僕の宝具が『眼鏡』だったせいで魔界に棄てられました ~地上に戻って大人しく暮らしているつもりなのに、何故か頼られて困ります~

織侍紗(@'ω'@)ん?

文字の大きさ
8 / 49

八話 レイラとの出会い

しおりを挟む
 放り投げられた蛇は一瞬で遥か彼方へぶっ飛び、欠片も見えなくなってしまった。
 それ・・が居たところには華奢で可愛らしい、鮮やかな緑色の髪持つメイド姿の少女がペタリと腰を抜かして座りこんでいた。
 歳はゲイルより少し歳下に見えた。

「何か聞こえたような気がしたけど、気のせいじゃ無かったんだね」

「あ……あ……」

 ゲイルはそう少女に微笑みながら話かけるが、少女はまだ呆然としてしまっていた。

「大丈夫? 僕はゲイル。君は?」

 少女の肩にゲイルはポンっと手を置いて、少し心配そうな表情で少女を覗き込んだ。
 すると少女はハッとして、やっと我に返ったようだった。

「あ……わ、私は……レ、レイラです。助けて頂いてありがとうございます」

 座ったままペコりとレイラと答えた少女は頭を下げる。そして一息つくとこう呟いた。

「でも、こんなサイズの大きなキラースネークが存在するなんて……」

「あれはキラースネークっていうのか。確かに見たことないサイズ小ささの魔物だったね」

 キラースネークは地上の魔物であり、レイラは見たことが無いほど大きいと言う意味で呟いたのだった。が、ゲイルは魔界の魔物しか見たことが無い。魔界の魔物はそもそものサイズ感が違うので、先程のキラースネークくらいのサイズだと赤子の魔物以下と言ってもいいくらい。だからゲイルはあんな小さな魔物は見たことが無い。と考えてしまったのだった。

「きっと近くに誰も知らない魔界の門があるに違いないわ……怖いわ」

 レイラは深刻そうな表情でそう呟いた。魔界の門は世界に幾つか存在している。その殆どには国や教会など管理する者が存在するが、全ての魔界の門がある場所が判明している訳では無い。見つかっていない魔界の門もある。そういう門から漏れ出た瘴気が地上の魔物を凶暴化させるのである。今回のケースはまさにそれ・・であった。

「あ、そういえばゲイルさんはキラースネークを見たこと無いんです?」

 レイラは何か思い出したかのようにゲイルに尋ねた。するとゲイルは笑顔で頷いた。

「うん! 魔界には居なかったから!」

「魔界?」

 怪訝そうな表情でレイラは首を傾げた。ゲイルはしまった! と思い、慌ててこう続けた。

「あ……ぼ、僕の産まれた村はマーガイ村っていうの! 知らない?」

 ゲイルは魔界から来たことを隠した方が良いと咄嗟び判断し、嘘を吐いたのだ。

「聞いたことはないですが……」

 レイラは一瞬だけ眉間に皺を寄せて必死に自分の知識を引き出そうとしているようだった。だが、すぐに優しい表情になりゲイルに笑顔を返す。

「そんな名前の村もあるのですね。きっととても遠い所なんでしょう……」

 ゲイルは軽く何度か頷いた。それは相槌のように見えたが、ゲイルは少しの湧き上がった罪の気持ちを、自身で納得させる為に頷いていた。
 その時、レイラがハッとした表情を浮かべて、自分が乗っていた馬車の行った先を見つめた。

「あ、もう見えない。行っちゃったわ……」

「どうしたの?」

「いや、ご主人様たちが行っちゃったなって」

「へぇ。追いかけようか?」

 ゲイルはレイラにそう尋ねた。するとレイラは目の前で両手をブンブンと横に振った。

「無理です! 追いつく訳ないです! それに……」

 そして手を下ろし、肩を落としてこう続ける。

「私、ご主人様のお役に立てたことがなくて。いつも役たたずだって……今も奴隷たちの中から真っ先にキラースネークの囮として捨てられましたし……」

 レイラは少しだけ流れた涙を軽く拭って満面の笑みでゲイルを見上げた。

「だからもういいんです! 気にしないで下さい!」

 その時だった。

 グゥゥゥ

「お腹空いた……」

 ゲイルのお腹のなる音が聞こえたのは。

「へ?」

「ここ何日かあまり食べてなくて……」

「大丈夫ですか?」

「う、うん……」

「大丈夫そうじゃないです! ちょっと待ってて下さいね! よ、よいしょっと」

 そういうとレイラは何かを取り出した。

「それは?」

「これは宝具のフライパンです! 火がなくても炒めたり焼いたりが出来るんです」

「す、凄いじゃん!」

 ゲイルは飛び上がって喜んだ。その喜ぶ様を見て、レイラは少し照れてしまったようだった。

「ありがとうございます。でも、ご主人様には料理人もいるし、これ以外私は何もできないし……」

「いやいやいやいや、そんなことない! 凄い宝具だよ!」

「あ、ありがとうございます」

「あとはその辺に落ちている食べ物を……痛たた……」

 レイラは立ち上がって先程馬車からばらまかれた食材を拾い集めようとする。が、足を痛めており、うまく立ち上がることが出来ない。

「足痛めてるじゃん! ちょっと待ってて!」

 ゲイルはレイラにそう告げると、目にも止まらぬ速さで周囲に散らばった食材を拾い集めてしまった。

「す、凄い……あ、早速作りますね!」

 レイラは食材を軽くちぎったり折ったりしながら、フライパンに投げ入れ振るった。
 すぐにフライパンはジュゥゥ……と音を立てて周囲に美味しそうな匂いを漂わせた。

「出来ました!」

 すっとレイラはフライパンをゲイルに差し出すと、ゲイルは頬張って笑顔を見せる。

「お、美味しい!」

「そ、そうですか? お口に合って良かったです」

 すぐにゲイルは平らげて一つ伸びをした。

「さて、と。どうしようかな?」

「どうって?」

「あ……ほら、遠い村から来たでしょ? だからこの辺のこと知らなくて……」

「なるほど……一番近い街ならあっちにファイザースという街がありますよ」

 レイラは今来た方向を指で指し示した。先に行くよりも戻った方が近い為である。

「ありがとう!」

「もし良ければ私も連れて行って頂けませんか?」

「うん! 勿論! こんな所に置いておけないよ!」

「ありがとうございます」

 レイラが礼を述べると、ゲイルはひょいっとレイラを抱えあげて、そのままファイザースに向けて歩き出したのだった。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

『辺境伯一家の領地繁栄記』序章:【動物スキル?】を持った辺境伯長男の場合

鈴白理人
ファンタジー
北の辺境で雨漏りと格闘中のアーサーは、貧乏領主の長男にして未来の次期辺境伯。 国民には【スキルツリー】という加護があるけれど、鑑定料は銀貨五枚。そんな贅沢、うちには無理。 でも最近──猫が雨漏りポイントを教えてくれたり、鳥やミミズとも会話が成立してる気がする。 これってもしかして【動物スキル?】 笑って働く貧乏大家族と一緒に、雨漏り屋敷から始まる、のんびりほのぼの領地改革物語!

追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?

タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。 白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。 しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。 王妃リディアの嫉妬。 王太子レオンの盲信。 そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。 「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」 そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。 彼女はただ一言だけ残した。 「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」 誰もそれを脅しとは受け取らなかった。 だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。

【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜

あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」 貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。 しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった! 失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する! 辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。 これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

大自然を司る聖女、王宮を見捨て辺境で楽しく生きていく!

向原 行人
ファンタジー
旧題:聖女なのに婚約破棄した上に辺境へ追放? ショックで前世を思い出し、魔法で電化製品を再現出来るようになって快適なので、もう戻りません。 土の聖女と呼ばれる土魔法を極めた私、セシリアは婚約者である第二王子から婚約破棄を言い渡された上に、王宮を追放されて辺境の地へ飛ばされてしまった。 とりあえず、辺境の地でも何とか生きていくしかないと思った物の、着いた先は家どころか人すら居ない場所だった。 こんな所でどうすれば良いのと、ショックで頭が真っ白になった瞬間、突然前世の――日本の某家電量販店の販売員として働いていた記憶が蘇る。 土魔法で家や畑を作り、具現化魔法で家電製品を再現し……あれ? 王宮暮らしより遥かに快適なんですけど! 一方、王宮での私がしていた仕事を出来る者が居ないらしく、戻って来いと言われるけど、モフモフな動物さんたちと一緒に快適で幸せに暮らして居るので、お断りします。 ※第○話:主人公視点  挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点  となります。

才がないと伯爵家を追放された僕は、神様からのお詫びチートで、異世界のんびりスローライフ!!

にのまえ
ファンタジー
剣や魔法に才能がないカストール伯爵家の次男、ノエール・カストールは家族から追放され、辺境の別荘へ送られることになる。しかしノエールは追放を喜ぶ、それは彼に異世界の神様から、お詫びにとして貰ったチートスキルがあるから。 そう、ノエールは転生者だったのだ。 そのスキルを駆使して、彼の異世界のんびりスローライフが始まる。

【土壌改良】で死の荒野がSランク農園に!食べただけでレベルアップする野菜で、世界最強ギルド設立

黒崎隼人
ファンタジー
「え? これ、ただのトマトですよ?」 「いいえ、それは食べただけで魔力が全回復する『神の果実』です!」 ブラック企業で働き詰めだった青年は、異世界の名門貴族の三男・ノアとして転生する。 しかし、授かったスキルは【土壌改良】という地味なもの。 「攻撃魔法も使えない役立たず」と罵られ、魔物すら寄り付かない死の荒野へ追放されてしまう。 だが、彼らは知らなかった。 ノアのスキルは、現代の農業知識と合わせることで、荒れ果てた土地を「Sランク食材」が溢れる楽園に変えるチート能力だったことを! 伝説の魔獣(もふもふ)をキュウリ一本で手懐け、行き倒れた天才エルフを極上スープで救い出し、気づけば荒野には巨大な「農業ギルド」が誕生していた。 これは、本人がただ美味しい野菜を作ってのんびり暮らしたいだけなのに、周囲からは「世界を救う大賢者」と崇められてしまう、無自覚・最強の農業ファンタジー!

処理中です...