悪役令嬢に転生するも魔法に夢中でいたら王子に溺愛されました

黒木 楓

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2章

75話

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 翌日――魔法披露会は二日目になって、私は気を引き締める。
 ゲームの内容を知っているのは、主に今日から明日までの出来事だけだ。
 ようやく私は、何も知らない未来を生きていけそう。

 今日はロイが同行して三人で行動することになり、レックス殿下は渋々といった感じだ。
 私達は魔法披露会の出し物を楽しんでいると、レックス殿下が呟く。

「ダドリックの奴……建物の影に隠れて、何をしている?」

 レックス殿下の視線の先には、ダドリックの姿があった。
 私とロイは気付けなかったけど、常に警戒していたのかもしれない。

「応援の人は警備を担当している人もいるみたいですけど、それでしょうか?」

「堂々としていてもいいのに、一年生はダドリックのことを知ってる人が多いからかな」

 私とロイが話している間も、レックス殿下はずっとダドリックを遠目に眺めている。
 ダドリックの姿は何度か見たことがあるけど、昨日は一度も見ることができなかった。
 どうやらレックス殿下は、ダドリックを一番警戒しているようだ。

「ダドリックとは話しておきたい……すぐ戻る」

 そう言ってレックス殿下はダドリックのいた方向に走り、私はロイと二人きりになっていた。
 レックス殿下を待っていようと考えていると、ロイが先に話す。

「僕はリリアンさんのことが好きだったけど……今日の午前で諦めがついたよ」

「……えっ?」

 いきなりそんなことを言われて、私は驚いていた。
 私は普通に三人で魔法披露会を楽しんでいたけど、ロイは私のことを考えていたようだ。 

「今まで、リリアンさんはどこかレックス殿下に抵抗があったからね……僕なら、リリアンさんを不安にさせることはないと想っていたんだ」

「そう、だったのですか」

「今は違う――レックス君の好意を受け止めてリリアンさんは幸せそうにしていた。残念でもあるけど、嬉しくもあるよ」

 そう言ってロイが微笑みを浮かべて、その発言が本心だと理解する。
 レックス殿下が私達の元に戻り――再び私達は、三人で楽しむことにしていた。

   ◇◆◇

 数分後、ロイは行きたい場所があると言って、再び私はレックス殿下と二人きりになっていた。
 今日のロイの発言を聞いて、これは意図的なものだと確信している。
 レックス殿下はダドリックを見失ったようで、悔し気に呟く。

「ダドリックの奴……俺を警戒したのか逃げ去ったようだ。周囲を探したが、どこにもいなかった」

「レックス殿下を避けた辺り、何か準備をしていた可能性はありますね」

 そう言いながらも、観察者がいるから無理なのではないかと思ってしまう。
 いないものは仕方がないと割り切り、私達は魔法具の調査をしつつ披露会の出し物を楽しんでいた。

「レックス殿下。私は今この時が、一番幸せです」

「俺が傍にいるから……リリアンを、更に幸せにしてみせよう」

 ロウデス教を警戒していて、つい口に出てしまった。
 意図を察しているようで……レックス殿下は私の為に、ロウデス教を対処しようと決意してくれている。

 明日になれば全てが終わり、その時は――私の想いを伝えよう。
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