政略結婚で「新興国の王女のくせに」と馬鹿にされたので反撃します

nanahi

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11 破滅の息子

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「あの女に会ったらダメだと言ったでしょう!?」

塔の部屋からポリーヌの怒声が聞こえる。

「嫌だ」

ロビンが抵抗している。

「あの女と母は敵なのよ?敵と仲良くしてどうするの!?」

ポリーヌの怒りは治らない。侍従からイーリスとロビンが一緒に部屋にいたことを聞いたのだろう。

「敵じゃない!あの人は、僕の友達でお姉さんで恋人で母上だ!!!」

ポリーヌははちゃめちゃなロビンの例えに顔を引きつらせた。

「母上は私でしょう!!??」
「お前は母じゃない!ただのおばさんだ!」
「な──!!!」

堪忍袋の尾が切れた。ポリーヌはロビンの頬を渾身の力でぶった。

「痛ッ」

ロビンは痛みで目に涙をため、ポリーヌを睨んだ。

「このクソがあ!!!」

罵声と共にポリーヌにつかみかかった。

「殿下おやめください!!」

侍従と侍女が数人がかりで二人を引き離した。ポリーヌは頬に痛みを感じ手で触れると、血がついた。

「あさましいクソ息子が…!!」

そう言って乱暴に扉を閉じ、外から鍵をかけた。

「出せ!クソあまが!」

ガンガン扉を蹴るロビンに構うことなく、ポリーヌは背を向けた。

お前のせいで、お前のせいで、私がどれだけ辛酸をなめてきたか…!

ポリーヌは体から吹き出るほどの怒りを感じていた。

お前がしっかりした息子だったら、何の問題もなく王太子になれただろうに…!

何度教えても覚えが悪く、すぐに癇癪をおこし暴れる。
しまいには。しまいにはあんなことを──

お前は私の役に立つのよ。
それしかお前が生きている意味はないのよ。

ポリーヌは塔の階段を降りていくうちに冷静さを取り戻した。

「あとでロビンの好きなお菓子でも差し入れておいて」
「かしこまりました」

そう侍従に命じたあと、ドレスの裾を直し歩き始めた。



「おいたわしいこと」

マリアが頬を血で滲ませているポリーヌを見かけ、つぶやいた。

ロビン破滅をかかえこんでお気の毒。それに比べ私は」

先を歩いていたオリヴァーが振り返り、マリアに輝く笑顔を向ける。

「お前こそ相応しい。この国の王太子に」

マリアは誇らしげに微笑んだ。



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