸に来た理由を話す。

「私は、聖魔力について調べたいと思っています」

「私もリリアン様と同意見です」

「俺はリリアンが心配だから、一緒にいようではないか」

 心配って……私が何か問題を起こすとでも思っているのだろうか?
 ちょっとレックス殿下の発言が気になったけど、私達は無事に大陸移動を終えて――聖堂に到着していた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

〈完結〉【書籍化&コミカライズ】悪妃は余暇を楽しむ

ごろごろみかん。
恋愛
「こちら、離縁届です。私と、離縁してくださいませ、陛下」 ある日、悪妃と名高いクレメンティーナが夫に渡したのは、離縁届だった。彼女はにっこりと笑って言う。 「先日、あなた方の真実の愛を拝見させていただきまして……有難いことに目が覚めましたわ。ですので、王妃、やめさせていただこうかと」 何せ、あれだけ見せつけてくれたのである。ショックついでに前世の記憶を取り戻して、千年の恋も瞬間冷凍された。 都合のいい女は本日で卒業。 今後は、余暇を楽しむとしましょう。 吹っ切れた悪妃は身辺整理を終えると早々に城を出て行ってしまった。

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

「お幸せに」と微笑んだ悪役令嬢は、二度と戻らなかった。

パリパリかぷちーの
恋愛
王太子から婚約破棄を告げられたその日、 クラリーチェ=ヴァレンティナは微笑んでこう言った。 「どうか、お幸せに」──そして姿を消した。 完璧すぎる令嬢。誰にも本心を明かさなかった彼女が、 “何も持たずに”去ったその先にあったものとは。 これは誰かのために生きることをやめ、 「私自身の幸せ」を選びなおした、 ひとりの元・悪役令嬢の再生と静かな愛の物語。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。