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おはようございます。
あの後は、罠の数を増やすだけにして早めに寝た。
気になるのは魔物が数体、スパイクトラップに引っ掛かって死んでいたのだが、ゴブリンに混じって新しく犬のような顔をした、恐らくはコボルトだろうモノの遺骸もあった事だ。
体についた爪痕や噛み傷、棍による打撲痕を見るに、コイツらが恐らくお互いに争い合う関係なのが分かるが、様々な痕跡から得た情報からは何故か、同じ様に街の方角から逃げて来たのが分かった。
本当に、何が起こっているのやら……。
朝の会議だ。
男性陣が昨日話しあったように、女性陣も昨日話しあっていた。
向こうの話の内容がどんなものだったかは分からないが、学生の女の子達の顔付きが、昨日までとは違って腹を括った感じがする。どうやらフミ婆達大人の女性が上手く導いてくれたのだろうな。
……ただ絶対に声に出して言えないが、どの子も将来旦那を尻に敷きそうな気迫が漂い始めている。
男の子諸君、どうやら心配するべきは女の子達ではなく、君達の方かもしれない……頑張れ。
そんな風に思っていたら、麗華さんが此方を向いてニッコリ笑っていた……俺も人の事言ってる場合じゃねぇや!
一度腹を括った女性は強くなる。俺はまた一つ学びました。
会議の内容は主に、オタトリオの魔法教室と、街の方角で起こっている事の謎についてだ。
魔法については、ちびっ子達を除いた全員が覚える事になった。
自衛になるのは勿論だが、日常生活に役立つことが約束されている。女性陣も進んで学ぶ事になるのは当然の流れだった。
その為、オタトリオ達にしかできない仕事以外は他に任せ、魔法の指導を彼等の主な仕事とする運びとなった。
ちびっ子達については、一番上の男の子でもまだ九歳だ。上手く扱えずに怪我をする可能性が高すぎる。暫くお預けだ。
……ブーブー言わないように。代わりに武術の基礎を暇なときに教えてやるから!
街の方角の謎についての話し合いは長引いている。
それと言うのも、この状況ではいつまで立っても街に行けそうにないからだ。
そろそろ俺が単独で行って調べてこようかと提案したのだが、反対か保留の声だけで賛成の声は皆無だった。
俺が長く拠点を空けるのにまだ不安があるという理由と、おかしな事になっているなら、そんな所に行くのは危険ではないかという二つの理由からだ。
そもそも、この世界に詳しくない俺達がおかしいと思っているだけで、ゴブリンやコボルトのこの行動はよく見られるモノなのかもしれないしなぁ……。
魔物達が頻繁に縄張り争いをしていて、ここから街へ安全に移動出来るのは月に数度しかないとか、普通にあり得るからな。
ああだこうだと皆で悩んでいると、亮が不意に呟いた。
「そもそもよォ、今のオレらが街に行く必要ってあんのかねェ?」
注目が亮に集まった。
「い、いやよォ?神様の話しじゃあ魔道具っつうのはあるみたいだが、基本的に文明レベルは中世辺りなんだろォ?食と安全の問題さえどうにかなんなら、別にここでもよくねぇか?
だってよォ、オレらにはシゲ爺やフミ婆にオタ先生達がついてんだぜ?利便さを求めて街への危険な道のりを行くくらいなら、ここを地球の現代知識で発展させたらいいじゃねぇか」
「確かにのぅ。食については今のように自生している物をとるだけでは無く、自分達で畑でも作ればここに定住できるじゃろ。
安全についてはそもそも魔物が存在する世界なんじゃし、街とて完全な安全が保証されている訳ではないじゃろうしの。砦でも建てて、各々の防衛訓練をしっかりとして……いざとなったらゲン坊に気張ってもらうかの?カッカッカッ!」
辺りがシーン……とした。
皆、無言で近くの者同士顔を見合わせている。
「まだ周囲の魔物の生態が殆どわかっていないのが不安なのと、一番の問題は怪我や病気の治療手段が貧弱な事でしょうかね?」
「魔物については防衛の強化をしつつ、少しずつ調べるしかないッスね。怪我や病気も魔法による治療が可能か、色々試す必要があるッス。後は兄貴に知っている薬草類を採ってきてもらって、魔物の灰と調合したりでポーションが自作できないか実験するのもいいッスね」
「弓みたいに~、遠距離魔法の訓練も入れたらどうかな~?魔法なら弓と違って力の無い女性でも撃てると思うんだ~」
オタトリオがそう発言した辺りから、皆にざわめきが広がった。
……え、何この流れ?街行かないの!?その為に訓練の指導をしてたんだが……いやまぁ俺はどっちでもいいんだけどさ?同郷の皆が心配なだけなんだし。
でもこの、街に行けないなら自分達でつくればいいじゃんってノリ、本気か!?どっかの我が儘王妃じゃないんだぞ!
簡単な朝食を入れた後、会議を続行することに。
長くなりそうだなぁ。
あの後は、罠の数を増やすだけにして早めに寝た。
気になるのは魔物が数体、スパイクトラップに引っ掛かって死んでいたのだが、ゴブリンに混じって新しく犬のような顔をした、恐らくはコボルトだろうモノの遺骸もあった事だ。
体についた爪痕や噛み傷、棍による打撲痕を見るに、コイツらが恐らくお互いに争い合う関係なのが分かるが、様々な痕跡から得た情報からは何故か、同じ様に街の方角から逃げて来たのが分かった。
本当に、何が起こっているのやら……。
朝の会議だ。
男性陣が昨日話しあったように、女性陣も昨日話しあっていた。
向こうの話の内容がどんなものだったかは分からないが、学生の女の子達の顔付きが、昨日までとは違って腹を括った感じがする。どうやらフミ婆達大人の女性が上手く導いてくれたのだろうな。
……ただ絶対に声に出して言えないが、どの子も将来旦那を尻に敷きそうな気迫が漂い始めている。
男の子諸君、どうやら心配するべきは女の子達ではなく、君達の方かもしれない……頑張れ。
そんな風に思っていたら、麗華さんが此方を向いてニッコリ笑っていた……俺も人の事言ってる場合じゃねぇや!
一度腹を括った女性は強くなる。俺はまた一つ学びました。
会議の内容は主に、オタトリオの魔法教室と、街の方角で起こっている事の謎についてだ。
魔法については、ちびっ子達を除いた全員が覚える事になった。
自衛になるのは勿論だが、日常生活に役立つことが約束されている。女性陣も進んで学ぶ事になるのは当然の流れだった。
その為、オタトリオ達にしかできない仕事以外は他に任せ、魔法の指導を彼等の主な仕事とする運びとなった。
ちびっ子達については、一番上の男の子でもまだ九歳だ。上手く扱えずに怪我をする可能性が高すぎる。暫くお預けだ。
……ブーブー言わないように。代わりに武術の基礎を暇なときに教えてやるから!
街の方角の謎についての話し合いは長引いている。
それと言うのも、この状況ではいつまで立っても街に行けそうにないからだ。
そろそろ俺が単独で行って調べてこようかと提案したのだが、反対か保留の声だけで賛成の声は皆無だった。
俺が長く拠点を空けるのにまだ不安があるという理由と、おかしな事になっているなら、そんな所に行くのは危険ではないかという二つの理由からだ。
そもそも、この世界に詳しくない俺達がおかしいと思っているだけで、ゴブリンやコボルトのこの行動はよく見られるモノなのかもしれないしなぁ……。
魔物達が頻繁に縄張り争いをしていて、ここから街へ安全に移動出来るのは月に数度しかないとか、普通にあり得るからな。
ああだこうだと皆で悩んでいると、亮が不意に呟いた。
「そもそもよォ、今のオレらが街に行く必要ってあんのかねェ?」
注目が亮に集まった。
「い、いやよォ?神様の話しじゃあ魔道具っつうのはあるみたいだが、基本的に文明レベルは中世辺りなんだろォ?食と安全の問題さえどうにかなんなら、別にここでもよくねぇか?
だってよォ、オレらにはシゲ爺やフミ婆にオタ先生達がついてんだぜ?利便さを求めて街への危険な道のりを行くくらいなら、ここを地球の現代知識で発展させたらいいじゃねぇか」
「確かにのぅ。食については今のように自生している物をとるだけでは無く、自分達で畑でも作ればここに定住できるじゃろ。
安全についてはそもそも魔物が存在する世界なんじゃし、街とて完全な安全が保証されている訳ではないじゃろうしの。砦でも建てて、各々の防衛訓練をしっかりとして……いざとなったらゲン坊に気張ってもらうかの?カッカッカッ!」
辺りがシーン……とした。
皆、無言で近くの者同士顔を見合わせている。
「まだ周囲の魔物の生態が殆どわかっていないのが不安なのと、一番の問題は怪我や病気の治療手段が貧弱な事でしょうかね?」
「魔物については防衛の強化をしつつ、少しずつ調べるしかないッスね。怪我や病気も魔法による治療が可能か、色々試す必要があるッス。後は兄貴に知っている薬草類を採ってきてもらって、魔物の灰と調合したりでポーションが自作できないか実験するのもいいッスね」
「弓みたいに~、遠距離魔法の訓練も入れたらどうかな~?魔法なら弓と違って力の無い女性でも撃てると思うんだ~」
オタトリオがそう発言した辺りから、皆にざわめきが広がった。
……え、何この流れ?街行かないの!?その為に訓練の指導をしてたんだが……いやまぁ俺はどっちでもいいんだけどさ?同郷の皆が心配なだけなんだし。
でもこの、街に行けないなら自分達でつくればいいじゃんってノリ、本気か!?どっかの我が儘王妃じゃないんだぞ!
簡単な朝食を入れた後、会議を続行することに。
長くなりそうだなぁ。
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