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第2部 始祖竜編
39話 ブラウア大陸に向けて①
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しばらく歩いて、ようやくコルタルに辿り着いた。
テネルの仲間を迎えに行った時にも港の様子が見えたけど、
相変わらず人通りが多くて賑やかだ。
「賑やかだとこっちの気分も明るくなるね、ラディウス」
『…………』
「ラディウス?」
もう1度声をかけてみたけど、やっぱり反応がなかった。
まだ、さっきのスライムベトベト攻撃を引きずってるのかもしれない。
不安だったけど立ち止まるわけにもいかないので、そのまま船を目指すことにした。
石畳の通りを歩いて奥へ進むと、桟橋が見えた。
そのすぐ側に、見慣れてきた船が水面に合わせて揺れている。
いつも通りお金を用意して桟橋の列に並んだ。今日は空いているみたいで、私の後ろには誰も並ばない。
順番が来ると顔見知りになった桟橋のお兄さんが笑いかけてくる。
「よう、嬢ちゃん。最近よく乗るな」
「用事が多くなったので。……銅貨5枚でしたよね?」
「ああ」
お兄さんに銅貨5枚を渡すと、いつも通りナイフで軽く削ってから首を縦に振った。
「いいぜ、乗んな。
まぁ、嬢ちゃんは偽装なんてしないとは思うが」
「するつもりはないですよ。
ところで……1つ聞いてもいいですか?」
念の為、後ろに人が並んでいないかを確認してから声をかける。
お兄さんは不思議そうに目を細めた。
「おう、どうした?」
「ブラウア大陸ってどうやって行くんですか?」
「ブラウア大陸ぅ!?…………悪い、思わず大声出しちまった。
しかしなんでまたそんな所に……。ヴァイスア大陸の真反対じゃねぇか」
お兄さんはジェイドさんと同じ反応をすると、バツが悪そうに頭をかいた。
「用事があって……」
「あー、俺が話してもいいんだが、出航まで少し時間がある。
先に船に乗って、船長にでも聞いてくれ」
「わかりました。ありがとうございます!」
お礼を言ってから船に乗り、船長さんの姿を探す。
彼は船の先頭に腕を組んで立っていた。
「船長さ~ん!」
「よう、おてんば嬢ちゃんじゃねぇか!」
「おてんば……」
まだ初回の騒動のイメージを引きずっているのか、船長さんがニヤニヤしながら声をかけてくる。
間違ってはいないけど、少し恥ずかしくなった。
「最近よく乗るなぁ!家出か?」
「いいえ。少し忙しくなってきたんです。
ところで、1つ聞いてもいいですか?」
「ん?」
「ブラウア大陸ってどうやって行くんですか?」
「ブラウア大陸ぅっ!?」
船長さんは桟橋のお兄さんと全く同じ反応を示すと、魚みたいに口をパクパクさせた。
口元にある立派ヒゲまでしおれているように見える。
『やっぱブラウア大陸行くの、よっぽど珍しいんだな』
ラディウスが呆れたような声で口を挟む。
コルタルについてから一言も喋っていなかったので、少し安心した。
「桟橋のお兄さんも同じ反応しました」
「あ、あぁ……トーマもか。っていや、そんなことはどうでもいい。
ブラウアはロートアで船を乗り換えなきゃ行けねぇぞ。
ロートアまでは俺達の船だが、そこからブラウアまでは別の船団だ」
「な、なるほど。船団で担当海域が決まってるんですね」
実は貴族の常識を頭に詰め込んでいた時に、息抜きとしてロイヤーさんから世界についていろいろ教えてもらっていた。
なんでも、貴族の家庭教師になる前は各地を旅していたらしい。
それで海には「海域」という区分があることを知った。
「そりゃあそうだ。
1船団で全域回ってたら、時間がいくらあっても足りねぇ。
まぁ、どこもおおらかな雰囲気だけどよ」
「とりあえずロートア大陸まで乗ってたらいいんですね?」
「とりあえずはな。
だが1回クラルハイトで降りて、また乗船料払ってもらうからな。銀貨2枚」
「わかりましたっ!」
元気よく返事をすると、船長さんは負けじと豪快に笑った。
「ナーッハッハ!!それでこそ海の女だ!!」
「海の女になるつもりはないんですけど……」
「例えだ例え!!ハッハッハ!!」
船長さんの笑い声を聞いていると、胸の不安が小さくなってくる。
すると、そこへ桟橋のお兄さん――トーマさんがやって来た。
「船長、時間だ」
「よーし!!それじゃあ行くかぁ!!」
船長さんの号令で、船が進み始める。
興奮で少し胸が高鳴ってきた。
テネルの仲間を迎えに行った時にも港の様子が見えたけど、
相変わらず人通りが多くて賑やかだ。
「賑やかだとこっちの気分も明るくなるね、ラディウス」
『…………』
「ラディウス?」
もう1度声をかけてみたけど、やっぱり反応がなかった。
まだ、さっきのスライムベトベト攻撃を引きずってるのかもしれない。
不安だったけど立ち止まるわけにもいかないので、そのまま船を目指すことにした。
石畳の通りを歩いて奥へ進むと、桟橋が見えた。
そのすぐ側に、見慣れてきた船が水面に合わせて揺れている。
いつも通りお金を用意して桟橋の列に並んだ。今日は空いているみたいで、私の後ろには誰も並ばない。
順番が来ると顔見知りになった桟橋のお兄さんが笑いかけてくる。
「よう、嬢ちゃん。最近よく乗るな」
「用事が多くなったので。……銅貨5枚でしたよね?」
「ああ」
お兄さんに銅貨5枚を渡すと、いつも通りナイフで軽く削ってから首を縦に振った。
「いいぜ、乗んな。
まぁ、嬢ちゃんは偽装なんてしないとは思うが」
「するつもりはないですよ。
ところで……1つ聞いてもいいですか?」
念の為、後ろに人が並んでいないかを確認してから声をかける。
お兄さんは不思議そうに目を細めた。
「おう、どうした?」
「ブラウア大陸ってどうやって行くんですか?」
「ブラウア大陸ぅ!?…………悪い、思わず大声出しちまった。
しかしなんでまたそんな所に……。ヴァイスア大陸の真反対じゃねぇか」
お兄さんはジェイドさんと同じ反応をすると、バツが悪そうに頭をかいた。
「用事があって……」
「あー、俺が話してもいいんだが、出航まで少し時間がある。
先に船に乗って、船長にでも聞いてくれ」
「わかりました。ありがとうございます!」
お礼を言ってから船に乗り、船長さんの姿を探す。
彼は船の先頭に腕を組んで立っていた。
「船長さ~ん!」
「よう、おてんば嬢ちゃんじゃねぇか!」
「おてんば……」
まだ初回の騒動のイメージを引きずっているのか、船長さんがニヤニヤしながら声をかけてくる。
間違ってはいないけど、少し恥ずかしくなった。
「最近よく乗るなぁ!家出か?」
「いいえ。少し忙しくなってきたんです。
ところで、1つ聞いてもいいですか?」
「ん?」
「ブラウア大陸ってどうやって行くんですか?」
「ブラウア大陸ぅっ!?」
船長さんは桟橋のお兄さんと全く同じ反応を示すと、魚みたいに口をパクパクさせた。
口元にある立派ヒゲまでしおれているように見える。
『やっぱブラウア大陸行くの、よっぽど珍しいんだな』
ラディウスが呆れたような声で口を挟む。
コルタルについてから一言も喋っていなかったので、少し安心した。
「桟橋のお兄さんも同じ反応しました」
「あ、あぁ……トーマもか。っていや、そんなことはどうでもいい。
ブラウアはロートアで船を乗り換えなきゃ行けねぇぞ。
ロートアまでは俺達の船だが、そこからブラウアまでは別の船団だ」
「な、なるほど。船団で担当海域が決まってるんですね」
実は貴族の常識を頭に詰め込んでいた時に、息抜きとしてロイヤーさんから世界についていろいろ教えてもらっていた。
なんでも、貴族の家庭教師になる前は各地を旅していたらしい。
それで海には「海域」という区分があることを知った。
「そりゃあそうだ。
1船団で全域回ってたら、時間がいくらあっても足りねぇ。
まぁ、どこもおおらかな雰囲気だけどよ」
「とりあえずロートア大陸まで乗ってたらいいんですね?」
「とりあえずはな。
だが1回クラルハイトで降りて、また乗船料払ってもらうからな。銀貨2枚」
「わかりましたっ!」
元気よく返事をすると、船長さんは負けじと豪快に笑った。
「ナーッハッハ!!それでこそ海の女だ!!」
「海の女になるつもりはないんですけど……」
「例えだ例え!!ハッハッハ!!」
船長さんの笑い声を聞いていると、胸の不安が小さくなってくる。
すると、そこへ桟橋のお兄さん――トーマさんがやって来た。
「船長、時間だ」
「よーし!!それじゃあ行くかぁ!!」
船長さんの号令で、船が進み始める。
興奮で少し胸が高鳴ってきた。
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