賢者の幼馴染との中を引き裂かれた無職の少年、真の力をひた隠し、スローライフ? を楽しみます!

織侍紗(@'ω'@)ん?

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第七十五話 プラムとオアイーブ②

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「ええと……まぁ喧嘩別れと似たような物だと思います。王都に行くって言ったら、王子様と結婚すればいいみたいな感じになっちゃって……それで売り言葉に買い言葉で……」

「なんですかそれ? 詳しくお話をお聞きしたいですわ」

 オアイーブは身を乗り出し、プラムの話に大変興味を示した様子を見せた。。

「ええと、あたしが賢者だってわかった日。確かあたしが王都に行くって言ったんです。それで応援してくれるの? って聞いたら、応援しないって言うんです。で、なんで? って聞いたら結婚の約束したのに行くの? って言われたんです。でも、それは小さい時の約束で……って答えたら王子様とパーティ組むだけ、結婚はアインスとするって答えなかったから、やっぱり王子様と良い関係になるの期待してるよね? みたいになったんです」

「なるほどねぇ。でも、実際どうだったの? そう思ってたの?」

「そうですね……あの時は思ってなかったとは言えないと思います」

「あの時は? では今は?」

 オアイーブの顔はプラムの目と鼻の先に迫った。しかし、プラムは気づいていないか、それともまるで気にしてないかのように、じっと前を見つめながらこう答えた。

「わかりません。でも、今はしっかりアインスの気持ちに、考えに向き合ってからじゃないと、その先は考えられないと思ってます」

「相手が例えジェラール様でも? 慣れないプラムを気遣って、わざわざご一緒にラムネスの街に連れて来て下さって、少なからず好意はお持ちですわよ。それに身分は第二とはいえ王子様ですわよ?」

 オアイーブの問いに、プラムは力強く頷いて応えた。それは例え、王子であるジェラールであっても、という意思表示であった。

「なるほど。プラムがそういうつもりならわたくしも尊重致しますわ。まぁ、ジェラール様は強引に話を進める様な事はしないでしょう。同い年だし、従兄弟ですし、小さい頃からあの方の事は良く知っています。自分は常に未熟者だと、いつも修練着を着てらっしゃいますから」

「え? あれ寝巻きじゃないんですか?」

 オアイーブはその言葉に首を横に振る。

「王宮の人間達も勘違いしている者が多いようだけど、あれは寝巻きじゃないのよ……と、まぁジェラール様の事はおいといてプラムの幼馴染の事よね、大事なのは。でも、お話を聞いている限り、結構理不尽にも感じるのだけど、そういう事を言う方なのかしら?」

 オアイーブがそう尋ねると、プラムは首をゆっくりと横に振った。

「いいえ、いつものアインスなら喜んで送り出してくれると思います。確かに何も相談しなかったあたしは悪いと思います。でも、アインスはそんな事で怒ったりしません。あたしもそう思っていたからこそ、アインスと喧嘩になったんだと思います」

「でも、実際怒っていたのでしょう? それとも……そうね。実際は怒ってないのならば、怒った演技をしていたのかもしれないわね」

 オアイーブはボソリと呟くように語った。すると今までとは逆に、プラムがオアイーブに尋ねる。

「怒った演技ですか? 何故でしょう?」

「だって普通に考えてご覧なさい? ただの村人と結婚するより王子様と結婚した方がいいに決まっているでしょう……だから自分のことを気にしないようにわざと印象を悪くした。それは可能性があると思います。もしくは、それ以外の理由でそうさせたかった理由でもあるかもしれないですね。それで演技をしたのかもしれませんよ?」

「その可能性は……無いとは言いきれないかもしれないです。でも、それ以外の理由って……オアイーブ様は何か考えつきますか?」

「そうね、それまでは……例えば、二人ならどんな困難も乗り越えられると思っていたけれども、状況が変わったから、それなら自分以外の誰かと一緒になった方が幸せになれるんじゃないか……と思ったとか? あなたを諦めざるを得ない何か……あなたと結婚できないと思える何か……その何かが演技をさせたのかもしれないですよ?」

 その言葉につい立ち上がってプラムは答える。

「そんな訳無いです! その日の朝も馬車の中でそういう話してましたから! あっ!」

 先程のオアイーブの指摘を思い出し、プラムは直ぐに湯に浸かった。

「では、その後に気が変わる何か・・があったのかもしれませんよ? その後もずっと一緒にいた訳じゃないでしょう?」

「確かにそうですけど。誰とも一緒に居なかったはず……? あれ、居なかったよね……?」

 その時を思い出し、ついプラムは首を傾げてしまう。

「どうしたんです?」

「いや、そう言えば喧嘩して、あたしがアインスの部屋から出てったあと、何か話し声が聞こえたような気がしたんですけど……やっぱり誰も居なかったはずなんで……でも、本当にアインスが誰かと話してるような声だったな……」

「もしかしたら隠れてたのかもしれませんよ?」

「うーん。それは無いと思うんですけど……」

「まぁどちらにせよ本人に確認出来なければ意味無いですわよね」

 その言葉にプラムは頷き、軽く笑みを浮かべながらこう話した。

「そうですね。確かめたかったけど、次の日はあたしが起きた時にはもう部屋に居なかったみたいですし……今はソフィアの街にいるか、ルーチェの村にお墓参りに帰ってるかも。どっちにせよラムネスから遠くに居ますから確かめる事なんか出来ないですけどね」

「ええ……って誰のお墓参り? それも聞かせて貰ってもいいかしら?」

 オアイーブは知らなかった情報を得ようと、ついプラムに顔を近づけてしまう。

「ええ、実は……」

 プラムは身振り手振りを交え、アインスの両親が事故で亡くなったこと、その時のアインスの様子等をオアイーブに話した。
 そしてオアイーブがその話をじっと真剣に聞くのであった。

「へぇ、なるほど……まさか、ね。まぁ、どちらにせよ本人に確かめるしか方法は無いでしょうから……」

 急に雰囲気が変わったオアイーブに、ついプラムは問いかけてしまう。

「オアイーブ様? どうなさいました?」

「いえ、こちらの話です。気になさらないで下さい」

 オアイーブがそう答えると、一呼吸置いてプラムはこう呟いた。

「まぁ歴代でも王国一の才女と呼ばれるオアイーブ様のお考えなど、
 あたしにはわからないですから……」

「そんなに持ち上げても何も出ませんわよ。今日はありがとうね。プラムの幼馴染、とても興味深い方ね。でも、話はこれくらいにしましょうか? そろそろお食事の用意も出来る頃でしょうし、ジェラール様をあまりお待たせする訳にもいかないわ。さて、出ましょうか?」

「かしこまりました」

 その言葉で二人は湯舟から上がったのであった。
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