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第三十七話 盾
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「まぁ……なので私達はご主人様が有名にならないように盾にならないといけません」
「盾? どういうことかしら」
「そう、盾、です。ご主人様はこれから数々の奇跡を起こされます。が、それはご主人様が起こされたことではないという事にしないといけないのです。そうないとご主人様は目立ってしまいます。だからご主人様の起こされる数々の奇跡は、これからは私たち……いや、カタリナちゃんが起こした事にしなければなりません。そうすればご主人様が目立つことは無いでしょうから」
「なるほど。でも、何故私なんです? レオナちゃんは?」
「私の職位はただのメイドですから。賢者様なら数々の奇跡も起こせるでしょう? 周りを納得させる為にも、カタリナちゃんでなければならないのです」
私はこの瞬間、メイドという職位を与えた世界を恨みました。私ではご主人様のお力になり得ないのですから。この世界でありふれた職位であるメイドなんていくらでも替えがききます。ご主人様のお世話をするのは私でなくても良いんです。
「ええ、分かりましたですわ」
「ただね、カタリナちゃん……よく考えて聞いて? 私はただのメイド、替えがきくからいいわ。でも、カタリナちゃんは替えがきかないの。だから今まで以上に自分のことも考えて欲しいの。例えご主人様の命であっても、命を粗末にしてはいけないわ。その役目は……」
私がするから。と言いかけましたけど、それを言うのはやめました。カタリナちゃんに言うべきことでは無いと思ったから。それは私の心の中で留めておけばいいことですから。
「あ、今のは忘れて。そう、あと、主人様は自由を奪われる事を嫌う節があるわ。ううん、人から奪う事、その行為、事態があまり好きでは無いみたいなの。カタリナちゃんがご主人様に仕えるという事はカタリナちゃんの自由は無くなっちゃうわ。ご主人様の事だから、カタリナちゃんが望むなら止めないと思うけど……それでもいいの?」
「レオナちゃん。私の生きる意味は御主神様にお仕えする事よ。それは愚問ですわよ?」
「そうだったわね。じゃあこれからもよろしくね」
そうして私はカタリナちゃんと笑顔で固く握手をしました。でも、表情とは裏腹に、私の心は晴れませんでした。言葉にしたことで私はご主人様の盾になれない、本当の意味で役に立つことが出来ないのです。その事実をより深く認識することになってしまいましたのですから。
今、本当にご主人様が必要としているのはカタリナちゃんの方。別に身の回りのお世話も職位がメイドでなければ出来ない、という訳ではないのですから。そして仮にメイドが必要であっても、私でなければならない理由も無いのです。
ご主人様は優しいので、そんなことは無いと否定してくれると思います。だからこそ、二人きりでしか話が出来ない、そう思ったからご主人様に二人きりにして頂くようにお願いしたのですから。
そうそう、あとこれもカタリナちゃんに伝えておかないと……
そう思った私は握手と笑顔を崩さぬまま、カタリナちゃんに話を続けました。
「なのでカタリナちゃん。今後、ああいったご主人様が有名になるかもしれない事は避けて下さい。別に学校対抗戦はご主人様に出て頂かなくても良かったんじゃないかしら?」
「え、ええ。軽率だったわね……大変申し訳ない事をしてしまいまったようですわ……ご主人様に謝らないと……ところでレオナちゃん? 私からも話したい事があるの? とっても大事な話が」
「なにかしら?」
「なんでレオナちゃんはこの街に家があるのに寮に住んでるのかしら?」
予想外の質問に私は少し戸惑ってしまいました。
「えぇ……えっと、私はご主人様の身の回りのお世話をする為にこちらに住ませて頂いてるわ。朝起こすのは私の日課なの」
「ええ! ず、ずるいわ! 御主神様とひとつ屋根の下なんて! 私も一緒に住みますですわ!」
「ひとつ屋根の下って言っても、ただの寮生活だし、少し大袈裟じゃないかしら? でも、部屋が空いてればカタリナちゃんも住ませて貰えるかもしれないし、後で聞いてみるといいか……」
「後でなんて待てないですわ! 早速行きましょう! い、今! 今すぐに!」
「い、今? と、とりあえずご主人様がお待ちですので、お部屋に向かいましょう」
「そうでしたわ! かしこまりましたですわ」
そうしてカタリナちゃんは私の部屋から飛び出して行きました。
「盾? どういうことかしら」
「そう、盾、です。ご主人様はこれから数々の奇跡を起こされます。が、それはご主人様が起こされたことではないという事にしないといけないのです。そうないとご主人様は目立ってしまいます。だからご主人様の起こされる数々の奇跡は、これからは私たち……いや、カタリナちゃんが起こした事にしなければなりません。そうすればご主人様が目立つことは無いでしょうから」
「なるほど。でも、何故私なんです? レオナちゃんは?」
「私の職位はただのメイドですから。賢者様なら数々の奇跡も起こせるでしょう? 周りを納得させる為にも、カタリナちゃんでなければならないのです」
私はこの瞬間、メイドという職位を与えた世界を恨みました。私ではご主人様のお力になり得ないのですから。この世界でありふれた職位であるメイドなんていくらでも替えがききます。ご主人様のお世話をするのは私でなくても良いんです。
「ええ、分かりましたですわ」
「ただね、カタリナちゃん……よく考えて聞いて? 私はただのメイド、替えがきくからいいわ。でも、カタリナちゃんは替えがきかないの。だから今まで以上に自分のことも考えて欲しいの。例えご主人様の命であっても、命を粗末にしてはいけないわ。その役目は……」
私がするから。と言いかけましたけど、それを言うのはやめました。カタリナちゃんに言うべきことでは無いと思ったから。それは私の心の中で留めておけばいいことですから。
「あ、今のは忘れて。そう、あと、主人様は自由を奪われる事を嫌う節があるわ。ううん、人から奪う事、その行為、事態があまり好きでは無いみたいなの。カタリナちゃんがご主人様に仕えるという事はカタリナちゃんの自由は無くなっちゃうわ。ご主人様の事だから、カタリナちゃんが望むなら止めないと思うけど……それでもいいの?」
「レオナちゃん。私の生きる意味は御主神様にお仕えする事よ。それは愚問ですわよ?」
「そうだったわね。じゃあこれからもよろしくね」
そうして私はカタリナちゃんと笑顔で固く握手をしました。でも、表情とは裏腹に、私の心は晴れませんでした。言葉にしたことで私はご主人様の盾になれない、本当の意味で役に立つことが出来ないのです。その事実をより深く認識することになってしまいましたのですから。
今、本当にご主人様が必要としているのはカタリナちゃんの方。別に身の回りのお世話も職位がメイドでなければ出来ない、という訳ではないのですから。そして仮にメイドが必要であっても、私でなければならない理由も無いのです。
ご主人様は優しいので、そんなことは無いと否定してくれると思います。だからこそ、二人きりでしか話が出来ない、そう思ったからご主人様に二人きりにして頂くようにお願いしたのですから。
そうそう、あとこれもカタリナちゃんに伝えておかないと……
そう思った私は握手と笑顔を崩さぬまま、カタリナちゃんに話を続けました。
「なのでカタリナちゃん。今後、ああいったご主人様が有名になるかもしれない事は避けて下さい。別に学校対抗戦はご主人様に出て頂かなくても良かったんじゃないかしら?」
「え、ええ。軽率だったわね……大変申し訳ない事をしてしまいまったようですわ……ご主人様に謝らないと……ところでレオナちゃん? 私からも話したい事があるの? とっても大事な話が」
「なにかしら?」
「なんでレオナちゃんはこの街に家があるのに寮に住んでるのかしら?」
予想外の質問に私は少し戸惑ってしまいました。
「えぇ……えっと、私はご主人様の身の回りのお世話をする為にこちらに住ませて頂いてるわ。朝起こすのは私の日課なの」
「ええ! ず、ずるいわ! 御主神様とひとつ屋根の下なんて! 私も一緒に住みますですわ!」
「ひとつ屋根の下って言っても、ただの寮生活だし、少し大袈裟じゃないかしら? でも、部屋が空いてればカタリナちゃんも住ませて貰えるかもしれないし、後で聞いてみるといいか……」
「後でなんて待てないですわ! 早速行きましょう! い、今! 今すぐに!」
「い、今? と、とりあえずご主人様がお待ちですので、お部屋に向かいましょう」
「そうでしたわ! かしこまりましたですわ」
そうしてカタリナちゃんは私の部屋から飛び出して行きました。
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