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番外編
5話
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春休みも半分終わり、私達はジェドフ国に戻っている。
今日は神獣ゲーベルの主ダナエルさまから教わったことを、私達は試そうとしていた。
平原にやって来て、私とウルルとジリク。そしてクインとレールドもいる。
ゲーベルの話が聞きたくてクインはジリクの屋敷に向かい、話を聞いて一緒に試してみたいと提案したからだ。
契約魔法に関することだから、クインも興味があったらしい。
『ゲーベルが使った魔力で姿を変える力を、僕は試してみるよ』
「契約魔法の力みたいだけど、本当にすぐ使えるのかしら?」
「魔力を使って弱くなるようなものだから、試さなくてもいい気がする」
「私も同じことを思ったけど、ウルルが試してみたいって言ってたから」
「それなら、試した方がよさそうだ」
ジリクは必要ないと考えているけど、私の発言に納得してくれる。
ゲーベルが魔法で姿を小さくした姿を見て、ウルルはずっと同じことがしたいと考えていた。
私としてはジリクの方が正しいと思ってしまうけど、何か理由があるのだろうか。
「ウルルさまが成功すれば、それを参考にレールドの見た目も変えられるかもしれません!」
目を輝かせて話すクインは、私服だから女子にしか見えない。
「ライラさま。どうかしましたか?」
「い、いえ! なんでもないわ。レールドも試したくなったの?」
「レールドは体の色を変化させたいようです。風景と同じ色になれば、モンスターに気付かれず先制攻撃できますからね」
「周囲の風景を全てイメージしながら魔力を使い、風景と同じ色になるのは無茶だと思う」
「確かに、難しそうね」
見た目の変化は、本来の姿から大きく変わることができないらしい。
大きくなることもできないようで、小さくなるだけ。そして、その姿を維持するにはかなりの魔力を使うようだ。
『ゲーベルが変化した姿を見たから、それを真似してみるよ』
そう言って、ダナエルさまの話を思い返しながらウルルは体内の魔力を操る。
最初は成功しないけど感覚について説明し、そこからジリクがアドバイスをしていく。
数十分後、ウルルは最初に出会った時の小さな白狼の姿に変化していた。
小さくなれる限界で膨大な魔力を消費して、攻撃魔法が前足に魔力を籠めて放つ魔法しか使えなくなってしまうようだ。
「可愛いけど、前足パンチ以外の魔法が使えなくなるのは辛いね」
「ウルルさまの攻撃魔法、前足パンチって名前なんですか」
なぜかクインは唖然としているけど、私が名付けた魔法名に何か思うことがあるのだろうか?
わかりやすくていいじゃない、前足パンチ。
そんなことを考えてしまうと、思案していたジリクが話す。
「成功してよかった。次はライラがウルルの魔法を使えないか試そう」
ウルルはレールドに方法を話して、姿を変えられないか試している。
その間にジリクは、私にウルルの魔法が使えないか確認したいようだ。
「ダナエルから聞いたが、契約獣の魔法は主と合った魔法しか使えないようだ」
「そうなの?」
「ああ。ダナエルも魔力による障壁を張る魔法しか、ゲーベルの魔法を使えないと言っていた」
ジリクがダナエルさまから聞いたことを話すけど、主が扱える魔法の適性が重要らしい。
私は攻撃魔法を使いたいと思えないから、契約獣の攻撃魔法を使おうとすれば魔力は消費するけど扱うことができないようだ。
「学園で習う攻撃魔法は使えるけど、難易度が違い過ぎるみたい」
「契約獣の魔法は、人が使う魔法とは全然違う。使えない方が普通だ」
ウルルは攻撃魔法の他に回復魔法を使えるから、今日は回復魔法が使えないか試している。
成功はしなかったけど、これは私が回復魔法について学園でもまだ学んでいないからのようだ。
使えない理由に納得できたから、これから頑張っていけばいい。
そう決意して、私はジリクとウルルの元へ向かう。
そこにはウルルと落ち込んでいるレールド、励ましているクインの姿があった。
「ウルル、レールドの見た目は変わらなかったの?」
『うん。それでも練習していけば、見た目を変えられると思うよ』
小さくなったレールドの姿は見たかったから、少し残念でもある。
その後のウルルは、見た目の色を変えることができないか試していた。
どうやらペガサスが披露していた発光と同じ力らしく、ウルルも同じように体を光らせることに成功した。
見た目を変えることはできたけど……ウルルがなにか気にしていそうなことが、私は気になっていた。
◇◆◇
試したいことを試した私とウルルは、屋敷に戻っている。
夕方になってジリクとクインは帰っていき、私は部屋でウルルと話していた。
その後レールドの見た目も変えることができて、魔力が一定より高ければ簡単にできる技術とジリクが言っていた。
それはよかったけど……私は気になったことがあって、ウルルに尋ねる。
「そういえば、ウルルはどうしてそこまで見た目を変化させたかったの?」
『気付いていたのかい?』
「なんとなくそんな気がしたけど、何かあったの?」
先代の神獣ダナエルが見た目を小さくした際に、ウルルはそれを羨ましそうに眺めている。
怖すぎると言われ続けていたから、ウルルは小さくなりたいと思ったのだろうか。
今のウルルが一番好きと言おうとした時、私に話してくれる。
『僕は、その……昔のように、ライラにに抱きしめて欲しくなったんだ』
――私は、ウルルに会ったばかりの頃を思い出す。
会った時は小さくて、周囲に怯えていたから私はよくウルルを抱きしめていた。
そうすると嬉しそうにしていたけど、成長して私が抱きつくようになっている。
ゲーベルがダナエルさまに抱えられている姿を見て、昔のように抱きしめて欲しくなったようだ。
「……懐かしいね。ウルルと一緒にいられて、私は幸せよ」
私は小さくなったウルルを、抱きしめながら呟く。
小さくなると常に魔力を使ってしまうから、ずっとこの状態ではいられない。
ウルルが魔力を使いすぎていれば、私はわかるから大丈夫。
神獣になった後でも、ウルルの可愛さは変わらなかった。
今日は神獣ゲーベルの主ダナエルさまから教わったことを、私達は試そうとしていた。
平原にやって来て、私とウルルとジリク。そしてクインとレールドもいる。
ゲーベルの話が聞きたくてクインはジリクの屋敷に向かい、話を聞いて一緒に試してみたいと提案したからだ。
契約魔法に関することだから、クインも興味があったらしい。
『ゲーベルが使った魔力で姿を変える力を、僕は試してみるよ』
「契約魔法の力みたいだけど、本当にすぐ使えるのかしら?」
「魔力を使って弱くなるようなものだから、試さなくてもいい気がする」
「私も同じことを思ったけど、ウルルが試してみたいって言ってたから」
「それなら、試した方がよさそうだ」
ジリクは必要ないと考えているけど、私の発言に納得してくれる。
ゲーベルが魔法で姿を小さくした姿を見て、ウルルはずっと同じことがしたいと考えていた。
私としてはジリクの方が正しいと思ってしまうけど、何か理由があるのだろうか。
「ウルルさまが成功すれば、それを参考にレールドの見た目も変えられるかもしれません!」
目を輝かせて話すクインは、私服だから女子にしか見えない。
「ライラさま。どうかしましたか?」
「い、いえ! なんでもないわ。レールドも試したくなったの?」
「レールドは体の色を変化させたいようです。風景と同じ色になれば、モンスターに気付かれず先制攻撃できますからね」
「周囲の風景を全てイメージしながら魔力を使い、風景と同じ色になるのは無茶だと思う」
「確かに、難しそうね」
見た目の変化は、本来の姿から大きく変わることができないらしい。
大きくなることもできないようで、小さくなるだけ。そして、その姿を維持するにはかなりの魔力を使うようだ。
『ゲーベルが変化した姿を見たから、それを真似してみるよ』
そう言って、ダナエルさまの話を思い返しながらウルルは体内の魔力を操る。
最初は成功しないけど感覚について説明し、そこからジリクがアドバイスをしていく。
数十分後、ウルルは最初に出会った時の小さな白狼の姿に変化していた。
小さくなれる限界で膨大な魔力を消費して、攻撃魔法が前足に魔力を籠めて放つ魔法しか使えなくなってしまうようだ。
「可愛いけど、前足パンチ以外の魔法が使えなくなるのは辛いね」
「ウルルさまの攻撃魔法、前足パンチって名前なんですか」
なぜかクインは唖然としているけど、私が名付けた魔法名に何か思うことがあるのだろうか?
わかりやすくていいじゃない、前足パンチ。
そんなことを考えてしまうと、思案していたジリクが話す。
「成功してよかった。次はライラがウルルの魔法を使えないか試そう」
ウルルはレールドに方法を話して、姿を変えられないか試している。
その間にジリクは、私にウルルの魔法が使えないか確認したいようだ。
「ダナエルから聞いたが、契約獣の魔法は主と合った魔法しか使えないようだ」
「そうなの?」
「ああ。ダナエルも魔力による障壁を張る魔法しか、ゲーベルの魔法を使えないと言っていた」
ジリクがダナエルさまから聞いたことを話すけど、主が扱える魔法の適性が重要らしい。
私は攻撃魔法を使いたいと思えないから、契約獣の攻撃魔法を使おうとすれば魔力は消費するけど扱うことができないようだ。
「学園で習う攻撃魔法は使えるけど、難易度が違い過ぎるみたい」
「契約獣の魔法は、人が使う魔法とは全然違う。使えない方が普通だ」
ウルルは攻撃魔法の他に回復魔法を使えるから、今日は回復魔法が使えないか試している。
成功はしなかったけど、これは私が回復魔法について学園でもまだ学んでいないからのようだ。
使えない理由に納得できたから、これから頑張っていけばいい。
そう決意して、私はジリクとウルルの元へ向かう。
そこにはウルルと落ち込んでいるレールド、励ましているクインの姿があった。
「ウルル、レールドの見た目は変わらなかったの?」
『うん。それでも練習していけば、見た目を変えられると思うよ』
小さくなったレールドの姿は見たかったから、少し残念でもある。
その後のウルルは、見た目の色を変えることができないか試していた。
どうやらペガサスが披露していた発光と同じ力らしく、ウルルも同じように体を光らせることに成功した。
見た目を変えることはできたけど……ウルルがなにか気にしていそうなことが、私は気になっていた。
◇◆◇
試したいことを試した私とウルルは、屋敷に戻っている。
夕方になってジリクとクインは帰っていき、私は部屋でウルルと話していた。
その後レールドの見た目も変えることができて、魔力が一定より高ければ簡単にできる技術とジリクが言っていた。
それはよかったけど……私は気になったことがあって、ウルルに尋ねる。
「そういえば、ウルルはどうしてそこまで見た目を変化させたかったの?」
『気付いていたのかい?』
「なんとなくそんな気がしたけど、何かあったの?」
先代の神獣ダナエルが見た目を小さくした際に、ウルルはそれを羨ましそうに眺めている。
怖すぎると言われ続けていたから、ウルルは小さくなりたいと思ったのだろうか。
今のウルルが一番好きと言おうとした時、私に話してくれる。
『僕は、その……昔のように、ライラにに抱きしめて欲しくなったんだ』
――私は、ウルルに会ったばかりの頃を思い出す。
会った時は小さくて、周囲に怯えていたから私はよくウルルを抱きしめていた。
そうすると嬉しそうにしていたけど、成長して私が抱きつくようになっている。
ゲーベルがダナエルさまに抱えられている姿を見て、昔のように抱きしめて欲しくなったようだ。
「……懐かしいね。ウルルと一緒にいられて、私は幸せよ」
私は小さくなったウルルを、抱きしめながら呟く。
小さくなると常に魔力を使ってしまうから、ずっとこの状態ではいられない。
ウルルが魔力を使いすぎていれば、私はわかるから大丈夫。
神獣になった後でも、ウルルの可愛さは変わらなかった。
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