12 / 39
12
しおりを挟む
拠点予定地から街方面とは違う方向へ移動を開始。
太陽の位置から判断して。海が南で街は北北東、山があるのは西北西。今向かっているのは山の方だ。
有用な植物をチェックしながら移動中。出発してから二十分程になるが、身体強化の効果がヤバい。
今までの二倍以上の速さで移動できている。しかも疲労の蓄積も減っているし熟練度4でこれって、補正どうなってるんだ?
試しに木に蹴りを入れてみたが、簡単にへし折れてしまった。 ……まぁ強くなる分にはいいか。力加減も出来てるから意図せず物を握り潰す事もないし。
しかし野性生物が少ない。魔物に追われて余所に行くしかないんだろうな。今の所野鳥や素早い小動物くらいしか見ていない。
道中で見つけたリンゴをかじりつつ移動していたが、水音が聞こえる。
向かってみたが中々の大きさの河を発見した。幅は二十メートル程だろうか、深さもかなりありそうだな。ちょっと調べてみようか。
流石にアマゾン川の深い場所みたいに、深水百メートルとかはないだろうが、澄んだ水なのに中程になると真っ黒で見えない。なんかいそうだなここ?
何とはなしに食べ終わって芯になったリンゴを投げてみた。
全長七メートルはありそうなバカデカい魚が飛び上がった。
……なんで異世界ってやたらめったら生き物がでけぇんだよ!?
この先に無理に行くつもりはないから別に渡らなくていいんだが、身体強化された今なら加速つけたら飛び越えられっかな?とか考えてた手前冷や汗がでる。上を跳ぼうものなら足からパクッといかれてたわ。この辺りの水域のヌシか?もっとデカい奴の存在を否定できないあたり怖いが。
一応狙ってみるか?夜になる前に一度帰って飯にしたい。今の奴なら皆腹一杯食べれそうだし、パッと見た感じ鮭のような見た目だった。食べられそうだよな。問題はどうやって仕留めるかだ。
釣りは? そもそも道具がない。あったとしても糸が確実に切れる。
悩んでいると衝撃に体が吹き飛ばされた。
「ガハッ」
肺からから空気が抜けた。驚きはしたがダメージ自体は少ない。それより身体中が水で濡れている。何だ?
混乱していると河から大きな水球が飛来してきた。
魔法かッ!
慌てて横跳びに避けた。
魔法の存在をすっかり失念していた。てかアイツ魔物なのか。
とりあえず河から離れて木々の方へ。
魔力の問題があるから無限に撃てる訳ではないだろうが、撃ち尽くすまで避けるなんて御免だ。俺は戦闘狂じゃない。一番いいのは相手に気付かれずに一撃で仕留める事だと思っている。不意打ち大好き!
しかし、水球だからよかったものの、氷の槍とか毒液とかだったら洒落にならん。
初見で全てに対応するなんてのは無理な話だが、今回は完全な油断だ。いい加減しっかりやれ俺。
とりあえず相手は水の中だ。このままトンズラこく事もできるが……一つ試してからにしよう。 かなりの脳筋戦法だが、上手くいくと思う。
まず長く堅い木を一本引っこ抜く。そして邪魔な枝や根を取る。中々振りやすそうだな?
そう、身体強化で上がったステータスに任せて、飛び上がったところで頭を殴り飛ばす!死にはしなくても脳震盪くらい起こすだろう。
後は浮かんでいるのを木で近くに手繰り寄せる。
取り除いて纏めておいた枝を草紐で縛る。こいつを岸に近く、尚且つ奴が泳げる深さの範囲にポイッとな。
「キュルルルッ」
可愛らしい鳴き声だがデカさで台無しだ。ザバッと大きな飛沫を上げて飛び上がった。
鳴く魚自体はそれなりにいるから驚かないけどな。
「それはともかくドッコイショォォー!!」
「キュッ!?」
上手い事頭に当たったが、どうだ?
沈む事もなく、口に枝を引っかけたマヌケ面で浮き上がっている。どうやら上手くいったようだ。
木を使って近くに引き寄せる。後少し。
エラに手を掛け引き上げている時、巨大サケのしっぽに噛みついた奴がいた。 今度はなんだ!
ワニだ。水中に引き摺り込もうとしてくるが、シャケに比べて小さい。二メートルくらいか?
負ける気がしない。一緒に引き上げてしまおう。
少し引き、相手が引き返したところで力を抜く。
ガクッと抵抗がなくなって油断したところで一気に釣り上げる。
「フィッシュを使ってフィーーッシュ!」
岸に打ち上がって引っくり返っているワニを木で頭をしこたま殴る。
死んだか……これが獲物を横取りする奴の末路である。
サケの方もしっかり止めを刺した。
《新しいスキルを取得しました》
まだやることあるから後だ後。
しかしこのサケの牙、デカいだけじゃなくかなり鋭い。ナイフとして使えそうだ。何時までも石じゃ格好付かないからな。
一番長いので一つ、サクッと作った。いい太さの枝を柄にしてきつく縛る。早速血抜きに使う。
自分の歯で切られるサケの憐れさ……合掌。美味しく食べるから許せ。イクラはなかった。雄だったみたいだ。
ワタは河に流した。他の魚達が食べてくれる。
ワニも血を抜きし、内臓は河に流す。いいワニ革ができそうだな?
新しいスキルと以前の数値から上がってるスキルだけチェックするか。
水魔法:4 new
潜水:5 New
水中機動:5 new
魔力隠蔽:3 new
魔力感知:1 new
練気:5 up
激高:3 up
身体強化:5 up
寒冷耐性:5 up
魔法か……俺にも使えるようになったってことかな?
とりあえず検証は後だ。日が暮れる迄に晩飯の準備がしたい。帰ろう。
太陽の位置から判断して。海が南で街は北北東、山があるのは西北西。今向かっているのは山の方だ。
有用な植物をチェックしながら移動中。出発してから二十分程になるが、身体強化の効果がヤバい。
今までの二倍以上の速さで移動できている。しかも疲労の蓄積も減っているし熟練度4でこれって、補正どうなってるんだ?
試しに木に蹴りを入れてみたが、簡単にへし折れてしまった。 ……まぁ強くなる分にはいいか。力加減も出来てるから意図せず物を握り潰す事もないし。
しかし野性生物が少ない。魔物に追われて余所に行くしかないんだろうな。今の所野鳥や素早い小動物くらいしか見ていない。
道中で見つけたリンゴをかじりつつ移動していたが、水音が聞こえる。
向かってみたが中々の大きさの河を発見した。幅は二十メートル程だろうか、深さもかなりありそうだな。ちょっと調べてみようか。
流石にアマゾン川の深い場所みたいに、深水百メートルとかはないだろうが、澄んだ水なのに中程になると真っ黒で見えない。なんかいそうだなここ?
何とはなしに食べ終わって芯になったリンゴを投げてみた。
全長七メートルはありそうなバカデカい魚が飛び上がった。
……なんで異世界ってやたらめったら生き物がでけぇんだよ!?
この先に無理に行くつもりはないから別に渡らなくていいんだが、身体強化された今なら加速つけたら飛び越えられっかな?とか考えてた手前冷や汗がでる。上を跳ぼうものなら足からパクッといかれてたわ。この辺りの水域のヌシか?もっとデカい奴の存在を否定できないあたり怖いが。
一応狙ってみるか?夜になる前に一度帰って飯にしたい。今の奴なら皆腹一杯食べれそうだし、パッと見た感じ鮭のような見た目だった。食べられそうだよな。問題はどうやって仕留めるかだ。
釣りは? そもそも道具がない。あったとしても糸が確実に切れる。
悩んでいると衝撃に体が吹き飛ばされた。
「ガハッ」
肺からから空気が抜けた。驚きはしたがダメージ自体は少ない。それより身体中が水で濡れている。何だ?
混乱していると河から大きな水球が飛来してきた。
魔法かッ!
慌てて横跳びに避けた。
魔法の存在をすっかり失念していた。てかアイツ魔物なのか。
とりあえず河から離れて木々の方へ。
魔力の問題があるから無限に撃てる訳ではないだろうが、撃ち尽くすまで避けるなんて御免だ。俺は戦闘狂じゃない。一番いいのは相手に気付かれずに一撃で仕留める事だと思っている。不意打ち大好き!
しかし、水球だからよかったものの、氷の槍とか毒液とかだったら洒落にならん。
初見で全てに対応するなんてのは無理な話だが、今回は完全な油断だ。いい加減しっかりやれ俺。
とりあえず相手は水の中だ。このままトンズラこく事もできるが……一つ試してからにしよう。 かなりの脳筋戦法だが、上手くいくと思う。
まず長く堅い木を一本引っこ抜く。そして邪魔な枝や根を取る。中々振りやすそうだな?
そう、身体強化で上がったステータスに任せて、飛び上がったところで頭を殴り飛ばす!死にはしなくても脳震盪くらい起こすだろう。
後は浮かんでいるのを木で近くに手繰り寄せる。
取り除いて纏めておいた枝を草紐で縛る。こいつを岸に近く、尚且つ奴が泳げる深さの範囲にポイッとな。
「キュルルルッ」
可愛らしい鳴き声だがデカさで台無しだ。ザバッと大きな飛沫を上げて飛び上がった。
鳴く魚自体はそれなりにいるから驚かないけどな。
「それはともかくドッコイショォォー!!」
「キュッ!?」
上手い事頭に当たったが、どうだ?
沈む事もなく、口に枝を引っかけたマヌケ面で浮き上がっている。どうやら上手くいったようだ。
木を使って近くに引き寄せる。後少し。
エラに手を掛け引き上げている時、巨大サケのしっぽに噛みついた奴がいた。 今度はなんだ!
ワニだ。水中に引き摺り込もうとしてくるが、シャケに比べて小さい。二メートルくらいか?
負ける気がしない。一緒に引き上げてしまおう。
少し引き、相手が引き返したところで力を抜く。
ガクッと抵抗がなくなって油断したところで一気に釣り上げる。
「フィッシュを使ってフィーーッシュ!」
岸に打ち上がって引っくり返っているワニを木で頭をしこたま殴る。
死んだか……これが獲物を横取りする奴の末路である。
サケの方もしっかり止めを刺した。
《新しいスキルを取得しました》
まだやることあるから後だ後。
しかしこのサケの牙、デカいだけじゃなくかなり鋭い。ナイフとして使えそうだ。何時までも石じゃ格好付かないからな。
一番長いので一つ、サクッと作った。いい太さの枝を柄にしてきつく縛る。早速血抜きに使う。
自分の歯で切られるサケの憐れさ……合掌。美味しく食べるから許せ。イクラはなかった。雄だったみたいだ。
ワタは河に流した。他の魚達が食べてくれる。
ワニも血を抜きし、内臓は河に流す。いいワニ革ができそうだな?
新しいスキルと以前の数値から上がってるスキルだけチェックするか。
水魔法:4 new
潜水:5 New
水中機動:5 new
魔力隠蔽:3 new
魔力感知:1 new
練気:5 up
激高:3 up
身体強化:5 up
寒冷耐性:5 up
魔法か……俺にも使えるようになったってことかな?
とりあえず検証は後だ。日が暮れる迄に晩飯の準備がしたい。帰ろう。
20
あなたにおすすめの小説
青い鳥と 日記 〜コウタとディック 幸せを詰め込んで〜
Yokoちー
ファンタジー
もふもふと優しい大人達に温かく見守られて育つコウタの幸せ日記です。コウタの成長を一緒に楽しみませんか?
(長編になります。閑話ですと登場人物が少なくて読みやすいかもしれません)
地球で生まれた小さな魂。あまりの輝きに見合った器(身体)が見つからない。そこで新米女神の星で生を受けることになる。
小さな身体に何でも吸収する大きな器。だが、運命の日を迎え、両親との幸せな日々はたった三年で終わりを告げる。
辺境伯に拾われたコウタ。神鳥ソラと温かな家族を巻き込んで今日もほのぼのマイペース。置かれた場所で精一杯に生きていく。
「小説家になろう」「カクヨム」でも投稿しています。
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
☆ほしい
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
【完結】番である私の旦那様
桜もふ
恋愛
異世界であるミーストの世界最強なのが黒竜族!
黒竜族の第一皇子、オパール・ブラック・オニキス(愛称:オール)の番をミースト神が異世界転移させた、それが『私』だ。
バールナ公爵の元へ養女として出向く事になるのだが、1人娘であった義妹が最後まで『自分』が黒竜族の番だと思い込み、魅了の力を使って男性を味方に付け、なにかと嫌味や嫌がらせをして来る。
オールは政務が忙しい身ではあるが、溺愛している私の送り迎えだけは必須事項みたい。
気が抜けるほど甘々なのに、義妹に邪魔されっぱなし。
でも神様からは特別なチートを貰い、世界最強の黒竜族の番に相応しい子になろうと頑張るのだが、なぜかディロ-ルの侯爵子息に学園主催の舞踏会で「お前との婚約を破棄する!」なんて訳の分からない事を言われるし、義妹は最後の最後まで頭お花畑状態で、オールを手に入れようと男の元を転々としながら、絡んで来ます!(鬱陶しいくらい来ます!)
大好きな乙女ゲームや異世界の漫画に出てくる「私がヒロインよ!」な頭の変な……じゃなかった、変わった義妹もいるし、何と言っても、この世界の料理はマズイ、不味すぎるのです!
神様から貰った、特別なスキルを使って異世界の皆と地球へ行き来したり、地球での家族と異世界へ行き来しながら、日本で得た知識や得意な家事(食事)などを、この世界でオールと一緒に自由にのんびりと生きて行こうと思います。
前半は転移する前の私生活から始まります。
女神に頼まれましたけど
実川えむ
ファンタジー
雷が光る中、催される、卒業パーティー。
その主役の一人である王太子が、肩までのストレートの金髪をかきあげながら、鼻を鳴らして見下ろす。
「リザベーテ、私、オーガスタス・グリフィン・ロウセルは、貴様との婚約を破棄すっ……!?」
ドンガラガッシャーン!
「ひぃぃっ!?」
情けない叫びとともに、婚約破棄劇場は始まった。
※王道の『婚約破棄』モノが書きたかった……
※ざまぁ要素は後日談にする予定……
おばさん冒険者、職場復帰する
神田柊子
ファンタジー
アリス(43)は『完全防御の魔女』と呼ばれたA級冒険者。
子育て(子どもの修行)のために母子ふたりで旅をしていたけれど、子どもが父親の元で暮らすことになった。
ひとりになったアリスは、拠点にしていた街に五年ぶりに帰ってくる。
さっそくギルドに顔を出すと昔馴染みのギルドマスターから、ギルド職員のリーナを弟子にしてほしいと頼まれる……。
生活力は低め、戦闘力は高めなアリスおばさんの冒険譚。
-----
剣と魔法の西洋風異世界。転移・転生なし。三人称。
一話ごとで一区切りの、連作短編(の予定)。
-----
※小説家になろう様にも掲載中。
掃除婦に追いやられた私、城のゴミ山から古代兵器を次々と発掘して国中、世界中?がざわつく
タマ マコト
ファンタジー
王立工房の魔導測量師見習いリーナは、誰にも測れない“失われた魔力波長”を感じ取れるせいで奇人扱いされ、派閥争いのスケープゴートにされて掃除婦として城のゴミ置き場に追いやられる。
最底辺の仕事に落ちた彼女は、ゴミ山の中から自分にだけ見える微かな光を見つけ、それを磨き上げた結果、朽ちた金属片が古代兵器アークレールとして完全復活し、世界の均衡を揺るがす存在としての第一歩を踏み出す。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる