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第 5 話 希望
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I国の反乱軍とマークの部隊との衝突で反乱軍の一方的な虐殺はおさまったもののパニック状態の住民によりその場から動けない事態のマークの元にミシェルから新しい連絡が入ったのはマークが行動を開始した3時間後のことだ。
新海達がそちらに向かっている。
その内容にマークは(ニヤリ)として少し呆れながら本心ではウキウキしていた。
マークには新海がその場で何を喋るのかが、なんとなく予想できた。
「気持ちの良い理想論をぶちまけるんだろ」
一民間人が傭兵部隊を使ってクーデターを起こし政権を打倒する!
そんなことが公になれば、新海達と傭兵部隊は世界中から非難される、その程度のことが、わからない新海ではない。
だが、敢えてこの場で訴えたいことがあるのだろう。
「これで傭兵稼業もお終いか、奴等の為に最高の舞台を用意してやろう。」
心はもう決まったのかマークはミシェルにそう伝えて動き出す。
新海達がこの場に到着したのは辺りが暗くなり始めた夕刻。
住民の数は昼間より増え数千人になり、もはや群集と化していた。
軍と傭兵部隊そして群集の間で一定の距離感ができ、その空間はあたかも劇場のステージのようだった。
群集が緊張でざわめく中、まるで散歩でもするかの様な足取りで新海は(ステージ)の真ん中に進み出た。
群集、I国軍、皆、何が起こっているのかわからず混乱する中、新海はあたりを見回すと、ざわめく群集をよそに第一声を放った。
「このクーデターを起こしたのは俺だ!」
新海の言葉を全世界に配信する為、群集に混じって待機していた御手洗と愛東はおもわずマイクを覆ってしまった。
大変な事が起こる。
御手洗と愛東は身構え、マーク達も直ぐ行動出来るように準備した。
案の定、一瞬の静寂の後、地を割らんばかりの怒号が沸き上がった。
新海に向かって物が投げられる中、新海はその場から動こうとせず、第二声を発しようとした時。
あたりを切り裂く音と共に一発の銃弾が新海を貫いた。
逃げ惑う群集を掻き分け御手洗と愛東は新海を助けようとするが思う様に進めず、マーク達を見るが行動はなかった。
マーク達は新海が撃たれた瞬間、新海をガードしようと車両のエンジンをかけたが新海を見てその手を止める。
なんと新海は演説を続けようと撃たれた箇所を片手で押さえ立ちあがろうと必死にもがいている。
しかも、その手にはマイクが握りしめられており、その目は光を失っていなかった。
這いずるように体を起こすが、足に力が入らないのか、それ以上、立ち上がれず。
それでも頑張る新海にいつしか群集は逃げるのを止めあたりは静まり返った。
やっとのことで群集を掻き分け新海のところまで来れた御手洗は新海を庇う様に覆い被さると、この場から助け出そうと新海の体に手をかけた。
しかし、新海はその手を振り払うと御手洗の体にもたれかかりながら、また、話し始めた。
「ひとりの人間の持つ大きな力は時に大勢の人間を不幸にする」
とても小さな声だったが静まり返ったこの場では人々に伝わるには充分だった。
「それとは逆に大勢の人間の持つ小さな力は、何かを変え、より良い方向に進んで行く可能性がある」
「しかし、人は時に欲に目が眩み道を間違える、小さな力と大きな力、互いに手を取り合って補え合えれば少しずつ皆が幸せに進んで行ける」
「昨日より今日、今日より明日、違った未来を夢見るのなら、人は協力し合える」
「なぜなら、誰もが幸せになりたいと必死に願っているのだから」
どこかの国の学者に言わせると稚拙で単純な言葉かもしれない。
拍手も歓声も無かった。
しかし、不思議と静かだった。
人々は皆、何かを考えているかのように黙っていた。
新海達がそちらに向かっている。
その内容にマークは(ニヤリ)として少し呆れながら本心ではウキウキしていた。
マークには新海がその場で何を喋るのかが、なんとなく予想できた。
「気持ちの良い理想論をぶちまけるんだろ」
一民間人が傭兵部隊を使ってクーデターを起こし政権を打倒する!
そんなことが公になれば、新海達と傭兵部隊は世界中から非難される、その程度のことが、わからない新海ではない。
だが、敢えてこの場で訴えたいことがあるのだろう。
「これで傭兵稼業もお終いか、奴等の為に最高の舞台を用意してやろう。」
心はもう決まったのかマークはミシェルにそう伝えて動き出す。
新海達がこの場に到着したのは辺りが暗くなり始めた夕刻。
住民の数は昼間より増え数千人になり、もはや群集と化していた。
軍と傭兵部隊そして群集の間で一定の距離感ができ、その空間はあたかも劇場のステージのようだった。
群集が緊張でざわめく中、まるで散歩でもするかの様な足取りで新海は(ステージ)の真ん中に進み出た。
群集、I国軍、皆、何が起こっているのかわからず混乱する中、新海はあたりを見回すと、ざわめく群集をよそに第一声を放った。
「このクーデターを起こしたのは俺だ!」
新海の言葉を全世界に配信する為、群集に混じって待機していた御手洗と愛東はおもわずマイクを覆ってしまった。
大変な事が起こる。
御手洗と愛東は身構え、マーク達も直ぐ行動出来るように準備した。
案の定、一瞬の静寂の後、地を割らんばかりの怒号が沸き上がった。
新海に向かって物が投げられる中、新海はその場から動こうとせず、第二声を発しようとした時。
あたりを切り裂く音と共に一発の銃弾が新海を貫いた。
逃げ惑う群集を掻き分け御手洗と愛東は新海を助けようとするが思う様に進めず、マーク達を見るが行動はなかった。
マーク達は新海が撃たれた瞬間、新海をガードしようと車両のエンジンをかけたが新海を見てその手を止める。
なんと新海は演説を続けようと撃たれた箇所を片手で押さえ立ちあがろうと必死にもがいている。
しかも、その手にはマイクが握りしめられており、その目は光を失っていなかった。
這いずるように体を起こすが、足に力が入らないのか、それ以上、立ち上がれず。
それでも頑張る新海にいつしか群集は逃げるのを止めあたりは静まり返った。
やっとのことで群集を掻き分け新海のところまで来れた御手洗は新海を庇う様に覆い被さると、この場から助け出そうと新海の体に手をかけた。
しかし、新海はその手を振り払うと御手洗の体にもたれかかりながら、また、話し始めた。
「ひとりの人間の持つ大きな力は時に大勢の人間を不幸にする」
とても小さな声だったが静まり返ったこの場では人々に伝わるには充分だった。
「それとは逆に大勢の人間の持つ小さな力は、何かを変え、より良い方向に進んで行く可能性がある」
「しかし、人は時に欲に目が眩み道を間違える、小さな力と大きな力、互いに手を取り合って補え合えれば少しずつ皆が幸せに進んで行ける」
「昨日より今日、今日より明日、違った未来を夢見るのなら、人は協力し合える」
「なぜなら、誰もが幸せになりたいと必死に願っているのだから」
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拍手も歓声も無かった。
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人々は皆、何かを考えているかのように黙っていた。
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