ただ守りたい…〜大事な人を守るには、金と権力と腕っ節…あと諦めない心が必要です〜

ドラると

文字の大きさ
284 / 340
第8章 生徒会選挙編

第284話「大親友へのお願い」

しおりを挟む
翌日

放課後


2年6組教室



美月: よろしくお願いいたします!!


ブンッ!!



空気を切る音が聞こえるような勢いで、美月は腰を曲げて、頭を下げる。


すると、もちろんのこと…



ザワザワ



6組の教室にいた生徒達がざわめき始める。


しかしながら、それは困惑というより、喜びのざわめきであった。

なぜなら、美月が頭を下げた相手が相手だったからだ。



梅澤: ばっ!こんなところでやめろよ!


美月: 嫌だ!香蓮がOK出してくれるまで、頭を下げ続ける!


梅澤: いや、メッセージでも断っただろ。


美月: お願いだから!お姉ちゃんも学祭近くて、付き合えないって言われたから、もう私には香蓮しかいないの!!


梅澤: そ、そんなこと言ったってな…



あまりの美月の熱量と、周りから注目を浴びているという今の状況に戸惑いを隠せない梅澤。


そして、そんな梅澤が珍しく、困っている表情の梅澤が可愛いと内心で思っている女子生徒達と、単純に梅澤と美月のことが気になっている男子生徒達の注目が、さらに強くなっていく。



美月: もう土下座でもなんでもする覚悟だからね!私は!!


梅澤: …チッ、しょうがねぇ、面倒見てやるよ!だから早く頭を上げろ。そして、さっさとここを出るぞ!


美月: っ!やった!!!ありがとう!香蓮!!ほんと最高!美人!!救いの女神!!


梅澤: なっ!///やめろ!



ザワザワ



梅澤: あ~もう!早く動け!!


美月: はーい!!



クラス中の視線に耐えきれなくなった梅澤は、歓喜の声を上げる美月を、強引に押し出しつつ、教室を出た。



梅澤: はぁ……ほんと迷惑だぜ。


美月: でも、放課後すぐに教室に行かないと、逃げるつもりだったでしょ?


梅澤: ……まぁな。昨日からしつこかったし。


美月: ってことで、美月ちゃんの作戦は大成功ってことですよ!


梅澤: 腹立つドヤ顔だな……やっぱやめ…


ガシッ


美月: どうかお助けを~


梅澤: …調子の良いやつ。で、どうすんだ?どこで料理の練習をするつもりなんだ?お前の家?


美月: え?私は香蓮の家でやるつもりだったんだけど。


梅澤: は?


美月: だって、うちには守里がいるし、何よりお姉ちゃんが帰って来たら、香蓮が使い物にならなくなるじゃん。


梅澤: …他の場所は?


美月: ない!逆に香蓮は、どこか良い場所に心当たりがあるの?


梅澤: ………ねぇよ。


美月: じゃあ、香蓮の家で決定だね!


梅澤: ……



どうしても美月に家バレをしたくない梅澤は、他に良い案がないかを考え続ける。


ちなみに、美月に家バレをしたくないという、梅澤の思いは、もし、美月に家を知られてしまった場合、なんか面倒臭いことになりそう、というただの梅澤の勘によるものだ。



美月: それに、守里と蓮花は香蓮の家を知ってるのに、一番の大親友であるこの私が知らないっていうのに、納得がいかないの!


梅澤: 大親友ね………はぁ……行くぞ。


美月: どこに?


梅澤: 来ねぇんなら別にいいんだが……笑、私の家。


美月: 行く!!!


梅澤: でも、ちゃんと事前に連絡してから、家には来るんだぞ。


美月: 笑、フリにしか聞こえないんだけど。まさか、突撃訪問して欲しいの?


梅澤: あ~やっぱり、1人で帰ろっかな。走れば撒けるし。


美月: お願いします!お願いします!お願いします!お願いします!お願いします!


梅澤: 態度の変わり様がすげぇな笑


美月: さぁレッツゴー!!



こうして、梅澤はルンルンの美月を連れて、自宅までの道を歩いていく。


◇◇◇


美月: え、裏門からなの?


梅澤: あぁ、一番近いからな。


美月: ここの住宅地、見回りで来たような…


梅澤: お、よく覚えてんじゃねぇか。


美月: ねぇ、この先にさ、駄菓子屋さんあったよね?


梅澤: あるぞ。あのお前が大量の駄菓子を買ってた駄菓子屋がな。


美月: …


◇◇◇


梅澤: ほら、もうそろそろ…


美月: めちゃくちゃ来たことあるじゃん!ここ!!


梅澤: 笑、夏休みの見回りでだろ?


美月: なんで教えてくれなかったの?!


梅澤: いや、家バレしたくなかったし。


美月: グヌヌ……


梅澤: ちなみに、あの時にはもう、守里も知ってたから笑


美月: なっ…まさかの仲間外れは私だけ……


梅澤: 笑、まぁ、今日で仲間になれるんだから良いだろ?(なんか、こうやって悔しがってる美月を見るのも楽しいな。)


美月: くぅ……


梅澤: ってか、言うの忘れてたんだが、守里はもう、私の手料理を食べたことがあるぞ笑


美月: え……


梅澤: 私もそんなつもりはなかったんだが、流れでな。守里と蓮花に料理を振る舞うことになっちまって。美味いって言って食べてくれたぜ笑


美月: そ、それさえも先を越されていたとは……まさかの香蓮も敵?!


梅澤: 笑、いやいや。私はその戦いには参加しねぇよ。どこの戦場よりも危険だし。それに…


美月: それに?


梅澤: 大親友の美月の願いが叶うことを、私は望んでるからな笑


美月: 香蓮………私、頑張る!!


梅澤: おう。みっちり教えこんでやるよ。


美月: よろしくお願いします!師匠!


梅澤: 笑、あ、ついたぞ。


美月: ほぉ~やっと、ずっと謎だった香蓮の家が見れる…の……か…………え?ほんとにここ?



守里と蓮花も初めて見た時は、口をあんぐりと開けた、大きいマンションを見上げて、美月も同じように口をあんぐりと開ける。



梅澤: あぁ。正真正銘、私の家があるマンションだ。


美月: 嘘でしょ…


梅澤: さ、入るぞ………って、ん?



マンションの中に入る自動ドアの向こう側に、見覚えのある女子2人の後ろ姿が見える。



梅澤: あれはまさか…


美月: ほぇ……


梅澤: 美月、駆け抜けるぞ。


美月: ん?え?


ガシッ


梅澤: 行くぞ!!


美月: ちょっ、なに?!



ウィーン


ポケットからカードキーを取りだし、美月の腕を掴んだ梅澤は、自動ドアが開いた瞬間に走り出す。



??1: あ!梅澤先輩!!と…


??2: 美月先輩?


美月: あれ、瑠奈ちゃんと美結ちゃんじゃん、って香蓮、引っ張らないで~



マンションのエントランスにいたのは、梅澤の自称舎弟で、仮の風紀委員にもなった2人組、松高美結と林原瑠奈だった。



梅澤: 急げって、コイツらも入ってくる前に…


美月: っ!そういうことなら笑……おりゃー!!


キキーー!!



自分の腕を掴んでいる梅澤の手を掴み返し、美月は梅澤のダッシュを引き止めるように、足で思いっきりブレーキをかける。



梅澤: なっ!やめろ!美月!


美月: 別に良いじゃん!この2人も入れてあげなよ!


林原: はっ!!私達も入れてください!!今日も遊びたいです!!


松高: お願いします!梅澤先輩!


梅澤: 嫌だよ、うるさいし。


美月: そもそも私もいるんだから、2人が増えたところで一緒でしょ!


梅澤: お前、それ自分で言うのか…


林原: お願いしますよ~梅澤先輩。私達、お腹ぺこぺこなんですよ~


松高: お腹と背中がくっつきそうです。


美月: ほら、後輩がこんなにひもじい思いをしてるんだしさ!それに、試食役にちょうど良いし!


林原 松高: キラキラキラキラキラ


梅澤: クッ…………しょうがねぇ。



大親友の説得と、後輩2人のキラキラ光線を受けて、梅澤は折れた。



林原 松高: やった!!!


梅澤: ただな、お前らにはお使いに行ってもらう。


林原: お使いですか?


梅澤: あぁ。それをちゃんとやってきたら、家に入れてやるよ。


松高: 任せてください。


林原: でもそんなこと言って、帰ってきた私達を家に入れないつもりじゃ…


美月: そこは安心して!私が開けるから。


梅澤: なんでお邪魔してる方のお前がやるんだよ…


林原: なら大丈夫ですね!じゃあ、早速行ってきます!


松高: 全速力で。


梅澤: 買ってきて欲しいのは、後でメッセージで送るから、さっさとスーパーに行け。


林原 松高: はい!


バタバタ


梅澤: ったく、何日目だよ。


美月: 笑、良いじゃん。可愛い後輩で。


梅澤: 毎日のように来られると、さすがにうざいっての。


美月: 笑、にしては、心底嫌そうな顔はしてないような。


梅澤: …うるせぇよ。ほら、行くぞ。


美月: はーい笑



こうして、林原と松高をお使いに行かせつつ、梅澤は美月を連れて、自分の部屋へと向かった。


そして、この時から、梅澤による、美月の料理特訓が始まったのだった。




to be continued

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

職業ガチャで外れ職引いたけど、ダンジョン主に拾われて成り上がります

チャビューヘ
ファンタジー
いいね、ブックマークで応援いつもありがとうございます! ある日突然、クラス全員が異世界に召喚された。 この世界では「職業ガチャ」で与えられた職業がすべてを決める。勇者、魔法使い、騎士――次々と強職を引き当てるクラスメイトたち。だが俺、蒼井拓海が引いたのは「情報分析官」。幼馴染の白石美咲は「清掃員」。 戦闘力ゼロ。 「お前らは足手まといだ」「誰もお荷物を抱えたくない」 親友にすら見捨てられ、パーティ編成から弾かれた俺たちは、たった二人で最低難易度ダンジョンに挑むしかなかった。案の定、モンスターに追われ、逃げ惑い――挙句、偶然遭遇したクラスメイトには囮として利用された。 「感謝するぜ、囮として」 嘲笑と共に去っていく彼ら。絶望の中、俺たちは偶然ダンジョンの最深部へ転落する。 そこで出会ったのは、銀髪の美少女ダンジョン主・リリア。 「あなたたち……私のダンジョンで働かない?」 情報分析でダンジョン構造を最適化し、清掃で魔力循環を改善する。気づけば生産効率は30%向上し、俺たちは魔王軍の特別顧問にまで成り上がっていた。 かつて俺たちを見下したクラスメイトたちは、ダンジョン攻略で消耗し、苦しんでいる。 見ろ、これが「外れ職」の本当の力だ――逆転と成り上がり、そして痛快なざまぁ劇が、今始まる。

スライム退治専門のさえないおっさんの冒険

守 秀斗
ファンタジー
俺と相棒二人だけの冴えない冒険者パーティー。普段はスライム退治が専門だ。その冴えない日常を語る。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

『25歳独身、マイホームのクローゼットが異世界に繋がってた件』 ──†黒翼の夜叉†、異世界で伝説(レジェンド)になる!

風来坊
ファンタジー
25歳で夢のマイホームを手に入れた男・九条カケル。 185cmのモデル体型に彫刻のような顔立ち。街で振り返られるほどの美貌の持ち主――だがその正体は、重度のゲーム&コスプレオタク! ある日、自宅のクローゼットを開けた瞬間、突如現れた異世界へのゲートに吸い込まれてしまう。 そこで彼は、伝説の職業《深淵の支配者(アビスロード)》として召喚され、 チートスキル「†黒翼召喚†」や「アビスコード」、 さらにはなぜか「女子からの好感度+999」まで付与されて―― 「厨二病、発症したまま異世界転生とかマジで罰ゲームかよ!!」 オタク知識と美貌を武器に、異世界と現代を股にかけ、ハーレムと戦乱に巻き込まれながら、 †黒翼の夜叉†は“本物の伝説”になっていく!

まほカン

jukaito
ファンタジー
ごく普通の女子中学生だった結城かなみはある日両親から借金を押し付けられた黒服の男にさらわれてしまう。一億もの借金を返済するためにかなみが選ばされた道は、魔法少女となって会社で働いていくことだった。 今日もかなみは愛と正義と借金の天使、魔法少女カナミとなって悪の秘密結社と戦うのであった!新感覚マジカルアクションノベル! ※基本1話完結なのでアニメを見る感覚で読めると思います。

処理中です...