大好きなお兄様が記憶を失ったので、初めて会ったフリをして、一目惚れしたともうアタックしてみました。

霙アルカ。

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お兄様と同じ色。

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毎年渡される赤い箱の中には、可愛い可愛い真っ白なウサギのぬいぐるみが入っている。

こんなにも可愛いプレゼントをされたのは、今までで初めてで、一瞬思考が停止した。

「、、、取り出したら凄い音がなるとか、ないよね?」

恐る恐る白くて見ただけで凄くふわふわしている事がわかるそのぬいぐるみを、そっと箱から取り出してみる。

凄い音が鳴るわけでもなく、ただただ可愛いそのぬいぐるみの胸には、ロアンお兄様の目と同じ色をした宝石のついた、ネックレスがついているのだ。

「ロアンお兄様、、、。」

きっとこの宝石の色に何の意味もないのだろう。
偶々買おうとしたウサギが、青色の宝石のついたネックレスをしていただけなのであろうと思うのに関わらず、私の胸は酷く煩くなった。

ギュゥッとフワフワのウサギのぬいぐるみを抱きしめれば、手に残ったロアンお兄様の髪の香りがフワリと香った。

「好き、、好きよロアンお兄様。」

こんなにも好きなのに、王女様と結婚するなんて、酷いわロアンお兄様。
結婚等出来ないとわかってるから、せめて妹でいたいと振る舞っているのに、瞳と同じ色の宝石をつけたぬいぐるみをくれるなんて、、ずるい。

ウサギのぬいぐるみを抱きしめたまま、赤い箱を見れば、中にまだ何かが入っているのがわかった。

何だろう?と首を傾げそっと箱の中に手を伸ばす。

カサリと音を立てたそれは、公爵家の封印がされた手紙であった。

まともなプレゼントをもらったのも初めてだが、手紙をもらったのも初めてで、また煩いほどに胸が騒ぎだす。

暑くもないのに汗が首筋を通り、手は緊張でブルブルと震えている。

きっとロアンお兄様の事だ。
特別な事など書いてないに決まってる。

だって、この10年間優しくしてくれるが、私を女性として扱ってくれた事はまるでない。

ロアンお兄様の態度はどれも、妹にする様なものばかりである。
『僕の可愛いお姫様。』なんて言ってくれるが、それは妹としての言葉なのだと理解している。

プレゼントだって毎年私を驚かせる為の物ばかりで、きっと好きな女の子に送る様な物では無いはずだ。

だからこの手紙にもきっと、何も無いとわかってても、ポタポタと涙がこぼれ出すほどに嬉しいのだ。

そっと封を開ければ、中には可愛らしい便箋が入っている。
私好みの物を選んで使ってくれたのかもと思うと、更に胸が高鳴った。

手紙を開ければロアンお兄様の綺麗な字で、【僕の可愛いお姫様。】と言う書き出しで、手紙が書かれている。

【僕の可愛いお姫様。】
誕生日おめでとう。
とても可愛いウサギのぬいぐるみを見つけたから、君に送るよ。大事にしてね。
今年はもう一つ誕生日のプレゼントを用意したんだ。
楽しみにしてね。

手紙には、そう書かれていた。
「もう一つのプレゼント??」

それは一体何だろう。と思い、首を傾げる。

今度こそ驚かせるための何かだろうか?と思いながらも、私はもう一つのプレゼントが何かと期待に胸を躍らせた。

貰えるのはいつかは分からないが、今日は今までの誕生日の中で一番特別な物になった事は間違いない。

毎年王女様とロアンお兄様が二人で過ごしているのかもと想像して胸を痛めていたが、今日はウサギのぬいぐるみと手紙のお陰でとっても幸せだ。

私はフワフワのウサギのぬいぐるみを力一杯抱きしめ、そっとその口にキスをした。

ウサギのぬいぐるみをロアンにした事は、誰にも秘密である。
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