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第四章:祭りと畑のレシピ
71、夕焼けと未来の約束(前半)
しおりを挟む夕暮れの空に赤みが広がり、収穫祭の会場は徐々に静けさを取り戻していた。友達や地域の人たちと協力して、使ったテントやテーブルを片付ける。汗をかきながらも、みんなの顔には満足そうな笑みが浮かんでいた。
「ことり、こっち来て!」奏汰の声に振り返ると、彼は笑いながら木箱を手にしていた。
「今日、楽しかったね」私は息を整えながら奏汰の隣に歩み寄った。
「うん。野菜のこと、もっと知りたくなった。作る人の話も聞けて、なんだか作物がもっと身近に感じるよ」
奏汰の言葉に、私もうなずいた。
「私も。昔の農家の方の話、すごく印象に残った。手作業で毎日がんばってたんだって。今は機械があるけど、自然相手だから楽じゃないんだね」
近くで話しているおじいさんの声が耳に入った。
「昔は全部手でやってな、朝から晩まで休みもなく働いたもんだ。だけど苦労の先には、こうしてみんなの笑顔がある。それが何よりの励みさ」
言葉に込められた重みを感じて、私の胸はじんわり熱くなった。
家に帰ると、私は玄関で母に今日のことを話し始めた。
「今日は収穫祭の手伝いをして、農家の人たちの話をたくさん聞いたよ。昔は機械もなくて大変だったって」
母は優しい笑顔で聞いてくれた。
「そうね。私たちの時代はまだまだ手作業が多かったけど、みんなで助け合って乗り越えてきたのよ。今は便利になったけど、だからこそ感謝しないとね」
私はうなずきながら、心の中で(お菓子作りも同じだ)と思った。材料のひとつひとつに、そういう歴史と努力があるんだ。
夕食後、私は自分の部屋に戻ってノートを開いた。収穫祭での出来事を振り返りながら、一枚一枚ページをめくる。
〈このトマト、形は不揃いだけど味が濃くて甘かったな〉奏汰と話したことを書き留めてある。
〈農家の方が話してくれた、昔の苦労の話。手作業で泥だらけになりながら働いたって…〉
ノートの隅には、私が作りたいお菓子のアイデアもメモしていた。
〈自分で育てた野菜や果物を使って、皮まで無駄なく使うお菓子。甘さははちみつやステビアで調節して…〉
ペンが進むうちに、私の気持ちはどんどん前向きになっていった。
(これからも、もっと知りたい。作りたい。みんなを笑顔にできるお菓子をつくりたい)
奏汰が部屋に入ってきて、にこっと微笑んだ。
「ことり、明日も一緒にレシピ考えようよ。次はもっとおいしいの作ろう!」
私は笑顔で答えた。
「うん、絶対に。未来に向かって、私たちの挑戦は続くんだね」
窓の外の夕焼けが、未来の光のように輝いていた。
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