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「シゲ爺、調子はどうだ?」
「おおぅ、ゲン坊か。この爪のナイフ良いのぅ。スルスル削れるわい」
シゲ爺が魔物素材で作った道具で、木の加工を行っていた。
道具があるだけで、ここまで違うのか。
狼の爪が何せよく切れる、天然の業物ナイフだ。
それとサケの頭の骨から顎を外し、真っ直ぐな部分だけに折った物をノコギリに使っている。歯が細かくびっしり着いてるから丁度いいんだ。
綺麗に丸く皮の剥かれた木が積んであり、それらを先ず助手にした男衆に大雑把に四角柱に切らせて、シゲ爺はそれを狼ナイフでまるで研ぐように、滑らすように削る。流石元大工の棟梁。カンナではないが素晴らしい職人技だ。
だが流石にこれ等で家を造るのは今日は無理だろう?とりあえずの簡単な小屋を作って欲しいんだが。
と、思ったが。元移動組のまとめ役をやっていた男性……名前は亮、彼がそちらの方を仕切ってやっているみたいだ。聞けばあの夜の時の松明を作ったのも彼らしく、アウトドアが好きで色々知識があるらしい。もうすっかり馴染んでるな?頼もしい。
そういう事なら、シゲ爺にはしっかりした家を頼もう。急いで造って怪我なんてしないように、焦らず確実に頼む。
三十分の全体休憩に入る。俺が感知全開で警戒してるのでしっかり休むように。
その間にオタトリオから窯造りの進捗を聞く事に。どうも何かに悩んでいるらしい。
先ずは石窯を造り、耐火煉瓦を作ろうとしたらしい。
ここの木の禿げた土地には石灰岩もあった。それをなるべく細かく砕いて焼いて、先ずは生石灰という物を作ったらしい。そしてそれに水をかけ、消石灰を作ったという。
……もう俺には何の話かさっぱりわからんが。
それを赤土に混ぜ固め、ブロックの型にして焼いたらしいが……どうも割れてしまうらしい。
何か足りない物がある。じゃあ何が足りない?
結論、さっぱりわからないので俺に聞こう。
そうなったらしいが。
俺も知らんがな……専門外だ!
それでも何かないかというので、四人で水でも飲みながら、ウンウン無い頭を搾って考える。
そこで、ふと思い出したことがある。
魔物の灰だ。神の話では、用途のない魔物素材も全て焼いて灰にすれば、込められた魔力で肥料やポーションの素材になる。との事だった。
魔物の灰って何となく万能感感じるよな?
灰……混ぜちゃう?
休憩時間中だが待てないらしく、感知を切らさない様にしながらも煉瓦作りに挑戦。
結果か?出来たよ!全く割れないよ!スゲーぜ魔物の灰!
畑なんて今は作ってないし、ポーションの作り方なんて知らない。
だから死蔵していた灰はそれなりにある。全部使って、やったれオタトリオ!
「兄貴。夜までに何とか鍋になる物を作るんで、楽しみにしててください」
「女子達に手伝って貰うッスから、ここはオイラ達に任せて、兄貴は他を頼むッス」
「生産は数だよ~。兄貴~」
ソウ。ダイ。ユウ。
まだ異世界に来て二日だ。だがコイツらの顔は既に漢の顔だ。環境は人を成長させるんだなぁ。
ならここは任せて、俺は風呂を作ろう。
正直、サバイバルでは風呂の優先度は低い。
体を洗うなら小川は近いし、なんだったら俺の水魔法がある。
生きるだけなら優先度どころか作る必要すらない。
でもさ、息抜きっていると思わないか?ここにはネットもテレビもない。ショッピングも食べ歩きも出来ない。
お前は魔物を食べ歩きしてるだろとか言うな。
とにかく、文明が感じられない。周りは森だらけだ。
神の話を聞いてもう戻れないのはわかってるし、まだまだ不安はあるだろうが、食料に関しての不安が減ってからだろう……どこか少しキャンプ気分なのを、特に学生達から感じる。
現状がわかっていない訳では無いだろうが、自分の心を守る為に、なるべく楽しもうとしているのかもしれない。
吹っ切れからきたものだとはどうも思えん。
心理学とか俺はさっぱりだから、この考えが当たってるかは分からん。
でもこのままだといずれ潰れる。
それは分かる。
食に満足したら?次は性かもしれない。そこはまぁ学生同士よろしくやればいい。
じゃあその次は?そのまた次は?
際限がない。
そしていずれ、地球はよかったなぁ……と、 帰りたいなぁと、心が圧し潰される。
いずれくるその時をなるべく遅らせる為に、定期的に楽しみを提供する。
そして提供出来るものが無くなり、その時がくる前に、集団で協力し合う事で、お互いが心の支えになってほしい。
更に言えば、ここの皆を家族の様に感じられる様になってほしい。
その時がきた時、地球はよかったなぁ……でもここも悪くないよなぁ。
と、そう思えるようになってほしい。
シゲ爺やオタトリオを軸に、他の皆で考え、協力すればいずれここに文明も築ける。でも今直ぐにじゃない。
だからまず風呂だ。ここに風呂文化を築く。卓球台も作ろう。
大いに疲れを癒し、楽しんで欲しい。
俺一人で狩猟生活をエンジョイしていて、後ろめたく思っているからでは決して無い!
「おおぅ、ゲン坊か。この爪のナイフ良いのぅ。スルスル削れるわい」
シゲ爺が魔物素材で作った道具で、木の加工を行っていた。
道具があるだけで、ここまで違うのか。
狼の爪が何せよく切れる、天然の業物ナイフだ。
それとサケの頭の骨から顎を外し、真っ直ぐな部分だけに折った物をノコギリに使っている。歯が細かくびっしり着いてるから丁度いいんだ。
綺麗に丸く皮の剥かれた木が積んであり、それらを先ず助手にした男衆に大雑把に四角柱に切らせて、シゲ爺はそれを狼ナイフでまるで研ぐように、滑らすように削る。流石元大工の棟梁。カンナではないが素晴らしい職人技だ。
だが流石にこれ等で家を造るのは今日は無理だろう?とりあえずの簡単な小屋を作って欲しいんだが。
と、思ったが。元移動組のまとめ役をやっていた男性……名前は亮、彼がそちらの方を仕切ってやっているみたいだ。聞けばあの夜の時の松明を作ったのも彼らしく、アウトドアが好きで色々知識があるらしい。もうすっかり馴染んでるな?頼もしい。
そういう事なら、シゲ爺にはしっかりした家を頼もう。急いで造って怪我なんてしないように、焦らず確実に頼む。
三十分の全体休憩に入る。俺が感知全開で警戒してるのでしっかり休むように。
その間にオタトリオから窯造りの進捗を聞く事に。どうも何かに悩んでいるらしい。
先ずは石窯を造り、耐火煉瓦を作ろうとしたらしい。
ここの木の禿げた土地には石灰岩もあった。それをなるべく細かく砕いて焼いて、先ずは生石灰という物を作ったらしい。そしてそれに水をかけ、消石灰を作ったという。
……もう俺には何の話かさっぱりわからんが。
それを赤土に混ぜ固め、ブロックの型にして焼いたらしいが……どうも割れてしまうらしい。
何か足りない物がある。じゃあ何が足りない?
結論、さっぱりわからないので俺に聞こう。
そうなったらしいが。
俺も知らんがな……専門外だ!
それでも何かないかというので、四人で水でも飲みながら、ウンウン無い頭を搾って考える。
そこで、ふと思い出したことがある。
魔物の灰だ。神の話では、用途のない魔物素材も全て焼いて灰にすれば、込められた魔力で肥料やポーションの素材になる。との事だった。
魔物の灰って何となく万能感感じるよな?
灰……混ぜちゃう?
休憩時間中だが待てないらしく、感知を切らさない様にしながらも煉瓦作りに挑戦。
結果か?出来たよ!全く割れないよ!スゲーぜ魔物の灰!
畑なんて今は作ってないし、ポーションの作り方なんて知らない。
だから死蔵していた灰はそれなりにある。全部使って、やったれオタトリオ!
「兄貴。夜までに何とか鍋になる物を作るんで、楽しみにしててください」
「女子達に手伝って貰うッスから、ここはオイラ達に任せて、兄貴は他を頼むッス」
「生産は数だよ~。兄貴~」
ソウ。ダイ。ユウ。
まだ異世界に来て二日だ。だがコイツらの顔は既に漢の顔だ。環境は人を成長させるんだなぁ。
ならここは任せて、俺は風呂を作ろう。
正直、サバイバルでは風呂の優先度は低い。
体を洗うなら小川は近いし、なんだったら俺の水魔法がある。
生きるだけなら優先度どころか作る必要すらない。
でもさ、息抜きっていると思わないか?ここにはネットもテレビもない。ショッピングも食べ歩きも出来ない。
お前は魔物を食べ歩きしてるだろとか言うな。
とにかく、文明が感じられない。周りは森だらけだ。
神の話を聞いてもう戻れないのはわかってるし、まだまだ不安はあるだろうが、食料に関しての不安が減ってからだろう……どこか少しキャンプ気分なのを、特に学生達から感じる。
現状がわかっていない訳では無いだろうが、自分の心を守る為に、なるべく楽しもうとしているのかもしれない。
吹っ切れからきたものだとはどうも思えん。
心理学とか俺はさっぱりだから、この考えが当たってるかは分からん。
でもこのままだといずれ潰れる。
それは分かる。
食に満足したら?次は性かもしれない。そこはまぁ学生同士よろしくやればいい。
じゃあその次は?そのまた次は?
際限がない。
そしていずれ、地球はよかったなぁ……と、 帰りたいなぁと、心が圧し潰される。
いずれくるその時をなるべく遅らせる為に、定期的に楽しみを提供する。
そして提供出来るものが無くなり、その時がくる前に、集団で協力し合う事で、お互いが心の支えになってほしい。
更に言えば、ここの皆を家族の様に感じられる様になってほしい。
その時がきた時、地球はよかったなぁ……でもここも悪くないよなぁ。
と、そう思えるようになってほしい。
シゲ爺やオタトリオを軸に、他の皆で考え、協力すればいずれここに文明も築ける。でも今直ぐにじゃない。
だからまず風呂だ。ここに風呂文化を築く。卓球台も作ろう。
大いに疲れを癒し、楽しんで欲しい。
俺一人で狩猟生活をエンジョイしていて、後ろめたく思っているからでは決して無い!
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