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6話
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バトルドラゴンの襲撃を対処した私は、周辺で怪我をしている冒険者の人達を治していく。
全員治すことができたから、レーマの元に向かおうと考えていると……回復魔法を終わるまで傍に居てくれたぜスタが深く頭を下げて。
「本当にありがとう……貴方が居なければ、俺はこの街を守り切れなかった!」
こうしてお礼を言われることも珍しくて、私も言わなければならないことがある。
「当然のことをしたまでです……私の方こそ、攻撃を回避したバトルドラゴンの攻撃を防いでくれて、ありがとうございます」
お互い頭を下げると、ゼスタは私を見て困惑しながら。
「いや、それこそ当然のことだろう……敬語はいらない。俺のことはゼスタと呼んで欲しい」
当然のこと……モルドーラ国はサリナを守ることを優先していて、私が怪我をしても自分の回復魔法を使えと言われている。
後衛で戦っているのだから、前衛の人が守ってくれるのは当然……そのことすら、私は今まで忘れていた。
「そ、そうね……ゼスタ。私は待たせてるレーマという魔馬が居るから、これで失礼するわ」
そう言って飛行魔法を使おうとするけど、ゼスタは私をじっと見つめる。
凛々しい紅色の瞳……ずっと眺めていたいと考えて、思わず放心していると。
「シーファ……君がよければだが、その待たせているレーマと一緒に、俺の元へ来てもらえないだろうか?」
「えっ?」
「どうしてここまでの力を使える人が、この国に来たのかを知りたい……お礼は結構だと君は言ったが、俺なら何か力になれるかもしれない。力になりたいんだ」
「……どう、して」
どうして……こんな見た目の私に、優しくしてくれるのか。
「言えない理由があるのなら、無理にとは言わないが……」
どうやら私が困惑したのを見て、ゼスタはそう思ってしまったらしい。
「いっ、いえ! 大丈夫です。レーマと一緒に戻ってきますね!」
街を守った聖女だからというのはわかっているけど、私はどんな返答を求めていて、どうしてゼスタにそこまでしてくれるのと追及できなかったのか。
自分自身の気持ちに困惑しながらも……飛行魔法を使って、私は木影に隠れているレーマの元に向かっていた。
全員治すことができたから、レーマの元に向かおうと考えていると……回復魔法を終わるまで傍に居てくれたぜスタが深く頭を下げて。
「本当にありがとう……貴方が居なければ、俺はこの街を守り切れなかった!」
こうしてお礼を言われることも珍しくて、私も言わなければならないことがある。
「当然のことをしたまでです……私の方こそ、攻撃を回避したバトルドラゴンの攻撃を防いでくれて、ありがとうございます」
お互い頭を下げると、ゼスタは私を見て困惑しながら。
「いや、それこそ当然のことだろう……敬語はいらない。俺のことはゼスタと呼んで欲しい」
当然のこと……モルドーラ国はサリナを守ることを優先していて、私が怪我をしても自分の回復魔法を使えと言われている。
後衛で戦っているのだから、前衛の人が守ってくれるのは当然……そのことすら、私は今まで忘れていた。
「そ、そうね……ゼスタ。私は待たせてるレーマという魔馬が居るから、これで失礼するわ」
そう言って飛行魔法を使おうとするけど、ゼスタは私をじっと見つめる。
凛々しい紅色の瞳……ずっと眺めていたいと考えて、思わず放心していると。
「シーファ……君がよければだが、その待たせているレーマと一緒に、俺の元へ来てもらえないだろうか?」
「えっ?」
「どうしてここまでの力を使える人が、この国に来たのかを知りたい……お礼は結構だと君は言ったが、俺なら何か力になれるかもしれない。力になりたいんだ」
「……どう、して」
どうして……こんな見た目の私に、優しくしてくれるのか。
「言えない理由があるのなら、無理にとは言わないが……」
どうやら私が困惑したのを見て、ゼスタはそう思ってしまったらしい。
「いっ、いえ! 大丈夫です。レーマと一緒に戻ってきますね!」
街を守った聖女だからというのはわかっているけど、私はどんな返答を求めていて、どうしてゼスタにそこまでしてくれるのと追及できなかったのか。
自分自身の気持ちに困惑しながらも……飛行魔法を使って、私は木影に隠れているレーマの元に向かっていた。
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