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第1部 魔族配下編 第1章
魔王に屈する
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絶体絶命の状況だった。
世界平和の為に魔王討伐を目指し遂に対峙したのだが、魔王の圧倒的な力に仲間はみな倒れ、残りは俺だけになってしまった。
魔王は余裕の笑みを浮かべている。
「どうした?勇者よ。まさかこの程度で終わるわけではあるまい?」
(さすがは魔王。強さがケタ違いだ)
城に乗り込んでからここに来るまでに幹部を1人倒していた。手強かったが相手が回復手段を持ってないことが幸いして、
どうにか勝つことができた。
しかし魔王は幹部とは比べ物にならないぐらい強い。
補助魔法で防御力を上げてもらっても中傷を負うため回復が追いつかず、ヒーラーが倒れ、
そこからソーサラーとタンクも倒れた。
「ぐっ……」
齒を噛みしめる事しか出来なかった。
このまま立ち向かっても勝ち目が無いのは明らかだが、死ぬのはどうしても嫌だった。
(仲間には申し訳ないが……ここで死なないようにするには)
そこら辺にいるモンスターなら逃げれるかもしれない。
しかし相手は魔王。俺たち冒険者の最終討伐目標だ。
(逃げれたとしても、俺はただのソードマンだから
魔法を使えない。魔王じゃなくても他のヤツにヤラれる……)
必死に頭を回転させていると魔王が舌打ちをした。
そして俺の眼前に移動し鋭い爪を振り上げる。
「つまらん。終わりにしてやる」
「ま、待て!今から捨て身の技を見せてやる!」
「ほう?」
捨て身の技という言葉に興味を示したようで魔王の動きが止まる。
|(イチかバチか‼)
俺は大きく息を吸い込むと床に平伏した。
「配下にしてください!」
「……………………は?」
魔王の呆れ返った声が響く。誰だって今戦っている相手が「配下にしてくれ」なんて言ったらそうなるだろう。
俺は構わず床に頭を打ちつけた。
「…………それがキサマの捨て身とやらか?」
「お願いします!」
「断る。油断させて我の首を取るつもりであろう?」
「いいえ!そんな事しません!」
「信用ならん。失せよ」
魔王は赤い目をギラリと光らせると再び爪を振り上げる。
俺は震えながら魔王を見た。
「な、何でもします!掃除でも洗濯でも!」
「…………何故そこまで生に執着する?今までこのような状況に陥った勇者を多々見てきたが、
潔く散るか尻尾巻いて帰るかのどちらかだ。
お前のようなヤツは初めてよ」
魔王はそう言いながら腕を下ろした。だが、まだ爪は出したままで鋭い目つきで俺を睨んでいる。
「し、死にたくないんです……」
自分でも呆れているがこれは紛れもない本心だ。
死んでも教会に送り返されて復活するのはわかっている。
それでも死ぬのが怖い。
なら、今まで全滅しなかったのかと言われると違う。
何度かあったが、俺はたいてい2番目に倒れており、
最後まで残ったのは今回が初めてだからだ。
(最後に残るのってこんなにも怖かったのか……)
震えながら次の言葉を待つ。
魔王は呆れたようにため息をつくと口を開いた。
「……よくそれで勇者を名乗っておるな。
いや、元・勇者か」
「え……」
思わず顔を上げると魔王がニヤリと口角を上げる。いつの間にか爪が引っ込んでいた。
「面白い。人間を置いた事は無いからな。キサマの執着心を見せてもらおうか。
ただし、少しでも怪しい動きを見せれば消す!」
「は、はい!ありがとうございます!」
(みんな、すまん……)
こうして俺は魔王の配下としての第2の人生を歩む事になった。
世界平和の為に魔王討伐を目指し遂に対峙したのだが、魔王の圧倒的な力に仲間はみな倒れ、残りは俺だけになってしまった。
魔王は余裕の笑みを浮かべている。
「どうした?勇者よ。まさかこの程度で終わるわけではあるまい?」
(さすがは魔王。強さがケタ違いだ)
城に乗り込んでからここに来るまでに幹部を1人倒していた。手強かったが相手が回復手段を持ってないことが幸いして、
どうにか勝つことができた。
しかし魔王は幹部とは比べ物にならないぐらい強い。
補助魔法で防御力を上げてもらっても中傷を負うため回復が追いつかず、ヒーラーが倒れ、
そこからソーサラーとタンクも倒れた。
「ぐっ……」
齒を噛みしめる事しか出来なかった。
このまま立ち向かっても勝ち目が無いのは明らかだが、死ぬのはどうしても嫌だった。
(仲間には申し訳ないが……ここで死なないようにするには)
そこら辺にいるモンスターなら逃げれるかもしれない。
しかし相手は魔王。俺たち冒険者の最終討伐目標だ。
(逃げれたとしても、俺はただのソードマンだから
魔法を使えない。魔王じゃなくても他のヤツにヤラれる……)
必死に頭を回転させていると魔王が舌打ちをした。
そして俺の眼前に移動し鋭い爪を振り上げる。
「つまらん。終わりにしてやる」
「ま、待て!今から捨て身の技を見せてやる!」
「ほう?」
捨て身の技という言葉に興味を示したようで魔王の動きが止まる。
|(イチかバチか‼)
俺は大きく息を吸い込むと床に平伏した。
「配下にしてください!」
「……………………は?」
魔王の呆れ返った声が響く。誰だって今戦っている相手が「配下にしてくれ」なんて言ったらそうなるだろう。
俺は構わず床に頭を打ちつけた。
「…………それがキサマの捨て身とやらか?」
「お願いします!」
「断る。油断させて我の首を取るつもりであろう?」
「いいえ!そんな事しません!」
「信用ならん。失せよ」
魔王は赤い目をギラリと光らせると再び爪を振り上げる。
俺は震えながら魔王を見た。
「な、何でもします!掃除でも洗濯でも!」
「…………何故そこまで生に執着する?今までこのような状況に陥った勇者を多々見てきたが、
潔く散るか尻尾巻いて帰るかのどちらかだ。
お前のようなヤツは初めてよ」
魔王はそう言いながら腕を下ろした。だが、まだ爪は出したままで鋭い目つきで俺を睨んでいる。
「し、死にたくないんです……」
自分でも呆れているがこれは紛れもない本心だ。
死んでも教会に送り返されて復活するのはわかっている。
それでも死ぬのが怖い。
なら、今まで全滅しなかったのかと言われると違う。
何度かあったが、俺はたいてい2番目に倒れており、
最後まで残ったのは今回が初めてだからだ。
(最後に残るのってこんなにも怖かったのか……)
震えながら次の言葉を待つ。
魔王は呆れたようにため息をつくと口を開いた。
「……よくそれで勇者を名乗っておるな。
いや、元・勇者か」
「え……」
思わず顔を上げると魔王がニヤリと口角を上げる。いつの間にか爪が引っ込んでいた。
「面白い。人間を置いた事は無いからな。キサマの執着心を見せてもらおうか。
ただし、少しでも怪しい動きを見せれば消す!」
「は、はい!ありがとうございます!」
(みんな、すまん……)
こうして俺は魔王の配下としての第2の人生を歩む事になった。
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