好き勝手スローライフしていただけなのに伝説の英雄になってしまった件~異世界転移させられた先は世界最凶の魔境だった~

狐火いりす@商業作家

文字の大きさ
33 / 36

第33話 ハッピーバースデー零華!

しおりを挟む
 この世界の気候についてだが、王都はヨーロッパ風だったのに王都からそこまで距離が離れていない魔境は和風だった。
 不思議に思って調べたところ判明したのだが、魔境はエリアによって気候が違う。
 マイホームのある和風エリアの隣に砂漠エリアがあったりとあべこべなのだ。

 で、今いるのは雪国エリア。
 冬の北海道みたいなめっちゃ雪が積もったところで遊んでるぜ!

「デス雪合戦開幕じゃー! おりゃりゃりゃりゃりゃりゃ!」

『我の必殺デスボールラッシュを喰らうがいい!』

「どう考えても雪合戦の威力じゃない。余波で山が爆発してるんですけど」

「きゅー」

 シロナとコンちゃんが呆れた表情で呟く。

 零華の投げた雪玉が遠くの山に当たって爆発した時、モンスターの群れが現れた。
 フローズングリズリーというSランクの魔物が六匹。
 雪熊の大家族だ。

「音で寄ってきたみたいですね」

「グルルルルル」「ガウ! ガウッ!」「グアー!」

 熊たちが駆けだす。
 サクッと倒すかと考えていると、ゴゴゴゴゴ! という音と共に雪崩が迫ってきた。

「ぎゃー!? 零華が山爆発させまくったから雪崩が起きちゃったじゃないですか!」

「シロナ、コンちゃん! 掴まれ!」

「きゅいー!」

 俺はソリを【創造】し、シロナとコンちゃんと一緒に乗り込む。
 雪崩の上をうまいこと滑って雪崩川下りじゃい!

「ひゃっほーう!」

『ひゃっほーい! 我は雪崩の中を泳ぐぜー!』

 不測の事態も俺たちはめいいっぱい楽しむ。
 雪崩の上をソリで滑るなんていう稀有な体験ができてよかったぜ!

「怖かった……」

「きゅ……きゅぅ……」

『あ、そういえば今日我の誕生日だった』

 零華がふと思い出したように呟いた。

「マジか!? おめでとう!」

「きゅうーい!」

「おめでたいんですけど、気づくの遅すぎません?」

『長く生きてると時間の進みが早く感じるようになってな。一年とかあっという間すぎて日付感覚が適当になってくるのだ。これ長命種あるあるだぞ』

「わかるわかる! 俺も気づいたら誕生日すぎてたとかよくあるわ!」

 俺は零華の言葉にうんうん頷いた。

「なぎさまだ若いだろ! 長命種あるあるに共感すな」

「去年とか三週間遅れで自分の誕生日祝いしたからな、俺」

「時間にルーズとかいうレベルじゃない」

「とにかく零華の誕生日パーティーするぞ!」

 こんなところで雪遊びしてる場合じゃねぇ!
 俺たちは零華を祝うために帰宅した。


「誕生日ケーキは俺とコンちゃんで作るぜ!」

「こん!」

 コンちゃんはふんす! と気合を入れる。
 いつになくやる気だ。
 零華のことが大好きだもんな、コンちゃんは。

「料理は私に任せてください! なぎさのおかげで揚げ物は大得意になりましたから!」

「おう! 任せた!」

 シロナは普段あまり料理をしないだけで、腕はいいからな。
 さぞかしうまい揚げ物を作ってくれることだろう。

「トリオ兄弟は家の飾りつけとか頼んだ!」

「ウッキーウキッキ!」

「キャー!」

「ウホーホ!」

 さっそく行動開始だ!

 トリオ兄弟はなんでもこなせる器用さを活かして部屋の飾りつけをしていく。
 華々しさの中に可愛らしさもある、零華にピッタリな雰囲気に仕上げてくれた。

『テンション上がるなー!』

 ご満悦な零華。
 トリオ兄弟は思わずリラックスしてしまうほど穏やかなBGMを演奏し始めた。

 一方、キッチン組も調理を進めていく。

 俺の【アイテムボックス】には下味をつけた状態の食材が大量に入っている。
 シロナにはそれらを片っ端から揚げてもらうぜ。

「こん……! こーん……っ!」

「いいぞその調子だコンちゃん! うまいうまい! あとちょっと!」

 コンちゃんは泡立て器を前足ではさんで器用に掴むと、筋力増加のバフを自身にかけて一生懸命撹拌する。
 健気に頑張っていた。

「きゅ……きゅぁ……」

「よく頑張ったな! 完ぺきな撹拌具合だぜ!」

「きゅい……!」

「疲れたろ? ゆっくり休んでてくれ。次は俺の番だ」

 コンちゃんと代わる代わるで、時には一緒に作業してケーキを焼き上げる。
 飾りつけはシロナも参加して、ついにケーキを完成させることができたぜ!

「「じゃじゃーん!!」」

「きゅーい!」

『わぁ……!』

 テーブルに盛りつけられた料理の数々を見て、零華が嬉しそうに目を輝かせる。

 いろんな味付けや食材のから揚げ、ユーリンチー、ヤンニョムチキン。
 メンチカツにコロッケ、フィッシュ&チップス、サラダなどなど

『いっただっきまーーーっす!!!』

 零華はすぐに食べ始めた。

「どうですか? お味は」

『うまーい! 最高!』

「それはよかったです。零華のために頑張っちゃいました!」

『ありがとなー!』

 零華は幸せそうにほっぺに手を当てる。
 狼形態だったら間違いなくしっぽを振り回しまくってるだろうな。

「私たちも食べましょうよ!」

「だな!」

「こん!」

 零華があんだけ喜んでんだからうまいのは間違いねぇ!
 食べてみたら、予想通り絶品だった。

 醤油味、ゆず塩味、にんにくモリモリ味、唐揚げはどれもサクサクジューシー!
 酸味とネギの香味が効いたユーリンチーも、絶妙な甘辛さがたまんねぇヤンニョムチキンも超うめえ!

「メンチカツも食べてみてくださいよ! お肉の味がダイレクトに伝わってきて最高ですから!」

「ホンマやんけ! うっめー!」

「きゅ~」

 コンちゃんはコロッケが気に入った様子で何度もおかわりしていた。
 じゃがいものほくほく感にダンジョン牛のうまみ、衣のサクサク感がたまんねぇよなわかる!

「ウキキー」

「キチャョー」

「ウホホーイ」

 トリオ兄弟も幸せそうにメシを食う。
 あまりにもおいしすぎてあっという間に食べ終わってしまった。

「次はお待ちかねの誕生日ケーキだ!」

「きゅいきゅ~い!」

 俺はケーキを運んでくる。
 頑張って作ったケーキを見た零華は喜びの声を上げた。

『うおー! すごーい!』

「きゅへへ~」

「ドヤ!」

 甘いものが大好きな零華のためにホワイトチョコケーキにしたぜ!
 普通のチョコではなくホワイトチョコを選んだ理由は、色が一緒なのと高級感のある美しい見た目が白銀の毛並みを持つ零華にピッタリだからだ。

『チョコレートにメッセージ書いてある! しかも絵まで! これって我の似顔絵だよね!? 嬉しいー!』

「“零華お誕生日おめでとう!”ってメッセージは俺とコンちゃんで一緒に書いたんだぜ!」

「きゅん!」

「似顔絵は私が描きました! 可愛いでしょ?」

『うん、可愛い! みんなありがとなー! 我めっちゃ嬉しいよ!』

 喜んでもらえてよかったぜ!
 それじゃあろうそくを刺して祝いますか!

「零華って何歳なん?」

『今年で千百十一歳!』

「マジかよ、ポッキーの日じゃん。めでた!」

 千百十一本もろうそく刺したらケーキが崩壊するから十一本にするか。
 等間隔で刺してシロナの魔法で火をつける。

 ハッピーバースデーの歌をみんなで歌ってから、零華にろうそくの火を消してもらった。

「零華、誕生日おめでとうー!」

「お誕生日おめでとう、零華!」

「きゅ~い! こーん!」

『えへへ、ありがとね! 我、嬉しすぎて泣いちゃいそう……!』

 ケーキをカットしてみんなに配る。

 頑張って作ったケーキはとてもうまかった。
 チョコの甘さと果物の甘さが最高にマッチしている。

 零華もすごく嬉しそうな表情で食べていた。

「零華、いつもありがとな! お前と会えてよかったぜ!」

「零華がいるだけで毎日が賑やかになって、とっても楽しいですよ!」

「きゅん!」

『なぎさ、シロナ、コンちゃん……! 我もみんなのこと大好きだぞ! 我もすっごく楽しい!』

 俺たちは零華に感謝の言葉を伝える。

 みんなでワイワイ楽しんでいた。



 ──その時だった。


 一瞬でマイホームが半壊した。
 ドガァァァンッ! と音を立てて。

「『ぎゃー!?』」

「きゅう!?」

 零華の最大出力結界のおかげでコンちゃんは無事だった。

 しかし、謎の攻撃に巻き込まれたシロナが死んでいた!
 いやもう死んでるけどまた死んだ!

「「シロナァーーーッ!?」」

「こぉーーん!?」

「マァーーーーーーーーーーッ!」

 外から叫び声が響く。

 巨大化したマンドラゴラが畑で大暴れしていた。


「お前か犯人は!?」


 シロナ、絶対に仇はとってやるからな……!
 覚悟しろよマンドラゴラァ!

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~

うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」  これしかないと思った!   自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。  奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。  得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。  直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。  このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。  そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。  アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。  助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。

うちの孫知りませんか?! 召喚された孫を追いかけ異世界転移。ばぁばとじぃじと探偵さんのスローライフ。

かの
ファンタジー
 孫の雷人(14歳)からテレパシーを受け取った光江(ばぁば64歳)。誘拐されたと思っていた雷人は異世界に召喚されていた。康夫(じぃじ66歳)と柏木(探偵534歳)⁈ をお供に従え、異世界へ転移。料理自慢のばぁばのスキルは胃袋を掴む事だけ。そしてじぃじのスキルは有り余る財力だけ。そんなばぁばとじぃじが、異世界で繰り広げるほのぼのスローライフ。  ばぁばとじぃじは無事異世界で孫の雷人に会えるのか⁈

転生貴族の移動領地~家族から見捨てられた三子の俺、万能な【スライド】スキルで最強領地とともに旅をする~

名無し
ファンタジー
とある男爵の三子として転生した主人公スラン。美しい海辺の辺境で暮らしていたが、海賊やモンスターを寄せ付けなかった頼りの父が倒れ、意識不明に陥ってしまう。兄姉もまた、スランの得たスキル【スライド】が外れと見るや、彼を見捨ててライバル貴族に寝返る。だが、そこから【スライド】スキルの真価を知ったスランの逆襲が始まるのであった。

ゲームの世界(異世界)へ、モブ(子供キャラ)として転移してしまった

ファンタジー
ゲーム好きの田中 蓮(たなか れん)が、寝て起きたらゲームの世界(異世界)にいた。 どんな冒険が待っているか楽しみにしてたら、何も起こらない。チート能力をくれるはずの女神様も来ない。ちょっと若く(子供キャラ)なったくらい?  お金がなければご飯も食べられない。まずはその辺の木の枝を拾ってお金にしよう。無理か? 「はい。50Gね」 お金になった・・・・。 「RPGゲームと一緒だ。よし!おいしいご飯を食べるためにお金を貯めるぞ!」 「え?俺、モブ(子供キャラ)なの?」 ゲームの世界(異世界)へ、モブ(子供キャラクター)に転移したレンだが、いつの間にか面倒なことに巻き込まれていく物語。 ■注意■ 作中に薬や薬草、配合など単語が出てきますが、現代をヒントにわかりやすく書いています。現実世界とは異なります。 現実世界よりも発達していなくて、でも近いものがある…という感じです。ご理解ご了承いただけますと幸いです。 知らない植物を口にしたり触ったりするのは危険です。十分気をつけるようにしてください。 この作品はフィクションです。 ☆なろうさんでも掲載しています

「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~

あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。 彼は気づいたら異世界にいた。 その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。 科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。

家の庭にダンジョンができたので、会社辞めました。

希羽
ファンタジー
都内のブラックIT企業で働く社畜・佐藤健太(27歳)。 手取り18万、残業100時間。唯一の資産は、亡き祖母から相続した郊外のボロ戸建てだけ。 「このまま死ぬのかな……」 そう絶望していたある夜、庭の物置の裏に謎の穴が出現する。 ​そこは、なぜか最弱モンスターしか出ないのに、ドロップアイテムだけは最高ランクという、奇跡のボーナスダンジョンだった。 試しにスライムを叩いたら、出てきた宝石の査定額はなんと――【1,000,000円】。 ​「……え、これ一個で、俺の年収の3分の1?」 ​スマホアプリで即換金、ドローン配送で手間いらず。 たった10分の庭仕事で5000万円を稼ぎ出した健太は、翌朝、上司に辞表を叩きつけることを決意する。

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

処理中です...