婚約者の王子が危険すぎるから、奪おうと目論んでいた妹に譲ります

黒木 楓

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38話

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 あれから――トールズ魔道具店は、とてつもなく繁盛していた。

 今のところ問題点は店の位置が悪かっただけで、魔道具の質はいいものばかりだ。

 魔道具や武器も取りそろえていて性能がいいこともあり、どの商品もかなり売れている。

 このペースなら最初の目的の黒字経営は達成できそうで、閉店してからラッセルと今後についての話をすることにしていた。

「ひとまず、最初の目的だった黒字にはなりそうね」

「これもミレイユが行動してくれたお陰だ……気になることもあったけど、順調だね」

 そう言って微笑むラッセルだけど、気になること?

「それって、この前のブレスドラゴンのこと?」

 思い当たるのはそれぐらいしかなかったから尋ねると、ラッセルは頷いて。

「モンスターを操る魔道具を作ろうとしたことがあったんだけど、結局無理だった……その時、モンスターを異種のようにする魔道具なら作れそうだと思ったんだ」

 どうやらブレスドラゴンを見て戸惑っていたのは、それが原因のようね。

 ラッセルの話を聞いて、私は推測を口にする。

「それって、ブレスドラゴンの件は、魔道具が関わっているかもしれないってこと?」

「可能性は高い……それに、いや、これは考えすぎかな」

 そう言われると、私は気になってしまう。

「考えすぎって、どうしたの?」

「定休日は決めていただろ。そしてミレイユは宣伝のためにモンスターを圧倒的な力で狩っていた……定休日にダンジョンに潜ろうと考える可能性を考慮して、鉢合わせるためにブレスドラゴンを用意していたのかもしれない」

 どうやらラッセルは、今までのことと、事前に伝えていた定休日、魔道具を使ったとしか思えないブレスドラゴンの存在から……全て私達を消すための行動だと考えたようだ。

 確かに……そこまでいくと、考えすぎのような気がする。

「偶然だと思うけど……そこまで考える辺り、ラッセルはこんなことができる人を知っていたりするの?」

「いや……でも、魔道具店が繁盛したら、他の魔道具店は危機感を抱くのは間違いなくて、その時他の魔道具店がとる行動は上を目指すか、その魔道具店を下に落とすかのどちらかだと思うんだ」

 魔道具店を経営すると考えていたからこそ、他の魔道具店が私とラッセルを消すために動いたと推測しているようね。

 ラッセルの話を聞くとそうかもしれないと思うようになって……これからどうすればいいのか、私はラッセルと話し合おうとしていた。
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