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白い人物に静かにしてほしいと言われ、ザワザワとした声が小さくなっていく。
完全に静かになったわけでは無いが、白い人物は説明を始めた。
「君達の中でも気付いている者が多くいるようだが、ここは君達の住んでいた世界ではなく、ドラゴンや様々な魔物が住む異世界だ。君達の世界にはあの様なドラゴンはいなかっただろう?」
白い人物がそう発言した後、再び周りが喧騒に包まれるが、少しして一切の会話と動きが止まった。俺の身体も動かない。どうなってる?
「すまないが、我の話が終わるまで声と動きを封じさせてもらおう。我々が干渉できる時間は、君達の魂がこちらの世界に馴染むまでの僅かな時間だけで、それ以降は一切の手助けができなくなる。質問は後で受け付けるので少しの間我慢してほしい」
声や動きを封じる?些か乱暴には思えるが、話す態度からは誠実さが感じられる。
何よりこのような事をやってのける存在だ。恐らくは神、またはそれに準じる何かなのだろう。とりあえず話を聞く事に集中しようか。
「今回君達に起こったこの現象は、君達の住む世界と、我々の住むこの世界が接触した為に起こった、とても稀な現象だ。何故稀なのかと言うと、本来なら世界同士は近付くと自然と反発して離れるものなのだ。分かりやすく言えば、磁石のS極とS極同士を近付けたようなものだな」
なるほど…なら何故その稀な現象が起こったんだろう?
磁石で想像したからだろうか、近付けるとそれなりに強い力で離れそうなものだが。
「なら何故こんな事が起こったのか?我も今まで聞いたことも無いが、どうもこの世界と、君達の世界を挟んだ反対側からも、二つの世界が近付いていたみたいなのだ。
そして反対側から二つの世界に君達の世界が押し出され、その二つ分の世界から押された力が、この世界と君達の世界の反発する力を上回っていたため、この世界と君達の世界がほんの少し接触してしまった、という事のようだ。
そしてそのほんの少し接触した部分というのが、とても運の悪い事に、偶々君達のいた場所だったみたいだな」
なんと言うか…俺達はかなり運が悪いみたいだな。どんな確率だよ!?この話が真実なら、だが。
「そして君達はこちらの世界へとやってきた。我々もすぐに気付いたのだが、何せこんな事は初めてなのでな、対応の初動が遅れてしまったのは謝ろう。まさかこちらにきてすぐにあの様なドラゴンに襲われるとは思わなかったのだ」
いやいや、話を聞く限りではこの人物に非はないよな? それどころかあの糞ドラゴンから救ってもらったみたいだし。まぁ重ねて言うがこの話が真実なら、だが。
「それと自己紹介しておこう。我はこの世界の主神だ、決まった名はない。只主神として人の想像力で産み出された存在だ。言っておくが我を敬ったりはしなくてよいぞ。先も言ったが、神とは人の想像力で産み出された存在だ。人が我々を力強い存在であるように願った為に、今君達の声や動きを封じるような力を持ち合わせてはいるが、同じ世界に住む仲間なのだ。我々自身は敬われる存在だとは思っていない。君達の世界の神々も同じ事を言うだろう」
おいおい…神が言っちゃっていいのかそれ?
「それと、君達皆が気になっているだろうから先に言っておこう、君達をもとの世界に送還することは、我々神々にも不可能だ」
あ~…まぁ何となくわかってはいたよ。出来るならとっくにやってるだろうしな。
「我々神も万能ではない。今ここに他の神々がいないのは、君達に干渉するためのこの空間を造り出す為に、こちらの世界の我以外の全ての神々が力を出し尽くし、暫しの眠りについているからだ。我々の力などはその程度なのだ。
そして君達を送還できない理由だが。肉体などの物質だけならば、向こうの世界の神々と協力すれば何とかなるかもしれん。ただし魂は物質と違い内包する力が桁違いに多く、我々の手に負えるモノではない。肉体だけ向こうに送り、魂をここに残すなど、それは死体を送り付けるのと変わりはない。魂に干渉できるのは世界そのものだけなのだ」
他の神々を見ないと思ったら俺達を助ける為に力を使い果たしたからか…。暫しの眠りという事はその内に回復するのだろう。よかった。
「そろそろ君達に掛けている封印を解くが、どうか冷静に、そして前向きに、君達の世界に帰れない以上はこの世界で生きていくしかないのだ。その上で何か聞きたい事があれば質問してほしい」
パチンッと神が指を鳴らすと、動かなかった身体が動いた。おそらく声も出すことが出来るのだろうが、誰も声を発する事はない。
周囲を見回すが、誰もが悲壮感を漂わせ、酷い顔をしている。
俺みたいに肉親全員が亡くなっている人なんて、数人いるかどうかだろう。皆、家族や親戚、友人や恋人と引き離されたのだ。理屈ではないのだろう。
そんな中浮いている存在が数人見受けられた。一部の学生達なのだが、嬉しそうな顔をして、仲間内で興奮しながら話し合っているようだ。
まぁ大体何を考えているのかはわかる。俺もネット小説を読んでいた時期があったんだから。
だがまぁ、さっきの神の話を聞いた限り、彼らの考えている様な展開にはならないだろうな。
完全に静かになったわけでは無いが、白い人物は説明を始めた。
「君達の中でも気付いている者が多くいるようだが、ここは君達の住んでいた世界ではなく、ドラゴンや様々な魔物が住む異世界だ。君達の世界にはあの様なドラゴンはいなかっただろう?」
白い人物がそう発言した後、再び周りが喧騒に包まれるが、少しして一切の会話と動きが止まった。俺の身体も動かない。どうなってる?
「すまないが、我の話が終わるまで声と動きを封じさせてもらおう。我々が干渉できる時間は、君達の魂がこちらの世界に馴染むまでの僅かな時間だけで、それ以降は一切の手助けができなくなる。質問は後で受け付けるので少しの間我慢してほしい」
声や動きを封じる?些か乱暴には思えるが、話す態度からは誠実さが感じられる。
何よりこのような事をやってのける存在だ。恐らくは神、またはそれに準じる何かなのだろう。とりあえず話を聞く事に集中しようか。
「今回君達に起こったこの現象は、君達の住む世界と、我々の住むこの世界が接触した為に起こった、とても稀な現象だ。何故稀なのかと言うと、本来なら世界同士は近付くと自然と反発して離れるものなのだ。分かりやすく言えば、磁石のS極とS極同士を近付けたようなものだな」
なるほど…なら何故その稀な現象が起こったんだろう?
磁石で想像したからだろうか、近付けるとそれなりに強い力で離れそうなものだが。
「なら何故こんな事が起こったのか?我も今まで聞いたことも無いが、どうもこの世界と、君達の世界を挟んだ反対側からも、二つの世界が近付いていたみたいなのだ。
そして反対側から二つの世界に君達の世界が押し出され、その二つ分の世界から押された力が、この世界と君達の世界の反発する力を上回っていたため、この世界と君達の世界がほんの少し接触してしまった、という事のようだ。
そしてそのほんの少し接触した部分というのが、とても運の悪い事に、偶々君達のいた場所だったみたいだな」
なんと言うか…俺達はかなり運が悪いみたいだな。どんな確率だよ!?この話が真実なら、だが。
「そして君達はこちらの世界へとやってきた。我々もすぐに気付いたのだが、何せこんな事は初めてなのでな、対応の初動が遅れてしまったのは謝ろう。まさかこちらにきてすぐにあの様なドラゴンに襲われるとは思わなかったのだ」
いやいや、話を聞く限りではこの人物に非はないよな? それどころかあの糞ドラゴンから救ってもらったみたいだし。まぁ重ねて言うがこの話が真実なら、だが。
「それと自己紹介しておこう。我はこの世界の主神だ、決まった名はない。只主神として人の想像力で産み出された存在だ。言っておくが我を敬ったりはしなくてよいぞ。先も言ったが、神とは人の想像力で産み出された存在だ。人が我々を力強い存在であるように願った為に、今君達の声や動きを封じるような力を持ち合わせてはいるが、同じ世界に住む仲間なのだ。我々自身は敬われる存在だとは思っていない。君達の世界の神々も同じ事を言うだろう」
おいおい…神が言っちゃっていいのかそれ?
「それと、君達皆が気になっているだろうから先に言っておこう、君達をもとの世界に送還することは、我々神々にも不可能だ」
あ~…まぁ何となくわかってはいたよ。出来るならとっくにやってるだろうしな。
「我々神も万能ではない。今ここに他の神々がいないのは、君達に干渉するためのこの空間を造り出す為に、こちらの世界の我以外の全ての神々が力を出し尽くし、暫しの眠りについているからだ。我々の力などはその程度なのだ。
そして君達を送還できない理由だが。肉体などの物質だけならば、向こうの世界の神々と協力すれば何とかなるかもしれん。ただし魂は物質と違い内包する力が桁違いに多く、我々の手に負えるモノではない。肉体だけ向こうに送り、魂をここに残すなど、それは死体を送り付けるのと変わりはない。魂に干渉できるのは世界そのものだけなのだ」
他の神々を見ないと思ったら俺達を助ける為に力を使い果たしたからか…。暫しの眠りという事はその内に回復するのだろう。よかった。
「そろそろ君達に掛けている封印を解くが、どうか冷静に、そして前向きに、君達の世界に帰れない以上はこの世界で生きていくしかないのだ。その上で何か聞きたい事があれば質問してほしい」
パチンッと神が指を鳴らすと、動かなかった身体が動いた。おそらく声も出すことが出来るのだろうが、誰も声を発する事はない。
周囲を見回すが、誰もが悲壮感を漂わせ、酷い顔をしている。
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だがまぁ、さっきの神の話を聞いた限り、彼らの考えている様な展開にはならないだろうな。
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