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第 4話 生還 その一歩 2
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通路の入り口から見えた淡い光は亡骸が纏った鎧から放たれた光、全身シルバーの鎧に光苔の光が反射して淡い光を発していたのだ。
俺はこの亡骸を怖いとも不気味だとも思わない、冒険者でも危険はつきものだし、ましてやダンジョンに挑む勇者ともなれば、その行動の結果がこうなったのなら勇気を讃えこそすれ怖がる理由はない。
この亡骸はかつて十数年前に一度だけこのダンジョンに挑戦したとされる勇者パーティーの中の1人なのかもしれない。
白骨と化した彼の右手には根本から折れた剣がしっかりと握られている。
この地形変化ダンジョンで仲間と逸れて、それでも生き残ろうと1人で足掻いて足掻き続けたのだろう、鎧の腹の部分には大きな穴が空いている。
モンスターに戦う武器を奪われて、それでも抵抗をやめず致命傷を受けても生き残ろうと、この狭い通路に逃げ込んだのだろう。
「・・・・」
何を弱気になっている!
俺は右拳で自分の頬を軽く殴る、一歩間違えば、ここに横たわる亡骸は数刻先の自分ではないか。
「先輩、お借りします」
俺は自分が生き残る為に亡骸の荷物を漁る、もし生還できたのならきっとともらいますからと自分に言い訳しつつ。
ポーチの中には当然だが回復系のポーションは入っていない、自分で使い切ったのだろう。
国勇者のパーティーと聞いていたから相当な装備を準備していたのだろうが魔法紙の足跡地図さえ持っていない。
準備不足でも挑まなければならない理由があったのか、発見されてまもないダンジョンなので油断していたのかは俺にはわからないが、この装備の少なさで挑まなければならなかったこのパーティーのリーダーは相当辛かったに違いない。
結局、めぼしいものといえば折れた剣と穴の空いた鎧だけのようだ、俺は剣をポーチに突っ込んで亡骸から鎧を剥いだ。
折れた剣でも投石がわりぐらいにはなるし、この穴の空いた鎧は俺の防具よりは丈夫そうだ。
俺は自分の防具を脱ぎ捨てると剥いだ鎧を着込んだ、薄暗くてわからないが見た目より軽い、これなら動くには支障は無いはずだ。
しかし、先程まで聴こえていた声はなんだったのだろう、今は聴こえないが亡骸が喋るはずはない、やはり天の声か悪魔の囁きなのか。
どちらでも構わない、俺の目的は変わらない、俺は生還に向けて行動するだけなのだから。
俺はまた出口を探して動き出す。
しかし、この鎧は具合が良い、鎧が放つ淡い光はモンスターが気付く程は明るくわないが足下を照らすには充分な明るさ、これによりずいぶんと歩き易くなった。
行動が速くなるということは一つ一つが雑になる、あれほど一歩一歩を慎重に進んでいた俺が。
出口も近いこんな場所で気が緩んだのか俺は致命的なミスを犯す、背後に視線を感じて振り向いたのだが壁との距離を考えずに振り向いた為、腰の剣の鞘が壁にぶつかり音を出す。
その途端、俺が最も恐れていた事態が起こる、振り返った俺の視線の先に何処から現れたのか巨大なモンスターが姿を見せた。
人が想像する悪魔の姿を具現化した様な蒼き巨体に2本の角、両の手には長き爪が妖しく光る。
およそ人の理とは異なる存在、俺は危険だとわかっていても出口を目指して駆け出していた。
俺との距離は相当あったはずなのに悪魔はあっという間に距離を詰める、このままでは殺されるのは時間の問題、俺は一か八かでポーチから取り出した瓶を足下の地面目掛けて投げる。
その瞬間、足下が激しく光った、俺は偶然ポーチの中から閃光弾を選んだようだ、しかもそれが偶然モンスターにハマった。
ほんの一瞬だけモンスターが怯んで距離が稼げた、俺はここでこのモンスターと戦うことはせず逃げの一手を選択した。
腕輪を左手に持ち姿勢を低くして駆け出すと、出口の扉に向かってスライディングする。
その瞬間、背中に激痛が走る、モンスターの一撃が背中に当たったのだ、がモンスターの2撃目が当たるより早く俺の腕輪が扉に触れて。
俺の体は扉に吸い込まれた。
俺はこの亡骸を怖いとも不気味だとも思わない、冒険者でも危険はつきものだし、ましてやダンジョンに挑む勇者ともなれば、その行動の結果がこうなったのなら勇気を讃えこそすれ怖がる理由はない。
この亡骸はかつて十数年前に一度だけこのダンジョンに挑戦したとされる勇者パーティーの中の1人なのかもしれない。
白骨と化した彼の右手には根本から折れた剣がしっかりと握られている。
この地形変化ダンジョンで仲間と逸れて、それでも生き残ろうと1人で足掻いて足掻き続けたのだろう、鎧の腹の部分には大きな穴が空いている。
モンスターに戦う武器を奪われて、それでも抵抗をやめず致命傷を受けても生き残ろうと、この狭い通路に逃げ込んだのだろう。
「・・・・」
何を弱気になっている!
俺は右拳で自分の頬を軽く殴る、一歩間違えば、ここに横たわる亡骸は数刻先の自分ではないか。
「先輩、お借りします」
俺は自分が生き残る為に亡骸の荷物を漁る、もし生還できたのならきっとともらいますからと自分に言い訳しつつ。
ポーチの中には当然だが回復系のポーションは入っていない、自分で使い切ったのだろう。
国勇者のパーティーと聞いていたから相当な装備を準備していたのだろうが魔法紙の足跡地図さえ持っていない。
準備不足でも挑まなければならない理由があったのか、発見されてまもないダンジョンなので油断していたのかは俺にはわからないが、この装備の少なさで挑まなければならなかったこのパーティーのリーダーは相当辛かったに違いない。
結局、めぼしいものといえば折れた剣と穴の空いた鎧だけのようだ、俺は剣をポーチに突っ込んで亡骸から鎧を剥いだ。
折れた剣でも投石がわりぐらいにはなるし、この穴の空いた鎧は俺の防具よりは丈夫そうだ。
俺は自分の防具を脱ぎ捨てると剥いだ鎧を着込んだ、薄暗くてわからないが見た目より軽い、これなら動くには支障は無いはずだ。
しかし、先程まで聴こえていた声はなんだったのだろう、今は聴こえないが亡骸が喋るはずはない、やはり天の声か悪魔の囁きなのか。
どちらでも構わない、俺の目的は変わらない、俺は生還に向けて行動するだけなのだから。
俺はまた出口を探して動き出す。
しかし、この鎧は具合が良い、鎧が放つ淡い光はモンスターが気付く程は明るくわないが足下を照らすには充分な明るさ、これによりずいぶんと歩き易くなった。
行動が速くなるということは一つ一つが雑になる、あれほど一歩一歩を慎重に進んでいた俺が。
出口も近いこんな場所で気が緩んだのか俺は致命的なミスを犯す、背後に視線を感じて振り向いたのだが壁との距離を考えずに振り向いた為、腰の剣の鞘が壁にぶつかり音を出す。
その途端、俺が最も恐れていた事態が起こる、振り返った俺の視線の先に何処から現れたのか巨大なモンスターが姿を見せた。
人が想像する悪魔の姿を具現化した様な蒼き巨体に2本の角、両の手には長き爪が妖しく光る。
およそ人の理とは異なる存在、俺は危険だとわかっていても出口を目指して駆け出していた。
俺との距離は相当あったはずなのに悪魔はあっという間に距離を詰める、このままでは殺されるのは時間の問題、俺は一か八かでポーチから取り出した瓶を足下の地面目掛けて投げる。
その瞬間、足下が激しく光った、俺は偶然ポーチの中から閃光弾を選んだようだ、しかもそれが偶然モンスターにハマった。
ほんの一瞬だけモンスターが怯んで距離が稼げた、俺はここでこのモンスターと戦うことはせず逃げの一手を選択した。
腕輪を左手に持ち姿勢を低くして駆け出すと、出口の扉に向かってスライディングする。
その瞬間、背中に激痛が走る、モンスターの一撃が背中に当たったのだ、がモンスターの2撃目が当たるより早く俺の腕輪が扉に触れて。
俺の体は扉に吸い込まれた。
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