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魔法学園に通って2年生になって半年が経つけど、フルディ殿下は未だにドルーダ殿下に妨害工作を行っていた。
私が知っている範囲では阻止するために動き、それによって学園内で私の評判が悪くなる。
時々ラッセルを呼び出して会話をしているのも、悪評の原因となっていそうだ。
「俺はミレイユ様の言うとおり「妹がフルディ殿下に近づいていることで怒られている」と周囲に伝えていますけど……本当によろしいのですか?」
「構いません。明確な理由がある方が、こうして密談していても怪しまれないものです」
どうやらフルディ殿下は様々な女生徒と仲がいいけど、特に妹のミラーナとラッセルの妹を溺愛している様子だった。
公爵家と一番立場が大きくて私と違い扱いやすいミラーナ、そして侯爵家で魔道具を貢いでくれるラッセルの妹……この2人は、フルディ殿下にとって特に重宝する道具のようだ。
「それでは今日も……用意してくれた新たな魔道具と、フルディ殿下が入手したと思われる魔道具について教えてください」
最初に頼んだ時、私はラッセルが、フルディ殿下に魔道具を渡そうとしていることを伝える可能性を警戒していた。
その時はラッセルの妹が妨害工作用の魔道具を入手していることを利用して、なんとか誤魔化そうと考えていたけど……ラッセルは告げ口をしていない。
そして、しっかり私が1人で生きるために必要となりそうな魔道具を準備してくれたから、私はラッセルを信用することに決めていた。
1人で生きるために便利になる魔道具のことと、ラッセルの妹を調べることで妨害工作の魔道具を知って、これからどう対策するかを考える必要がある。
もう私がこの国を出ることを察していそうなラッセルは、どのタイミングで出て行くのかを気にしている様子だけど、まだ早い。
私はいつも通り、ラッセルが用意してくれている新しい魔道具の話と、妨害工作用にフルディ殿下に貢いだ魔道具の詳細を聞いて、普通なら話が終わるはずだった。
ラッセルは言うか少し悩んだ後、決意した様子で口を開いて。
「調べたときに解ったことですが……どうやらドルーダ殿下も、フルディ殿下が入手する予定の魔道具を調査していたようです」
「えっ!?」
それは恐らく、調査している時だからこそ解ったことなのでしょう。
どうやらドルーダ殿下は、この時点でフルディ殿下が妨害工作をしていることを完全に把握していたらしい。
それならどうして、ドルーダ殿下はフルディ殿下を自由にさせているのだろう?
「理由は解りませんが……ミレイユ様、どうしました?」
「な、なんでもないわ。教えてくれてありがとうございます」
お礼を言いながらも、私は困惑するしかない。
ドルーダ殿下は、フルディ殿下の行動を把握している。
それでも対処しようと行動していないのは、私と同じで改心するのを待っているのか、それともフルディ殿下を泳がせているだけなのか。
とにかく……ドルーダ殿下が察しているのなら、フルディ殿下は絶対に助からない。
理想は今の内にフルディ殿下を改心させることだけど、もう無理だと確信していた。
慈善として婚約を破棄したいけど、それはお父様とお母様が許さない。
いつドルーダ殿下がフルディ殿下を糾弾してもおかしくなくて、早く国を出ないと、私も巻き込まれてしまう。
もう限界だ……来年ミラーナが行動に出ようとした時がきたら、その時が決別の時となる。
もしドルーダ殿下が先に行動したら私は無関係だと言い張るしかないけど、それは仕方がないでしょう。
私はようやく決別すると決意することができて――その時はやってきた。
私が知っている範囲では阻止するために動き、それによって学園内で私の評判が悪くなる。
時々ラッセルを呼び出して会話をしているのも、悪評の原因となっていそうだ。
「俺はミレイユ様の言うとおり「妹がフルディ殿下に近づいていることで怒られている」と周囲に伝えていますけど……本当によろしいのですか?」
「構いません。明確な理由がある方が、こうして密談していても怪しまれないものです」
どうやらフルディ殿下は様々な女生徒と仲がいいけど、特に妹のミラーナとラッセルの妹を溺愛している様子だった。
公爵家と一番立場が大きくて私と違い扱いやすいミラーナ、そして侯爵家で魔道具を貢いでくれるラッセルの妹……この2人は、フルディ殿下にとって特に重宝する道具のようだ。
「それでは今日も……用意してくれた新たな魔道具と、フルディ殿下が入手したと思われる魔道具について教えてください」
最初に頼んだ時、私はラッセルが、フルディ殿下に魔道具を渡そうとしていることを伝える可能性を警戒していた。
その時はラッセルの妹が妨害工作用の魔道具を入手していることを利用して、なんとか誤魔化そうと考えていたけど……ラッセルは告げ口をしていない。
そして、しっかり私が1人で生きるために必要となりそうな魔道具を準備してくれたから、私はラッセルを信用することに決めていた。
1人で生きるために便利になる魔道具のことと、ラッセルの妹を調べることで妨害工作の魔道具を知って、これからどう対策するかを考える必要がある。
もう私がこの国を出ることを察していそうなラッセルは、どのタイミングで出て行くのかを気にしている様子だけど、まだ早い。
私はいつも通り、ラッセルが用意してくれている新しい魔道具の話と、妨害工作用にフルディ殿下に貢いだ魔道具の詳細を聞いて、普通なら話が終わるはずだった。
ラッセルは言うか少し悩んだ後、決意した様子で口を開いて。
「調べたときに解ったことですが……どうやらドルーダ殿下も、フルディ殿下が入手する予定の魔道具を調査していたようです」
「えっ!?」
それは恐らく、調査している時だからこそ解ったことなのでしょう。
どうやらドルーダ殿下は、この時点でフルディ殿下が妨害工作をしていることを完全に把握していたらしい。
それならどうして、ドルーダ殿下はフルディ殿下を自由にさせているのだろう?
「理由は解りませんが……ミレイユ様、どうしました?」
「な、なんでもないわ。教えてくれてありがとうございます」
お礼を言いながらも、私は困惑するしかない。
ドルーダ殿下は、フルディ殿下の行動を把握している。
それでも対処しようと行動していないのは、私と同じで改心するのを待っているのか、それともフルディ殿下を泳がせているだけなのか。
とにかく……ドルーダ殿下が察しているのなら、フルディ殿下は絶対に助からない。
理想は今の内にフルディ殿下を改心させることだけど、もう無理だと確信していた。
慈善として婚約を破棄したいけど、それはお父様とお母様が許さない。
いつドルーダ殿下がフルディ殿下を糾弾してもおかしくなくて、早く国を出ないと、私も巻き込まれてしまう。
もう限界だ……来年ミラーナが行動に出ようとした時がきたら、その時が決別の時となる。
もしドルーダ殿下が先に行動したら私は無関係だと言い張るしかないけど、それは仕方がないでしょう。
私はようやく決別すると決意することができて――その時はやってきた。
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