賢者の幼馴染との中を引き裂かれた無職の少年、真の力をひた隠し、スローライフ? を楽しみます!

織侍紗(@'ω'@)ん?

文字の大きさ
85 / 123

第八十五話 飾り物の剣

しおりを挟む
「ご主人様。こちらがソフィアで一番の武器屋です」

 今日は休日。僕たちはレオナの案内でとある武器屋の前に立っていた。

「ここがこの街一番の武器屋? 大丈夫なの? ここで?」

「はい、間違いない……はずですが。如何致しましたか?」

 不安そうに見えてしまったのだろう。レオナは僕の言葉にそう尋ね返してきた。

「あ、ううん。何でもない。気にしないで」

「かしこまりました」

 僕はその店の名に一抹の不安を抱いたが、それ以上は考えないようにした。
 僕に不安を抱かせた店の名はエクスカリパー・・・・・・・。そう、エクスカリバーではなく、エクスカリパーである。絶対にダメージが1しか与えられなさそうな名であるが、それは前の世界でのこと。この世界には何も関係がないと僕は言い聞かせて、店の扉をくぐったのだった。

 中に入ると、入口の脇で陳列された武器を掃除している店員を見かけた。

「あ、あれ? 君は……フレイたちの……」

 助けたフレイたち五人姉妹。そのうちの一人がそこに立っていた。当初ラークアで働いてもらったはずの一人である。キャスカの時もそうだし、ラークアを辞めて他の店で働くのも、人それぞれだと思った僕は、そのことを聞こうともしなかった。

「あ、アインス様じゃないですか? ジャスミンです。レオナ様もカタリナ様もご一緒なんですね? 今日は何かご入用でしょうか?」

「あ、うん。武器を買おうと思ってね」

「武器ですか? 宜しければ具体的に教えて頂ければ、聞いてまいりますが……」

 なるほど、僕の要望を伝えれば、ジャスミンじゃない詳しい人に聞いてくれるんだな。ジャスミンは入ってまもないだろうし、僕も特にこれといって欲しい武器がある訳じゃないから、正直助かるかも……
 そう思った僕はジャスミンに要望を伝えることにした。

「えっと。武器の種類は特に問わないかな? でも、前衛向きの武器が良い。弓とかはダメかな? あと出来れば丈夫な武器がいい。この店で一番丈夫な武器とか見せてもらえる?」

「かしこまりました。ちょっと失礼致します。すぐに戻りますので」

 ジャスミンは僕たちにそう告げると店の奥へと入っていってしまった。

「すぐに戻るって……とりあえずその辺の武器を見て待ってようか?」

 僕の言葉に三人は一つ頷いた。

「あ、ご主人様、この大剣とかどうですか?」

御主神様アインスさまにはこっちのレイピアがお似合いだと思いますわよ?」

「マスターにはこの鞭なんかどうかしら?」

「鞭はカタリナの方が似合いそうだけど……」

 なんて皆で喋っていると、ジャスミンが戻ってきた。確かにすぐだった。

「おまたせしました。こちらへ……」

 僕たちはジャスミンに促されるままに、奥のカウンターへと向かった。

「聞いてみたところ、この剣が良いだろう。との事でした」

「え……マジ……? なんでそっちがあるのよ……」

 と、ジャスミンはカウンターの奥に飾られていた剣を手に取り、僕の目の前に置いた。飾り付けが全く無く、素朴ながらも見るからに神聖そうな雰囲気を纏っている片手剣であった。
 僕の耳元でボソッとリアの声が聞こえたが、ジャスミンがいる手前、僕は聞かなかったことにした。

「これ? 飾ってあるけどいいの?」

「ええ、これを渡してくれ。との事でしたので……」

「うーん。なんか、僕には勿体ないような気がするけど……」

 僕としてはとりあえずの武器が欲しかった。使ってみて壊れてしまったら買い換えればいいし。その程度でしか考えてなかったから、明らかに大事そうにされている武器を買うのは少し気が引けた。そこで僕は大事なことに気づく。

「そういえば、これ、いくら払えばいいの?」

 そう、飾られていたので値札が無いのだ。しかし、ジャスミンから返ってきた答えは意外な答えだった。

「お代は結構です。そう言われてますので」

「え? なんで? 飾ってあるような武器だし、有名な剣なんじゃないの?」

「そもそも売り物ではないので、値段は付いてないとの事でした。私からはそれ以上のことは申し上げられないので……」

 ジャスミンは少し困ったような表情をしている。僕は別にジャスミンを困らせたかった訳では無いので、申し訳なく思ってしまった。

「タダって言うのは気が引ける。でもなぁ。武器は必要だからなぁ」

「ご主人様にお似合いですし、お言葉に甘えてみては?」

「そうよ。御主神様アインスさまに使って頂けるなんて、その剣は感謝すべきですわ」

「武器が感謝すべきねぇ……確かに何か喜んでいるように感じはするけど……」

 僕はその剣を手に取り掲げてみた。するとカタリナが言っているように剣が喜んでいるような、語りかけてくれているような気がした。

「よし、じゃあお言葉に甘えて、これ貰ってくね? ジャスミン、ありがと」

「はい! こちらこそありがとうございます」

 僕たちは礼をするジャスミンに感謝を述べて、店を後にしたのだった。
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。

もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。 異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。 ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。 残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、 同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、 追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、 清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……

才がないと伯爵家を追放された僕は、神様からのお詫びチートで、異世界のんびりスローライフ!!

にのまえ
ファンタジー
剣や魔法に才能がないカストール伯爵家の次男、ノエール・カストールは家族から追放され、辺境の別荘へ送られることになる。しかしノエールは追放を喜ぶ、それは彼に異世界の神様から、お詫びにとして貰ったチートスキルがあるから。 そう、ノエールは転生者だったのだ。 そのスキルを駆使して、彼の異世界のんびりスローライフが始まる。

『王都の神童』と呼ばれた俺、職業選定でまさかの【遊び人】三連発で追放される。……が、実は「全職業のスキル」を合算して重ねがけできる唯一のバグ

よっしぃ
ファンタジー
王都で「神童」の名をほしいままにしていた少年、ディラン・アークライト(17歳)。   剣を握れば騎士団長を唸らせ、魔法を学べば賢者を凌駕する。誰もが彼を「次代の勇者」と信じて疑わなかった。  しかし、運命の職業選定で彼が得たのは――【遊び人】。   それも、三つの職業スロットすべてが【遊び人】で埋まるという、前代未聞の怪現象だった。 「期待外れだ」 「国の恥晒しめ」   掌を返した周囲によって、ディランは着の身着のままで街を追放される。  だが、かつて神童と呼ばれた彼の「分析力」は死んでいなかった。 『……Lv1なのに、ステータスが異常に高い? それに経験値が分散せず、すべて加算されている……?』  彼だけが気づいた真実。  それは【遊び人】という名に偽装された、この世界の管理者権限(Free-Hander)であり、全職業のスキルを制限なく使用・強化できるバグ技(デバッグモード)への入り口だったのだ。  これは、理不尽に捨てられた元・神童が、その頭脳とバグ能力で世界を「攻略」し、同じく不遇な扱いを受けていた美少女騎士(中身は脳筋)と共に、誰よりも自由に成り上がる物語。 【著者プロフィール】アルファポリスより『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』を出版、オリコンライトノベル部門18位を記録。本作は2月に2巻刊行予定。

異世界に転生したので幸せに暮らします、多分

かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。 前世の分も幸せに暮らします! 平成30年3月26日完結しました。 番外編、書くかもです。 5月9日、番外編追加しました。 小説家になろう様でも公開してます。 エブリスタ様でも公開してます。

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

魔法が使えない落ちこぼれ貴族の三男は、天才錬金術師のたまごでした

茜カナコ
ファンタジー
魔法使いよりも錬金術士の方が少ない世界。 貴族は生まれつき魔力を持っていることが多いが錬金術を使えるものは、ほとんどいない。 母も魔力が弱く、父から「できそこないの妻」と馬鹿にされ、こき使われている。 バレット男爵家の三男として生まれた僕は、魔力がなく、家でおちこぼれとしてぞんざいに扱われている。 しかし、僕には錬金術の才能があることに気づき、この家を出ると決めた。

処理中です...