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眩しさに目を閉じていたが、光が収まってきたようなので目をゆっくりと開けた。
おぉ?砂浜だ。俺達は砂浜に立っていた。まず周辺状況を確認してみようか。
海は透明度が高く、波は穏やか、空が快晴なために余計綺麗に見える。まるでどこぞの有名なビーチのようだ。
水平線を見る限り、島や船等は無い。左右を見渡して見るが、見える範囲では海岸がずっと続いているな。
今度は海と逆方向を確認してみるか。
海からそれなりの距離を取って、木々が生い茂っているのが確認できる。こちらも左右にずっと続いているな。お、ヤシの木発見。それもかなりの数だ。喉が乾いたらヤシの実ジュースでも飲むか。
左右だけでなく、奥の方までずっと木々が続いているし、山も見えるんだよなぁ。なんかここだけ見ると無人島に漂着したみたいだ。
「機長、砂浜に書かれてるこれって、矢印ですよね?かなり大きいですが」
「本当だな。森に向かって少し斜め右を指しているな…。これが神様の言っていた街への目印か?」
機長とCAの一人のそんな会話が聞こえてきた。それに反応して周りも続々と見に集まっている。
神はこの場所は人の生活圏から離れていると言っていたな。少なくとも二、三日で辿り着けるような距離じゃないんだろうなぁ。
皆がガヤガヤとやってる間にちょっと今の状況を分析してみようか。
・水や食料の手持ちが一切無い。
・色々と使えるナイフや、水を沸かす鍋等の便利な道具も一切無い。
・唯一の持ち物は着ている衣服のみ。
・野生動物でさえ油断できないのに更に狂暴な魔物が存在している。
・周りにいる人間の大半が未成年。
・街まではかなり距離があると思われる。
……これヤバくね?
いや、俺一人なら生き残れるとは思う。魔物という未知の存在はいるが、俺の持つ技術を生かして意地でも生き延びる。
でも他の人達は?大人はともかく、学生達や家族連れの子供達、それに老夫婦は?俺のようにサバイバルで生き残れるようにはとても見えない。
言葉は悪いが、足手まといを装備と食料無しで、徒歩何日で着くか分からない街まで、二百人と少しいる人間の水と食料を毎日確保しつつ、魔物蔓延る道中を護衛しながら連れて行くんだろ?酷いなんてもんじゃねぇ!
神様!強く生きろと仰いましたが無茶過ぎやしませんかね!?
駄目だ。準備無く直ぐに街に行くのはどう考えても無茶だ。死人が何人出るか分かったもんじゃない。
ここで準備を整えてから移動するにしても問題は多いな。
まず食料問題だ。何せ人数が多い。
次に安全問題。ここに留まるならそれだけ魔物を警戒しなければならない日々が続く。
それに長く留まると衛生問題に、ストレスで人間関係にも問題が起きそうだ。
やべぇよ!やべぇよおぉぉ!!
とりあえず諸々の問題点について相談した方がいいな。皆の所に向かうか。
矢印のある場所に、知人同士でグループを作りながらも皆が集まっている。集団から離れた者はまだ出ていないようだ。
さてと。
「ちょっとすまない。とりあえず現状確認をしてみないか?」
「げ、現状確認ですか?」
同い年位の男性が返事を返してくれたが、怖がられているなぁ…。俺の見た目デカくてゴツいしな。もうこういう反応にも慣れたもんだが、気にしてない訳ではないんだぞ!
「俺達の今置かれている状況を、少し分析してみないか?一人でさっきまで考えていたんだが、俺達は今かなり不味い状況下にあると思うんだ」
「分かりました。まずは貴方が考えていたという分析の結果を聞かせて頂けますか?」
多分、学生達の引率の教師の一人であろう女性が良い返し方をしてくれたので、俺の分析した現在置かれている状況の危うさを語る。
色々とあり得ない事態が立て続けに起きて、今まで頭が回らなかったんだろう。俺の話を聞いたほとんどの人間が、顔を真っ青に染め始めた。俺も気付いたのはついさっきだから人の事言えないが。
顔色が変わらなかったのは、俺と同じ事を考えていたのだろう数人と、話の意味がよく分かっていない子供達くらいだ。
「食料って…。どうすればいいの?」
「こんな所にいつまでも居たくねぇ!さっさと街に行こうぜ!」
「そう言えば私達着替えも何も持ってないよ!?」
「お前のせいだ!」
正しく現状を理解した事で、色々と負の感情が爆発しているな。機長に責任を追及する者達までもが現れた。コイツらは神の話をちゃんと聞いていたのか?
「ちょっと!あんた達、神様の話を聞いてなかったの?機長の腕前がどうのって話じゃないでしょ!」
「そうですよ!言わば災害にあったようなものなんです。人にどうこうできる現象じゃないです。もう異世界にまで来て地球に帰れない以上、僕達はこれからの事を考えなければいけません!」
「う、うるさい!こんな所に居られるかッ!俺は街に向かうぞ!!」
「そうだ!さっさと森を抜けて、街まで駆け抜ければいい。二、三日食わなくても死なないし、水は途中で川でも見つければいい!」
「魔物だっているんですよ!?」
「どうせ最弱のゴブリンとかだろ?ハッ!余裕で倒せるに決まってる!」
「そうだよな?神様もこの周辺の魔物は脅威度が低いって言ってたし」
「俺もその話に乗るぜッ!」
見通しが甘すぎる。まず二、三日で着く距離に街があるのかも謎だし、川が都合よく進行方向にあるとは限らない。ゴブリンにしたってゲームとは違うんだ。決められた動きしかしないなんて事もないだろうし、武器も防具も無いの分かってんのかね?
街に向かうと言っているのは殆どが成人男性で、中にはヤンチャそうな学生も結構混じっている。四十人近くの人達が街に向かう選択を取るようだ。
流石に彼らの生き方に口を出すわけにはいかない。ここはもう異世界で、自分の事は自分で決断するべきだろう。その代わりどうなろうと自己責任だが。それに、彼らが上手くいかないと決まっているわけではない。彼らの言うとおりに、案外サクッと街まで行けるのかもしれない。
まぁとりあえず話の成り行きを見守ってみよう。
おぉ?砂浜だ。俺達は砂浜に立っていた。まず周辺状況を確認してみようか。
海は透明度が高く、波は穏やか、空が快晴なために余計綺麗に見える。まるでどこぞの有名なビーチのようだ。
水平線を見る限り、島や船等は無い。左右を見渡して見るが、見える範囲では海岸がずっと続いているな。
今度は海と逆方向を確認してみるか。
海からそれなりの距離を取って、木々が生い茂っているのが確認できる。こちらも左右にずっと続いているな。お、ヤシの木発見。それもかなりの数だ。喉が乾いたらヤシの実ジュースでも飲むか。
左右だけでなく、奥の方までずっと木々が続いているし、山も見えるんだよなぁ。なんかここだけ見ると無人島に漂着したみたいだ。
「機長、砂浜に書かれてるこれって、矢印ですよね?かなり大きいですが」
「本当だな。森に向かって少し斜め右を指しているな…。これが神様の言っていた街への目印か?」
機長とCAの一人のそんな会話が聞こえてきた。それに反応して周りも続々と見に集まっている。
神はこの場所は人の生活圏から離れていると言っていたな。少なくとも二、三日で辿り着けるような距離じゃないんだろうなぁ。
皆がガヤガヤとやってる間にちょっと今の状況を分析してみようか。
・水や食料の手持ちが一切無い。
・色々と使えるナイフや、水を沸かす鍋等の便利な道具も一切無い。
・唯一の持ち物は着ている衣服のみ。
・野生動物でさえ油断できないのに更に狂暴な魔物が存在している。
・周りにいる人間の大半が未成年。
・街まではかなり距離があると思われる。
……これヤバくね?
いや、俺一人なら生き残れるとは思う。魔物という未知の存在はいるが、俺の持つ技術を生かして意地でも生き延びる。
でも他の人達は?大人はともかく、学生達や家族連れの子供達、それに老夫婦は?俺のようにサバイバルで生き残れるようにはとても見えない。
言葉は悪いが、足手まといを装備と食料無しで、徒歩何日で着くか分からない街まで、二百人と少しいる人間の水と食料を毎日確保しつつ、魔物蔓延る道中を護衛しながら連れて行くんだろ?酷いなんてもんじゃねぇ!
神様!強く生きろと仰いましたが無茶過ぎやしませんかね!?
駄目だ。準備無く直ぐに街に行くのはどう考えても無茶だ。死人が何人出るか分かったもんじゃない。
ここで準備を整えてから移動するにしても問題は多いな。
まず食料問題だ。何せ人数が多い。
次に安全問題。ここに留まるならそれだけ魔物を警戒しなければならない日々が続く。
それに長く留まると衛生問題に、ストレスで人間関係にも問題が起きそうだ。
やべぇよ!やべぇよおぉぉ!!
とりあえず諸々の問題点について相談した方がいいな。皆の所に向かうか。
矢印のある場所に、知人同士でグループを作りながらも皆が集まっている。集団から離れた者はまだ出ていないようだ。
さてと。
「ちょっとすまない。とりあえず現状確認をしてみないか?」
「げ、現状確認ですか?」
同い年位の男性が返事を返してくれたが、怖がられているなぁ…。俺の見た目デカくてゴツいしな。もうこういう反応にも慣れたもんだが、気にしてない訳ではないんだぞ!
「俺達の今置かれている状況を、少し分析してみないか?一人でさっきまで考えていたんだが、俺達は今かなり不味い状況下にあると思うんだ」
「分かりました。まずは貴方が考えていたという分析の結果を聞かせて頂けますか?」
多分、学生達の引率の教師の一人であろう女性が良い返し方をしてくれたので、俺の分析した現在置かれている状況の危うさを語る。
色々とあり得ない事態が立て続けに起きて、今まで頭が回らなかったんだろう。俺の話を聞いたほとんどの人間が、顔を真っ青に染め始めた。俺も気付いたのはついさっきだから人の事言えないが。
顔色が変わらなかったのは、俺と同じ事を考えていたのだろう数人と、話の意味がよく分かっていない子供達くらいだ。
「食料って…。どうすればいいの?」
「こんな所にいつまでも居たくねぇ!さっさと街に行こうぜ!」
「そう言えば私達着替えも何も持ってないよ!?」
「お前のせいだ!」
正しく現状を理解した事で、色々と負の感情が爆発しているな。機長に責任を追及する者達までもが現れた。コイツらは神の話をちゃんと聞いていたのか?
「ちょっと!あんた達、神様の話を聞いてなかったの?機長の腕前がどうのって話じゃないでしょ!」
「そうですよ!言わば災害にあったようなものなんです。人にどうこうできる現象じゃないです。もう異世界にまで来て地球に帰れない以上、僕達はこれからの事を考えなければいけません!」
「う、うるさい!こんな所に居られるかッ!俺は街に向かうぞ!!」
「そうだ!さっさと森を抜けて、街まで駆け抜ければいい。二、三日食わなくても死なないし、水は途中で川でも見つければいい!」
「魔物だっているんですよ!?」
「どうせ最弱のゴブリンとかだろ?ハッ!余裕で倒せるに決まってる!」
「そうだよな?神様もこの周辺の魔物は脅威度が低いって言ってたし」
「俺もその話に乗るぜッ!」
見通しが甘すぎる。まず二、三日で着く距離に街があるのかも謎だし、川が都合よく進行方向にあるとは限らない。ゴブリンにしたってゲームとは違うんだ。決められた動きしかしないなんて事もないだろうし、武器も防具も無いの分かってんのかね?
街に向かうと言っているのは殆どが成人男性で、中にはヤンチャそうな学生も結構混じっている。四十人近くの人達が街に向かう選択を取るようだ。
流石に彼らの生き方に口を出すわけにはいかない。ここはもう異世界で、自分の事は自分で決断するべきだろう。その代わりどうなろうと自己責任だが。それに、彼らが上手くいかないと決まっているわけではない。彼らの言うとおりに、案外サクッと街まで行けるのかもしれない。
まぁとりあえず話の成り行きを見守ってみよう。
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