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34話 カルス視点
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カルスは婚約者ミュリナによって死を覚悟するほどの激痛を受け、その後グランの回復魔法によって完治されている。
「ポーションの考案からパトリシアの凄さはわかるはず……まさか、ここまで無能な人が婚約者だなんて……」
ミュリナが失望したように眺めてきて、カルスは恐怖するしかなかった。
パトリシアの父ボーレスが言った通り、ポーションを考案したことで、貴族達に目をつけられている。
そしてミュリナ達ドーマス家も同じ考えのようで、パトリシアの居ないルジャス領に失望している。
グランがミュリナを止めた時に、ルジャス領にはまだ価値があると言った。
もしかしたら――ここまで全てグランの計画なのかと、警戒心を強めた瞬間。
「偉大なるお兄様を睨むだなんて、どういうつもりですか!」
「ひっ……」
どうやらカルスは無意識に睨んでいたようで、それに対してミュリナが激高する。
殴られ、何度も顔を踏みつけられた恐怖から、カルスが何も言えなくなっていると。
「お兄様の傍に居られるからこそ、私はこんな何の取り柄もない下等な男の婚約者になったのです」
呆れたように告げるミュリナの発言に対して、カルスは屈辱を必死に堪えている。
今までの温厚そうな性格が激変したことで願いさげだと言いたくなるも、相手の方が立場が上だ。
「なんですかその目は? 貴方だって子爵令嬢に同じことをしていたのでしょう?」
「ぐうぅっ……」
パトリシアを見下していたことを思い出させ、更なる屈辱をカルスは受けていた。
カルスはパトリシアと同じように見下され、その理由がパトリシアにあることに怒りを覚えている。
全てパトリシアが元凶だと考えていると、ミュリナの話が続く。
「こんな何の取り柄もない男と婚約したくなかったのに、更に無能だなんて……お兄様を困らせてしまったわ」
どうやらミュリナは、兄グランのためならなんでもすると考えていそうだ。
婚約したくなくても婚約するし、兄を困らせれば発狂する。
ミュリナを怒らせないために、グランに従うしかないと考えながら尋ねる。
「っっ……グラン様、俺は何をすればいいのですか?」
「そうだな。公には出来ない魔法の研究に協力してもらう……そうすれば、今の現状を打破できるはずさ」
公に出来ない魔法の研究――禁魔法と呼ばれる魔法に協力しろと、グランは言ってくる。
そのリスクの高さに恐怖しながらも……ミュリナのせいで、カルスは拒むことができなくなっていた。
「ポーションの考案からパトリシアの凄さはわかるはず……まさか、ここまで無能な人が婚約者だなんて……」
ミュリナが失望したように眺めてきて、カルスは恐怖するしかなかった。
パトリシアの父ボーレスが言った通り、ポーションを考案したことで、貴族達に目をつけられている。
そしてミュリナ達ドーマス家も同じ考えのようで、パトリシアの居ないルジャス領に失望している。
グランがミュリナを止めた時に、ルジャス領にはまだ価値があると言った。
もしかしたら――ここまで全てグランの計画なのかと、警戒心を強めた瞬間。
「偉大なるお兄様を睨むだなんて、どういうつもりですか!」
「ひっ……」
どうやらカルスは無意識に睨んでいたようで、それに対してミュリナが激高する。
殴られ、何度も顔を踏みつけられた恐怖から、カルスが何も言えなくなっていると。
「お兄様の傍に居られるからこそ、私はこんな何の取り柄もない下等な男の婚約者になったのです」
呆れたように告げるミュリナの発言に対して、カルスは屈辱を必死に堪えている。
今までの温厚そうな性格が激変したことで願いさげだと言いたくなるも、相手の方が立場が上だ。
「なんですかその目は? 貴方だって子爵令嬢に同じことをしていたのでしょう?」
「ぐうぅっ……」
パトリシアを見下していたことを思い出させ、更なる屈辱をカルスは受けていた。
カルスはパトリシアと同じように見下され、その理由がパトリシアにあることに怒りを覚えている。
全てパトリシアが元凶だと考えていると、ミュリナの話が続く。
「こんな何の取り柄もない男と婚約したくなかったのに、更に無能だなんて……お兄様を困らせてしまったわ」
どうやらミュリナは、兄グランのためならなんでもすると考えていそうだ。
婚約したくなくても婚約するし、兄を困らせれば発狂する。
ミュリナを怒らせないために、グランに従うしかないと考えながら尋ねる。
「っっ……グラン様、俺は何をすればいいのですか?」
「そうだな。公には出来ない魔法の研究に協力してもらう……そうすれば、今の現状を打破できるはずさ」
公に出来ない魔法の研究――禁魔法と呼ばれる魔法に協力しろと、グランは言ってくる。
そのリスクの高さに恐怖しながらも……ミュリナのせいで、カルスは拒むことができなくなっていた。
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