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第四章:祭りと畑のレシピ
67、地域の絆と伝統の味(前半)
しおりを挟む秋の澄んだ空気が心地よいある朝、私は地域の公民館前広場に集まった人たちの中にいた。涼しい風が木々の葉を揺らし、遠くからは楽しそうな子どもたちの声が聞こえてくる。
「今日は収穫祭の準備だね!」
奏汰も元気よく声をかけてきた。
私は笑顔でうなずきながら、広場の隅に置かれた長机の上に並ぶ色とりどりの秋の野菜や果物を見渡した。かぼちゃ、さつまいも、りんご、栗……これらは地域の農家さんが収穫したばかりの新鮮なものばかりだ。
「ことりちゃん、こっち手伝ってくれる?」と、農家の斉藤さんが声をかけてくれた。
「はい!」
私は張り切って大きなかぼちゃの皮むきを始める。包丁の扱いはまだ慎重だけれど、斉藤さんが優しく教えてくれたおかげでだんだんコツをつかんできた。
その隣では奏汰が、たくさんのさつまいもをきれいに洗っている。水で泥を落とす作業は思ったより力が必要で、二人は少し汗ばむ。
「これ、みんなで食べるんだね。楽しみだなあ」
私が言うと、奏汰も「みんなの笑顔を見るのが、一番のごちそうだよね」と応えた。
作業の合間、地域の子どもたちが伝統的な遊びの練習をしている。竹で作ったけん玉やこま回し、そして昔ながらの歌をみんなで口ずさんでいた。
「私たちもやってみようよ!」
私は友達のいぶきと手を取り合いながら、こま回しに挑戦した。最初はうまく回らず何度も失敗したけれど、笑いながら何度もチャレンジするうちに少しずつ回せるようになった。
「昔の遊びって意外と難しいけど、すごく楽しいね」
いぶきが言った。
私はその言葉に頷きながら、昔の人たちがこうやって遊び、笑いながら地域をつないできたんだなあと感じた。
一方、料理の準備はさらに本格的になっていった。地元の女性たちが手際よく調理台を仕切り、収穫した野菜を使った煮物やスープが次々と出来上がっていく。
私は栗ごはんの仕込みを手伝うことになった。栗の皮をむき、きれいに洗ってからお米と一緒に鍋に入れる。調味料は、醤油とみりん、塩をほんの少しずつ加える。味付けの加減はいつも地域の料理上手なおばあさんが調整してくれた。
「栗ごはんは、秋の味覚の代表だよ。みんなの心をほっとさせる味だから、大事に作るんだ」
おばあさんの言葉を胸に、私はていねいに栗の皮をむき続けた。
夕方になり、準備は佳境に入った。飾りつけのために、稲わらを使った輪飾りや手作りの紙飾りをみんなで作った。子どもたちも夢中になって手伝い、地域の伝統が少しずつ受け継がれていくのを実感した。
「ねえ、ことり、こういう祭りってやっぱりいいよね。みんなが一緒に集まると、元気が出る」
奏汰が言った。
私はにっこり笑って答えた。
「うん、ひとりじゃできないことも、みんなでやると楽しいし、強くなれるね」
その日の夜、私は家に帰ってからノートを開いた。
〈収穫祭の準備で学んだこと〉
・地域の人たちが協力して伝統を守っていること
・手作りの飾りつけや料理には心が込められていること
・昔の遊びは難しいけど、みんなでやると楽しい
・料理は素材の味を大切にしながら、みんなに喜んでもらうために工夫すること
〈栗ごはんの簡単レシピ〉
材料(4人分)
・米 2合
・栗 10個
・醤油 大さじ1
・みりん 大さじ1
・塩 小さじ1/2
作り方
栗は皮をむいて水にさらす。
米は洗って炊飯器に入れる。
醤油、みりん、塩を加え、普通の水加減より少し少なめに水を入れる。
栗を上にのせて炊く。
私はページを閉じて、明日の学校の発表会でみんなにこの話をするのが楽しみになった。
収穫祭を通して感じたのは、ただの作業以上の〈地域の絆〉と〈伝統を守る心〉だった。
そんな温かい気持ちが、私の心にしっかりと根付いていった。
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