生活の中の小さな哲学

部屋の明かりを消した直後、真っ暗な自分と目が合った

ベッドに入る前、部屋のスイッチをパチッと消す。

さっきまで見慣れていた自分の部屋が、一瞬で真っ暗になる。

目が慣れるまで、そこにはただ漆黒の世界が広がるだけ。

でもその漆黒の中に、ふと、
自分の存在を強烈に意識してしまう瞬間がある。

「あれ、今、真っ暗な自分と目が合った気がした」

もちろんそこには誰もいない。
自分しかいないはずだ。

でも、暗闇に閉じ込められた自分が、
もう一人の自分にじっと見つめられているような気がする。

昼間の私は、誰かの視線を気にしていた。
見られることに慣れている。
でもそれはあくまで外向きの自分。

この真っ暗な部屋で、自分しかいない空間では、
見ているのも見られているのも、自分だけ。

それが少し怖い。

自分にだけは嘘がつけないから。
今日うまく笑えなかったことも、
人に見せたくなかった小さな嫉妬も、
すべてが暗闇の中で、ひっそりと目を開けてこちらを見ている気がする。

でもその静かな怖さの中で、
少しだけホッとする自分もいる。

誰にも見られない場所でだけ、
やっと本当に自分に会える気がするから。

暗闇は自分自身との小さな対話の時間だ。

だから私は今日も電気を消し、
この真っ暗な自分と少しだけ向き合ってから眠りにつく。

――――――

あとがき
暗闇は、あなたを誰よりも正直に映し出す鏡です。

どうかそこで出会った自分を怖がらずに、
そっと見つめてあげてください。

――――――