大好きなお兄様が記憶を失ったので、初めて会ったフリをして、一目惚れしたともうアタックしてみました。

霙アルカ。

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好きな人。

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頭をギュッと抱きしめ、「ロアンお兄様。」と呼べば、「なぁに。」と優しい声が返ってくる。

好き。好き。好き。ロアンお兄様、大好き。
そう言えるのならば、どれだけよかっただろうか。

私はその言葉を言ってはいけない事を知っている。
「ロアンお兄様、、私今日誕生日なのですよ。」
そう言えば「うん、知ってるよ。」と返ってくる。

今日は私の家で、家族だけで私の誕生日を祝ってくれるのだ。

毎年お父様とお母様とお兄様と四人では食べきれない程の豪華な食事を準備してくれてるから、ロアンお兄様一人増えても大丈夫なのだ。

だから、数年間何度も誘ってきた。
その度に断り続けられてるのだ。

だから今年もきっと断られると分かってるから、今年は誘わないと決めたのだ。

「レイラ、ロアンは用事あるから、そろそろ返してやれよぉ。」と言うお兄様の声で、私はロアンお兄様の肩から降ろしてもらった。

髪の香りが名残惜しく、自分の手をスンスンと匂ってみれば、ロアンお兄様がクスクスと笑いながら私を見て「変な匂い?」と聞いてくるから、ブンブンと首を振った。

変な匂いだとか、滅相もない。
この匂いを研究してもらって、何なら私が研究して、私専用の香水にしたいほど、いい匂いだと言うのに。

「では、ロアンお兄様、私お誕生日の準備がありますので。」

自分の手をもう一度だけ嗅ぎ、その場を離れようと足を踏み出せば、ロアンお兄様に腕を掴まれた。  

「お誕生日おめでとう、僕の可愛いお姫様。」

そう言って、私の手にどこから取り出したのかと言う程大きな箱をポンッと置いた。

赤いリボンが可愛い箱は、可愛らしい包装紙で包まれている。

中身はまだ見ていなくても、私を思って選んでくれたのだと思えば、何が入っていても嬉しい。

「ロアンお兄様!!大好き!!」

またもや、ギュウっとロアンお兄様に抱きつくと、私の頭を大きな手が優しく撫でてくれる。

その手が私はとってもとっても好きなのだ。

誕生日の日に、いつもお兄様がロアンお兄様を連れて来てくれる。
 
だから、私はいつ二人が帰ってきても気づけるように、どれだけ暑くても、雨が降っていても、帰ってきたら直ぐにわかる場所で二人を待っているのだ。

今日だって、暑いなか読書をして待っていたせいで、汗で髪が自分の顔に張り付いて気持ちが悪い。

肌だって少し焼けてしまったかもしれない。
だけど、、少しでも早く会いたいのだ。

ロアンお兄様はいつも私にプレゼントを渡して帰ってしまう。

もしかしたら、私が来たのに気づきすらしなかったら、プレゼントを置くだけ置いて帰ってしまうかもしれない。

だから、誕生日の日だけは、日に焼けようが、風邪をひこうが、汗でダクダクになろうが仕方がないのである。

「私も大好きだよ。可愛い可愛いレイラ。」

ポンポンと私の頭を二度優しく叩き、ロアンお兄様は行ってしまう。
毎年毎年行ってしまう。

もう一人の誕生日の子の元へ。
きっとその子とは夜まで一緒にいてあげるのだと思えば、胸がギュウっと苦しくなった。
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