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閑章2
第111話「慌ただしい神田家の朝」
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翌日
図書館前
守里: うん…分かってた…
朝10時頃、人通りの多い道を前にして、守里は携帯を見ながら立っていた。
守里: 祐希…一体いつになったら連絡がつくんだ!!
守里は9時頃から、祐希にメッセージを送り続けていたが、一向に既読がつかず、待ち合わせ時間の10時になっても、既読がつくことはなかった。
やっぱり、家まで迎えに行けば良かったか…
はぁ…
しょうがない、あの人に頼もう。
守里は電話をかける。
プルルル
ピ
守里 T: もしもし。なぁちゃん?
七星 T: そやで~どうしたん?こんな休日に。
守里 T: あのさ、祐希起きてる?
七星 T: え?祐希?、まだリビングには降りてきてないで。多分、寝てる。
守里 T: お願いなんだけど、祐希を起こしてくれない?
七星 T: それはかまわんけど、なんか祐希と予定あるん?
守里 T: うん。今日、図書館で一緒に勉強する約束なんだ。
七星 T: あぁ、テスト前恒例のやつか。
守里 T: そうそう。
七星 T: いつもありがとうな。祐希の面倒見てもろうて。
守里 T: 友達なんだから当然だって笑
七星 T: そうか笑。じゃあ祐希起こして、さっさと行かせるから、先に図書館で勉強しとくなり、近くのお店に入っとくなりしとき。
守里 T: 分かった。ありがとう、なぁちゃん。
七星 T: 笑、どういたしまして。あ、電話は繋っぱでよろしくな。
守里 T: え?
七星 T: 守里からも直接急かした方が、祐希も急ぐやろうし、ななも話したいから。
守里 T: う、うん。
七星 T: あ、もちろん、ななはその勉強会にはお邪魔せえへんから、途中で祐希の携帯にかけ直してや。
守里 T: OK。
七星 T: ってことで、祐希の部屋に突撃や!!
うん…電話しっぱなしじゃ、図書館にも入れないし、お店にも入れないよな。
近くに座れるところがあれば…
あ、あった。
守里はベンチを見つけ、そこに座りつつ、電話を続ける。
七星 T: 守里。祐希、確実に寝てるわ笑
守里 T: へぇ。
七星 T: 失礼しまーす!!
ガチャ
七星 T: 相変わらず、ダイナミックな寝相やな。
守里 T: 昔から変わらないよね。
七星 T: せやな。そういえば、昔、ななと祐希と守里と日向子でお泊まり会した時、祐希に轢かれとったよな?笑
守里 T: あぁ…そういえば、そんなこともあった…
守里は小学生なりたての頃の記憶を思い出す。
祐希は寝相がほんとに悪いんだよな。
少なくともベッドの幅が3mぐらいないと、ベッドから落ちるぐらいに。
七星 T: なぁ守里笑。祐希の寝相見て欲しいから、テレビ電話にしてええか?
守里 T: いや、さすがにそれは祐希に悪いよ。
七星 T: 笑、確かにせやな。じゃあ起こすで。
電話の向こうで、七星が祐希を起こす声が聞こえる。
七星 T: 祐希!はよ起きいや!!
祐希 T: う、う~ん…まだ、焼き芋焼けてない…zzz
焼き芋の夢を見てるに違いない笑
七星 T: そんなアホなこと言わんと、さっさと起きんかい!!
パシン
守里 T: おっと…
電話の向こうから、眠気覚ましの平手打ちの音が聞こえる。
あれ、結構痛いんだよな笑
祐希 T: ひゃ!!焼き芋!!!
七星 T: やっと目覚ましたか。
祐希 T: あれ?お姉ちゃん?焼き芋は?
七星 T: 何、寝ぼけたこと言ってんねん。ほら、朝の挨拶しいや。
七星は携帯を祐希の方に向ける。
祐希 T: ?
守里 T: おはよう。祐希。
祐希 T: その声は…守里?
守里 T: うん。そうだよ。よく寝れたかな?
祐希 T: え?まぁ、お腹いっぱい笑
何を言ってるんだ、こやつは…
七星 T: 祐希、この状況をどう見る?
祐希 T: どう見るって…お姉ちゃんが、祐希を、起こしに来て、何故かお姉ちゃんの携帯から守里の声が聞こえる。
守里 T: 今日は、なんの日?
祐希 T: なんの日って…誰かの誕生日じゃないよね?
守里 T: うん。少なくとも僕らの周りで、今日が誕生日の人はいないよ。
祐希 T: じゃあ…
守里 T: 何曜日?
祐希 T: 何曜日って、日曜日…はっ!!!
七星 T: 気づいたみたいやな笑
守里 T: 集合時間は?
祐希 T: …10時です。
守里 T: 今、何時?
祐希 T: 10時15分です。
守里 T: …待っとくから。
祐希 T: い、急いで準備します!!!
祐希はベッドから飛び起きる。
七星 T: ななも手伝ったるからな笑
祐希 T: ありがとうございます!!
そうして、祐希はリビングにダッシュで向かう。
七星 T: っちゅうことで、もうちょっと待っとき。
守里 T: うん。お願いね、なぁちゃん。
七星 T: はーい。
その後、電話の向こうから響く、騒がしい声と物音を聞きつつ、守里は祐希の到着を待つ。
30分後…
祐希 T: 守里、どこ~
守里 T: 図書館の入口近くのベンチにいる。
祐希 T: ベンチ?
守里 T: そう。
祐希 T: う~ん…あ!!「いた!!!」
守里: やっと来た、祐希。
ピ
守里: 待ってたよ。
祐希: あ、あの、その…
守里: …
祐希: ごめんなさい!!
守里: 笑、もう慣れっこだから。でも、今度こそ気をつけるんだよ。
祐希: はい!
守里: なぁちゃんにも、ちゃんとありがとう言ってきた?
祐希: もちろん。
守里: そっか。じゃあ、早速行こう。
祐希: うん。
そうして、2人は図書館の中に入り、学習スペースの席に着く。
守里: よし、始めようか。
祐希: うん。って誰もいないね。
守里: まぁ、この辺でここ利用する学生は、能高生だけっぽいから。
祐希: へぇ。
守里: まだ、テスト2週間前だし、利用する人は、ほとんどいないんでしょ。
祐希: なるほど。
守里: 持ってきた教科書は?
祐希: 守里に言われた通り、数学と英語と…
祐希はカバンから教科書を取り出しながら言う。
祐希: 化学と、あと生物!
守里: OK、午前中は英語をやろう。それで、外でお昼食べて、午後から残りの教科やろうか。
祐希: 分かった。お願いします、守里先生。
守里: はいはい。
勉強会が始まる。
祐希: ねぇ、守里。この単語、どういう意味?
守里: ん?どれ。
祐希: これ。
ノートに書いた単語を指さしながら、祐希は聞く。
守里: あぁ、それは「実は」とか「本当は」って意味。
祐希: へぇ。じゃあこれは?
別の単語を指さす。
守里: 「独占」
祐希: これは?
守里: 「3重」
祐希: これ。
守里: 「幽霊」
祐希: それ。
守里: 「反して」
祐希: ん。
守里: 「優しい」
祐希: …
守里: 「意味のある偶然の一致」
祐希: なんか辞書みたい笑
守里: ちゃんと覚えないとだよ。
祐希: 分かってるって笑。ちなみに、単語じゃなくてもいける?
守里: …僕が知ってるのであれば。
祐希: これ。
守里: 「大声で歌う」
祐希: ほい。
守里: 「幸運を祈る」
祐希: はい!
守里: 「絶対と絶対言うな」
祐希: よいしょ!
守里: 「言いにくい」
祐希: はっ!
守里: 「荒野の世界」
祐希: あっと!
守里: 「新しい1日」
祐希: さすがだね笑
守里: ってなんか、この言葉達、祐希が分かってないとマズイような気がする。
祐希: え?なんで?
守里: 分からない。
祐希: まぁ、いいや!ありがとう、守里。
守里: うん。
祐希: 今日は眠くないから、集中できる。
守里: そっか、寝坊して良かったね笑
祐希: いや、そういう意味じゃないから、そんな怖い顔しないで…
守里: 怖い顔?そんなのしてないよ。ニコ
祐希: ほら、怖いって。
守里: 笑、まぁいいから、早く進めな。
祐希: は~い。
1時間後…
祐希: グー
祐希のお腹の音が、部屋に響く。
守里: もう12時か。
祐希: お腹空いた~
守里: だね。お昼食べに行こう。
祐希: うん。
2人は勉強道具をしまって、席を立つ。
守里: 結局、誰も来なかったな。
祐希: 今日は祐希達だけなんじゃない?
守里: かもね。
祐希: どこに食べに行くの?
守里: 祐希はどこがいい?
祐希: ん~餃子食べたい!
守里: なら、中華料理屋か。駅前にあるかな。
祐希: よし、レッツゴー。
2人は図書館を出て、駅前で見つけた中華料理屋に入り、そこで、壮絶な餃子の取り合いをしつつ、お腹をいっぱいにする。
そして再び、図書館の学習スペースに戻ってくると…
祐希: あれ?誰かの荷物がある。
守里: そうだね。
午前中に守里達が座っていたところに、カバンが置いてあった。
守里: 別の席でやろう。
祐希: うん。
2人は席を移動して、勉強会を再開する。
祐希: 次は、数学?
守里: そう。教科書のこのページから。
そう言って、守里は教科書を開いて祐希に見せる。
祐希: 分かった。
ガチャ
??: あれ?
守里: え?
学習スペースに入ってきた人物を見て、守里は驚く。
守里: 川嶋さん?
川嶋: 守里君…それと…
祐希: あ!委員長だ!
川嶋: だから、委員長じゃなくて、学級委員ね。
祐希: え~別にいいじゃん。
川嶋: 役職名が学級委員なんだから。
祐希: それは分かってるけど。
守里: そのカバン、川嶋さんのだったんだ。
川嶋: うん。って、川嶋さん?
守里: ?
川嶋: 私、この前、下の名前で呼んでって言ったよね。
守里: あ、そうだった…
話す機会がなくて、完全に忘れてた…
守里: し、志帆。
川嶋: なに?笑、守里君。
守里: まさか、こんなところで居合わせるとは…
川嶋: それはこっちのセリフだよ。今まであんまり来たことないでしょ。これまで見たことなかったし。
守里: う、うん。何回かしか来たことない。
祐希: 祐希は一回もない。
川嶋: 神田さんは、そうでしょうね笑
祐希: 守里のことは下の名前で呼んでるんだから、祐希のことも名前で呼んで。
川嶋: 笑、分かった。
守里: 志帆はよく来るの?
川嶋: うん。テスト前は特にね。
守里: へぇ、さすが。
祐希: 天才。
川嶋: 天才とかやめて笑。生徒会の皆さんに比べたら、私なんてミジンコのような…ゴニョゴニョ
川嶋の早口ネガティブ発言が始まる。
守里: ちょ、そんなことないから。とにかく落ち着いて。
川嶋: ふぅ…ふぅ…そうね。でも本当にそうなの。私なんて、祐希のお姉さんとかに比べたら、全然大したことない。あの方達は、めちゃくちゃ凄いんだから。
祐希: …祐希も分かってるよボソッ
守里: まだまだこれからなんだから。いつか追いつけるかもでしょ。
川嶋: うん。私もいつか追いつけたらって思って、頑張ってる。
守里: そうなんだ。
川嶋: そのために毎日必死。
守里: へぇ。
祐希: 守里、勉強しよ。
祐希が守里の服の裾を引っ張る。
守里: え?わ、分かった。
川嶋: 邪魔してごめんね。お互いに頑張りましょ。
守里: うん。
祐希: …
そうして、守里達と川嶋は、別の席で勉強を始めるのだった。
to be continued
図書館前
守里: うん…分かってた…
朝10時頃、人通りの多い道を前にして、守里は携帯を見ながら立っていた。
守里: 祐希…一体いつになったら連絡がつくんだ!!
守里は9時頃から、祐希にメッセージを送り続けていたが、一向に既読がつかず、待ち合わせ時間の10時になっても、既読がつくことはなかった。
やっぱり、家まで迎えに行けば良かったか…
はぁ…
しょうがない、あの人に頼もう。
守里は電話をかける。
プルルル
ピ
守里 T: もしもし。なぁちゃん?
七星 T: そやで~どうしたん?こんな休日に。
守里 T: あのさ、祐希起きてる?
七星 T: え?祐希?、まだリビングには降りてきてないで。多分、寝てる。
守里 T: お願いなんだけど、祐希を起こしてくれない?
七星 T: それはかまわんけど、なんか祐希と予定あるん?
守里 T: うん。今日、図書館で一緒に勉強する約束なんだ。
七星 T: あぁ、テスト前恒例のやつか。
守里 T: そうそう。
七星 T: いつもありがとうな。祐希の面倒見てもろうて。
守里 T: 友達なんだから当然だって笑
七星 T: そうか笑。じゃあ祐希起こして、さっさと行かせるから、先に図書館で勉強しとくなり、近くのお店に入っとくなりしとき。
守里 T: 分かった。ありがとう、なぁちゃん。
七星 T: 笑、どういたしまして。あ、電話は繋っぱでよろしくな。
守里 T: え?
七星 T: 守里からも直接急かした方が、祐希も急ぐやろうし、ななも話したいから。
守里 T: う、うん。
七星 T: あ、もちろん、ななはその勉強会にはお邪魔せえへんから、途中で祐希の携帯にかけ直してや。
守里 T: OK。
七星 T: ってことで、祐希の部屋に突撃や!!
うん…電話しっぱなしじゃ、図書館にも入れないし、お店にも入れないよな。
近くに座れるところがあれば…
あ、あった。
守里はベンチを見つけ、そこに座りつつ、電話を続ける。
七星 T: 守里。祐希、確実に寝てるわ笑
守里 T: へぇ。
七星 T: 失礼しまーす!!
ガチャ
七星 T: 相変わらず、ダイナミックな寝相やな。
守里 T: 昔から変わらないよね。
七星 T: せやな。そういえば、昔、ななと祐希と守里と日向子でお泊まり会した時、祐希に轢かれとったよな?笑
守里 T: あぁ…そういえば、そんなこともあった…
守里は小学生なりたての頃の記憶を思い出す。
祐希は寝相がほんとに悪いんだよな。
少なくともベッドの幅が3mぐらいないと、ベッドから落ちるぐらいに。
七星 T: なぁ守里笑。祐希の寝相見て欲しいから、テレビ電話にしてええか?
守里 T: いや、さすがにそれは祐希に悪いよ。
七星 T: 笑、確かにせやな。じゃあ起こすで。
電話の向こうで、七星が祐希を起こす声が聞こえる。
七星 T: 祐希!はよ起きいや!!
祐希 T: う、う~ん…まだ、焼き芋焼けてない…zzz
焼き芋の夢を見てるに違いない笑
七星 T: そんなアホなこと言わんと、さっさと起きんかい!!
パシン
守里 T: おっと…
電話の向こうから、眠気覚ましの平手打ちの音が聞こえる。
あれ、結構痛いんだよな笑
祐希 T: ひゃ!!焼き芋!!!
七星 T: やっと目覚ましたか。
祐希 T: あれ?お姉ちゃん?焼き芋は?
七星 T: 何、寝ぼけたこと言ってんねん。ほら、朝の挨拶しいや。
七星は携帯を祐希の方に向ける。
祐希 T: ?
守里 T: おはよう。祐希。
祐希 T: その声は…守里?
守里 T: うん。そうだよ。よく寝れたかな?
祐希 T: え?まぁ、お腹いっぱい笑
何を言ってるんだ、こやつは…
七星 T: 祐希、この状況をどう見る?
祐希 T: どう見るって…お姉ちゃんが、祐希を、起こしに来て、何故かお姉ちゃんの携帯から守里の声が聞こえる。
守里 T: 今日は、なんの日?
祐希 T: なんの日って…誰かの誕生日じゃないよね?
守里 T: うん。少なくとも僕らの周りで、今日が誕生日の人はいないよ。
祐希 T: じゃあ…
守里 T: 何曜日?
祐希 T: 何曜日って、日曜日…はっ!!!
七星 T: 気づいたみたいやな笑
守里 T: 集合時間は?
祐希 T: …10時です。
守里 T: 今、何時?
祐希 T: 10時15分です。
守里 T: …待っとくから。
祐希 T: い、急いで準備します!!!
祐希はベッドから飛び起きる。
七星 T: ななも手伝ったるからな笑
祐希 T: ありがとうございます!!
そうして、祐希はリビングにダッシュで向かう。
七星 T: っちゅうことで、もうちょっと待っとき。
守里 T: うん。お願いね、なぁちゃん。
七星 T: はーい。
その後、電話の向こうから響く、騒がしい声と物音を聞きつつ、守里は祐希の到着を待つ。
30分後…
祐希 T: 守里、どこ~
守里 T: 図書館の入口近くのベンチにいる。
祐希 T: ベンチ?
守里 T: そう。
祐希 T: う~ん…あ!!「いた!!!」
守里: やっと来た、祐希。
ピ
守里: 待ってたよ。
祐希: あ、あの、その…
守里: …
祐希: ごめんなさい!!
守里: 笑、もう慣れっこだから。でも、今度こそ気をつけるんだよ。
祐希: はい!
守里: なぁちゃんにも、ちゃんとありがとう言ってきた?
祐希: もちろん。
守里: そっか。じゃあ、早速行こう。
祐希: うん。
そうして、2人は図書館の中に入り、学習スペースの席に着く。
守里: よし、始めようか。
祐希: うん。って誰もいないね。
守里: まぁ、この辺でここ利用する学生は、能高生だけっぽいから。
祐希: へぇ。
守里: まだ、テスト2週間前だし、利用する人は、ほとんどいないんでしょ。
祐希: なるほど。
守里: 持ってきた教科書は?
祐希: 守里に言われた通り、数学と英語と…
祐希はカバンから教科書を取り出しながら言う。
祐希: 化学と、あと生物!
守里: OK、午前中は英語をやろう。それで、外でお昼食べて、午後から残りの教科やろうか。
祐希: 分かった。お願いします、守里先生。
守里: はいはい。
勉強会が始まる。
祐希: ねぇ、守里。この単語、どういう意味?
守里: ん?どれ。
祐希: これ。
ノートに書いた単語を指さしながら、祐希は聞く。
守里: あぁ、それは「実は」とか「本当は」って意味。
祐希: へぇ。じゃあこれは?
別の単語を指さす。
守里: 「独占」
祐希: これは?
守里: 「3重」
祐希: これ。
守里: 「幽霊」
祐希: それ。
守里: 「反して」
祐希: ん。
守里: 「優しい」
祐希: …
守里: 「意味のある偶然の一致」
祐希: なんか辞書みたい笑
守里: ちゃんと覚えないとだよ。
祐希: 分かってるって笑。ちなみに、単語じゃなくてもいける?
守里: …僕が知ってるのであれば。
祐希: これ。
守里: 「大声で歌う」
祐希: ほい。
守里: 「幸運を祈る」
祐希: はい!
守里: 「絶対と絶対言うな」
祐希: よいしょ!
守里: 「言いにくい」
祐希: はっ!
守里: 「荒野の世界」
祐希: あっと!
守里: 「新しい1日」
祐希: さすがだね笑
守里: ってなんか、この言葉達、祐希が分かってないとマズイような気がする。
祐希: え?なんで?
守里: 分からない。
祐希: まぁ、いいや!ありがとう、守里。
守里: うん。
祐希: 今日は眠くないから、集中できる。
守里: そっか、寝坊して良かったね笑
祐希: いや、そういう意味じゃないから、そんな怖い顔しないで…
守里: 怖い顔?そんなのしてないよ。ニコ
祐希: ほら、怖いって。
守里: 笑、まぁいいから、早く進めな。
祐希: は~い。
1時間後…
祐希: グー
祐希のお腹の音が、部屋に響く。
守里: もう12時か。
祐希: お腹空いた~
守里: だね。お昼食べに行こう。
祐希: うん。
2人は勉強道具をしまって、席を立つ。
守里: 結局、誰も来なかったな。
祐希: 今日は祐希達だけなんじゃない?
守里: かもね。
祐希: どこに食べに行くの?
守里: 祐希はどこがいい?
祐希: ん~餃子食べたい!
守里: なら、中華料理屋か。駅前にあるかな。
祐希: よし、レッツゴー。
2人は図書館を出て、駅前で見つけた中華料理屋に入り、そこで、壮絶な餃子の取り合いをしつつ、お腹をいっぱいにする。
そして再び、図書館の学習スペースに戻ってくると…
祐希: あれ?誰かの荷物がある。
守里: そうだね。
午前中に守里達が座っていたところに、カバンが置いてあった。
守里: 別の席でやろう。
祐希: うん。
2人は席を移動して、勉強会を再開する。
祐希: 次は、数学?
守里: そう。教科書のこのページから。
そう言って、守里は教科書を開いて祐希に見せる。
祐希: 分かった。
ガチャ
??: あれ?
守里: え?
学習スペースに入ってきた人物を見て、守里は驚く。
守里: 川嶋さん?
川嶋: 守里君…それと…
祐希: あ!委員長だ!
川嶋: だから、委員長じゃなくて、学級委員ね。
祐希: え~別にいいじゃん。
川嶋: 役職名が学級委員なんだから。
祐希: それは分かってるけど。
守里: そのカバン、川嶋さんのだったんだ。
川嶋: うん。って、川嶋さん?
守里: ?
川嶋: 私、この前、下の名前で呼んでって言ったよね。
守里: あ、そうだった…
話す機会がなくて、完全に忘れてた…
守里: し、志帆。
川嶋: なに?笑、守里君。
守里: まさか、こんなところで居合わせるとは…
川嶋: それはこっちのセリフだよ。今まであんまり来たことないでしょ。これまで見たことなかったし。
守里: う、うん。何回かしか来たことない。
祐希: 祐希は一回もない。
川嶋: 神田さんは、そうでしょうね笑
祐希: 守里のことは下の名前で呼んでるんだから、祐希のことも名前で呼んで。
川嶋: 笑、分かった。
守里: 志帆はよく来るの?
川嶋: うん。テスト前は特にね。
守里: へぇ、さすが。
祐希: 天才。
川嶋: 天才とかやめて笑。生徒会の皆さんに比べたら、私なんてミジンコのような…ゴニョゴニョ
川嶋の早口ネガティブ発言が始まる。
守里: ちょ、そんなことないから。とにかく落ち着いて。
川嶋: ふぅ…ふぅ…そうね。でも本当にそうなの。私なんて、祐希のお姉さんとかに比べたら、全然大したことない。あの方達は、めちゃくちゃ凄いんだから。
祐希: …祐希も分かってるよボソッ
守里: まだまだこれからなんだから。いつか追いつけるかもでしょ。
川嶋: うん。私もいつか追いつけたらって思って、頑張ってる。
守里: そうなんだ。
川嶋: そのために毎日必死。
守里: へぇ。
祐希: 守里、勉強しよ。
祐希が守里の服の裾を引っ張る。
守里: え?わ、分かった。
川嶋: 邪魔してごめんね。お互いに頑張りましょ。
守里: うん。
祐希: …
そうして、守里達と川嶋は、別の席で勉強を始めるのだった。
to be continued
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「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
まほカン
jukaito
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ごく普通の女子中学生だった結城かなみはある日両親から借金を押し付けられた黒服の男にさらわれてしまう。一億もの借金を返済するためにかなみが選ばされた道は、魔法少女となって会社で働いていくことだった。
今日もかなみは愛と正義と借金の天使、魔法少女カナミとなって悪の秘密結社と戦うのであった!新感覚マジカルアクションノベル!
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戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
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戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
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今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
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「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
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