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32話

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 どうやらモルドーラ国は、バトルドラゴンを部下に持つ神龍が支配したらしい。

 モルドーラ国を拠点にしている理由はわからないけど、やっぱりサリナでは国を守れなかったようね。

「得体の知れない杭を刺している……何らかの儀式を行うつもりなら、この国に被害が出る前に止めるべきではありませんか?」 

 ゼスタはモルドーラ国というよりも、神龍の思い通りになった場合に起こる最悪の事態を考慮していた。

 モルドーラ国がどうなっても構わないけど、隣国であるこの国に被害が出るのは避けたい。

「わかっている。冒険者ギルドも警戒しているようでな。様子を見つつ精鋭を集めている最中だ」

 私でも何か企んでいると考えているのだから、冒険者ギルドとしても動くしかないようね。

「恐らく数ヶ月は様子を見つつ、戦闘に備える……その時は、シーファにも協力してもらう」

 それは聖女として当然のことで、私は頷いて。

「わかっています」

「数ヶ月でも長いと思うしかないですけどね……」

 ゼスタがそう言って、ロウーラ王は頷き。

「そうだな。動きがあれば即行動にでるらしい……杭を運ぶ作業中に調査を行える魔法職の者も、モルドーラ国に侵入しているようだ」

 一国がモンスターに乗っ取られる事態なんて初だからこそ、慎重になるしかないのでしょう。

 神龍との戦いになる可能性が高いけど……ゼスタの住むこの国を見捨てる気はない。

「俺も傍に居るし、あまり無理はしないでくれ」

 どうやら私は顔に出ていたようで、ゼスタを心配させてしまったようだ。

「……わかっています」

 平和だと思い込んだ結果、神龍に支配されたモルドーラ国は自業自得だと思うしかない。

 陛下との話を終えて、暫くは様子を見ることを知る。

 私は普段通り、ゼスタと共に聖女活動を続けていき――事件が起ころうとしていた。
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