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第2話『追放の果て、神殿の声』
しおりを挟む宮廷から追放されたその日、アメリアは薄布一枚を羽織ったまま、冬の夜道を歩いていた。
王都の灯りは遠ざかり、誰も助けの手を差し伸べる者はいなかった。名家の令嬢として生まれ、聖女として育てられた彼女にとって、すべてが一夜にして崩れ去ったのだ。
「……寒い……」
雪がちらつく。指先が痛む。サラがいない今、誰も温めてくれない。行き場を失い、ただ“追い出された方向”に足を進めるしかなかった。
そして――夜明けが近づくころ。彼女の目の前に、それは現れた。
朽ちた祠。古びた石段。誰にも知られていないような小さな神殿の残骸。
風が止む。
アメリアの心臓が、微かに鳴った。
かつて幼き日に、聖女候補として受けた試練の中で、“誰も知らぬ神殿”の存在を教えられたことがあった。だが、場所も詳細も秘され、国の記録にも残っていないはずだった。
「……どうして、ここに……」
その神殿の中央には、石でできた台座と、うっすらと光る聖印。
そして。
「――聖女よ」
声がした。
誰もいないはずの神殿に、澄んだ、けれど人のものとは思えない声が響いた。
アメリアは身体を震わせながら周囲を見回すが、そこに人影はない。
「あなたは試されていた。偽りの王、偽りの証、そのすべてを超えたとき……真の祝福は目覚める」
彼女の足元から、聖印が静かに光り出した。
その輝きは、温かく、優しく、そして――確かだった。
“これが、本当の力……?”
次の瞬間、アメリアの身体は光に包まれた。
祠の天井が崩れ、風がうねる。
彼女の心の底から、涙が溢れた。
「……神よ、私は……!」
声にならない祈りとともに、彼女の“聖女としての真なる力”が、目覚めた。
あとがき
“祝福された聖女”として新たに目覚めたアメリア。
だがこの力は、戦うためのものでもある――。
次話から彼女の反撃が始まります。
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