生活の中の小さな哲学

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カーテンを閉めるとき、今日という日がやっと終わる気がした

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夜、部屋の電気をつけたあとに、窓のカーテンを閉める。

それは一日の中でいちばん「区切り」を感じる瞬間かもしれない。

外の世界と自分の部屋の世界を、はっきり分ける儀式。

それまで窓の向こうには、夜空や街灯、通りを歩く誰かがいて、
どこか自分もその世界の一部だった気がする。

でもカーテンを引いた瞬間、
外の気配はすっかり閉ざされて、
この部屋は完全に私だけの場所になる。

「ああ、やっと今日が終わったな」

そう思う。

どんなに疲れた日も、楽しかった日も、
このカーテンを閉めるまで、なんとなく終わらない気がしていた。

だから少し遅く帰った日や、
外で嫌なことがあった日ほど、
カーテンを閉めるときに深く息をつく。

まるでようやくその日から逃げ切れたような、
そんな安堵。

けれど逆に、カーテンを閉めるのが惜しい夜もある。

夜景がきれいな日とか、
外から誰かの笑い声が聞こえたときとか。

まだ今日が終わってほしくない気持ちが、
カーテンを引く手を少しだけ鈍らせる。

でも結局は、そっと布を握って引く。

それが今日という日をちゃんと終わらせるために、
私が必要としている小さな動作だから。

閉めたカーテンの向こう側には、
まだ続いている世界がある。

でも今夜だけは、そこを見ない。

私の今日を終わらせるのは、
誰でもない、私自身だから。

――――――

あとがき
カーテンを閉めるのは、ただの習慣だけど、
それはきっと心の奥にある「一日を終わらせる決意」の儀式です。

どうか今日も、自分で自分の一日をそっと締めくくってあげてください。

――――――
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