好き勝手スローライフしていただけなのに伝説の英雄になってしまった件~異世界転移させられた先は世界最凶の魔境だった~

狐火いりす@商業作家

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第4話 蛇ガラ魔境ラーメンがクッソうまいんだが!?

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 寝てる間に魔力は完全回復していた。
 朝メシはパンとハムエッグでトーストを作る。
 材料はどちらも【創造】で作ったものだ。

 コンちゃんと一緒に食べたところで、俺たちは庭に出た。

「NAGI‘Sキッチンの時間だぞー!」

「きゅーきゅー!」

「いろいろと素材が手に入ったので、今日はラーメンを作りまーす!」

「きゅーきゅー!」

「……思ったより盛り上がらんな、この導入。普通に料理するか」

 俺は【アイテムボックス】から化け物マムシの死体を取り出す。

 蛇の解体はいたって簡単だ。
 皮の端に切れ込みを入れて、靴下を脱がすようにはがして内臓を取り除くだけだからな。

「うんしょっとどっこいしょ!」

 マムシのサイズがサイズなので皮をはがすのは大変だったが、それさえ終われば後はどうってことない。
 内臓を取ってから、肉と骨を切り分けた。

 一度【アイテムボックス】に仕舞ってから室内に移動する。

「鍋セット! 水イン! ムカ着火ファイヤー!」

 鍋の中にマムシの骨と肉を投入。
 蛇ガラにほんの少しのうま味とコクをブレンドするために、クソデカイノシシの大腿骨を少量入れる。
 この時、金づちで大腿骨を砕いてから入れるのがコツだ。
 そのほうがうま味が出やすくなるぞ。

「金づち作るのめんどいし拳で砕くか。そいや! 投入!」

 ベースはこれでOK。
 臭み消しのためにネギを投入したいところだが、今回はできるだけ魔境素材で作ってみたいんだよな。

「というわけで、出番だ! ノビルもどき!」

 葉の部分を適当な大きさにカットして鍋に投入。
 ノビルもどきの球根はどちらかと言えばネギよりにんにくに近い感じだったので、細かく刻んでから鍋に投入する。

 背脂の代用としてクソデカイノシシの背脂&腹脂を使うが、これらを加えるのは最後だ。
 スープは煮込むだけでいいので、その間にチャーシューを作ろう。

「まずは鍋に水、しょうゆ、みりん、酒、砂糖を入れまして」

 このベースとなるタレにしょうが、鷹の爪、にんにく、ネギを入れる。
 にんにくとネギはラーメンと同じようにノビルもどきで代用、しょうがと鷹の爪はその辺に生えていないので仕方なく【創造】する。

「このタレを煮立たせている間に、クソデカイノシシのブロック肉をタコ糸ネットで縛って中火で焼きます!」

「きゅう~……!」

 ジュ~という肉が焼ける音が響く。
 食卓から見守っていたコンちゃんがよだれを垂らしていた。

 分かるよ、その気持ち。
 この音聞くだけで腹減ってくるよな。

 タレは煮立った段階で一度火を止める。
 ブロック肉の表面全体に焼き色がついたら、タレに投入して弱火で煮込んでいく。

 アルミホイルで落し蓋をして、さらに蓋をする。
 時々ブロック肉をひっくり返しながら二時間ほどじっくり煮込んだところで火を止めて放置する。
 煮物とかもそうだけど、冷える時に味がしみ込んでいくからな。

「今のうちに昼メシ作ろっと」

 簡単な料理を作って食べる。
 夜に味の濃いラーメンを食べることになるので、昼メシは副菜多めのさっぱり系にした。

「スープのほうはまだまだ時間かかるからな~。よし、遊ぶか!」

「きゅう!」

 コンちゃんが俺の腕に飛び込んでくる。
 極上のもふもふを堪能したり芸を仕込んでみたりボール遊びをしたりしているうちに、ラーメンスープがいい感じになった。
 ふと外を見れば、空が夕焼け色に染まっていた。

「あ~楽しかった! ラーメン作り再開するか!」

 スープを濾して、骨や肉などを取り出す。
 マムシ肉を少しだけ食べてみたが、驚くほど何も味がしなかった。
 よしよし、うま味がすべてスープに溶けだしたみたいだ。

 背脂&腹脂を加えて再度スープを煮込む。
 その間に半熟煮卵を作りつつ、チャーシューをカットする。
 ネギもトッピングしたいので、代用のノビルもどきをカットしておく。

 ノビルもどき君やたら出番あるな。
 お前は名誉ネギ属に認定してやろう。

「きゅー?」

「すぐにできるぜ。麺の硬さ柔らかめでいいか?」

「きゅうん」

「そうか。じゃあバリカタで作るわ」

 【創造】で麺を用意し沸騰水で茹でる。
 麺を一から用意するのはさすがに時間がかかりすぎるから許してくれ。

「器にしょうゆと香り油をイン! そこにスープをパイルダーオン! 茹で上がった麺を素早く湯切って盛りつけて! チャーシュー、ノビル、半熟煮卵をトッピング!」

「きゅ~……!」

 しっぽをブンブン振りまくるコンちゃんのもとに持っていく。

「じゃじゃ~ん! 蛇ガラ魔境ラーメンだ! 熱いから気をつけ食べるんだぞ」

 スープからは食欲をそそる香ばしい匂いが漂っている。
 手を合わせてから、さっそくスープを一口すすった。

「うんまぁ!? 味が濃厚とかいうレベルじゃねぇな。魔境のマムシとイノシシのうま味パネェわ!」

「きゅう!」

「ほれ」

 コンちゃんがせがんできたので、スープをふーふーして冷ましてから飲ませてあげた。
 普通の犬なら味の濃いスープはNGだが、コンちゃんは魔物なので問題ない。
 【鑑定】で調べたので間違いないだろう。

「きゅぅん~」

 コンちゃんは幸せそうに目を細める。
 可愛いなぁ。
 ほっぺたが超もっちもちだ。

「うまいだろ?」

「こん!」

 麺をずずずとすする。
 これがまた絶品のなんのって!
 スープと運命の出会い果たしちゃってるわ!

「チャーシューもうめぇ~」

「きゅ~」

 もともとうま味の強いイノシシ肉に濃い味のタレが絡んで、噛むたびに濃厚なうま味がガツンとやって来る。
 甘辛い味付けが最高にマッチしてるわ~。

 残りのチャーシューは米に乗っけてチャーシュー丼にするのもいいな。
 タレもたくさん余ってるし。

「ごちそうさまでした。いや~、食った食った!」

「こーんこん」

 俺たちは満足げに腹をさする。
 皿を洗おうとキッチンに移動したら、なぜかまな板の上に乗っているカット済みチャーシューの量が減っていた。

「さすがにおかしいよな……?」

 コンちゃんはそもそもキッチンに入ってきていない。
 いくら俺が食いしん坊とはいえ、料理を作った傍から盛りつけずに食べてしまうほど食欲に支配されてはいない……ハズだ。

 チャーシューは、間違いなくひとりでに消えていた。

「家具やインテリアが勝手に移動したり、俺たちのチャーシューが消えたり……この家もしかして呪われてる?」

「きゅ、きゅうー……」

 コンちゃんが「そ、そんなまさかー」と苦笑いした時、ピンポーンとインターホンが鳴った。
 そーっとモニターを覗いてみるが、誰もいなかった。


 なぁ、ガチで呪われてるパターン、これ?

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