賢者の幼馴染との中を引き裂かれた無職の少年、真の力をひた隠し、スローライフ? を楽しみます!

織侍紗(@'ω'@)ん?

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第九十一話 寒気

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 死への恐怖からか全身から寒気がする。いや、もしかしたらもう死んでいるのかも知れない。それだったら痛みが無いほど一瞬だったのだろう……
 シエラの様に一瞬で首を飛ばされたのならきっと痛みも無いのかもしれない。とすると、ここは死後の世界だろうか……エミリアは目をぎゅっと瞑ったままそう考えていた。

 死後の世界なのか……
 と目を開けると、まだそこに大きな口を開けているフェンリルウルフが居た。驚いてエミリアはまた目を瞑ってしまう。しかし、痛みは無かった……
 やはり不思議に思って再度目を開けると、やはりそこにはフェンリルウルフが同じ姿でそこに居た。
 しかし、今度はエミリアはそこにフェンリルウルフがいるという覚悟が出来ていたのでじっくり見ることが出来た。
 エミリアがよく見るとフェンリルウルフは凍りついていた。その時エミリアは悟った。全身から寒気がしていたのでは無く、目の前のフェンリルウルフが凍りつくほどの場の気温が下がっていて、実際寒かったのだと。
 エミリアが呆然としていると、次の瞬間、目の前のフェンリルウルフは砕け散り魔石となっていった。

「大丈夫ですか?」

 未だ呆然としているエミリアに心配そうな声がかけられた。エミリアが声の方を見ると、見た事がある美少年が立っていた。その背後には二人の少女の姿があった。

「き、君は? この間の?」

 そう、エミリアが冒険者ギルドでこの洞窟のことを教えてあげた少年だった。

「ええ、僕はアインスと言います。こっちはレオナとカタリナ。僕の仲間です」

「あ、ありがとう……アインス君でいい?」

「はい、確かエミリアさんでしたっけ?」

 エミリアはアインスの問いに一つ頷いた。

「ええ、そうよ。それにしてもアインス君、凄まじい威力の魔法を使えるのね。まさかフェンリルウルフを凍りつかせるほどの威力だなんて……」

「ああ、ごめんなさい。それ僕じゃなくてカタリナなんです。魔法使ったの」

 アインスはそう言いながら後ろの少女が見やすいように半身をずらした。エミリアが視線をアインスの背後に移すと、その少女の内の一人、眼鏡をかけた少女が頷いている。恐らくあの子がカタリナなのだろうとエミリアは思った。

「そう、ありがとう。カタリナさん。助かったわ」

「いえ、御主神様アインスさまのご命令ですので……」

 その時、エミリアはな何かを思い出したかのように、ハッとした表情を見せた。

「と、こんな話をしている場合じゃないわ! 早く逃げないと! ここはフェンリルウルフの住処なの、他のが帰ってくる前に逃げないと!」

 エミリアがアインスたちにそう主張すると、アインスは全く焦る素振りも見せずに、エミリアへ問いかけた。

「他の? フェンリルウルフですか? 何匹いたんですか?」

「合わせて五匹だから残りは四匹よ……」

「なら大丈夫です」

「え?」

「その四匹は倒しちゃいましたから。今ので最後です」

 その言葉にエミリアは返す言葉を失ってしまった。さも当然といっら様子で語るアインスにエミリアは驚いてしまったのだ。そして次に口を開いたのはアインスだった。

「ただ……」

「ただ?」

「言い難いんですけど、エミリアさんの仲間たちは恐らく全員……あの時座ってた四人、それにエミリアさん合わせて五人で全員ですよね」

「ええ、でも覚悟は出来てたから気にしないで。そもそも私自身も死んだと思ってたくらいだし」

 アインスが言いにくそうに絞り出した言葉に対して、エミリアそう答えながら頷いた。その様子を見て、アインスも頷き返しながら言葉を続けた。

「倒した魔物の傍に二つの死体がありました。場所は別々ですけどね。それとここに一つ。あとあそこに一つ。合わせて四つです。他の冒険者達かもしれませんが……」

 アインスが言いかけたその言葉に、エミリアは首を横に振ることで応えた。

「いえ、恐らく仲間達ね……悪いけど案内して貰えるかしら? 連れ帰るのは無理だけど……」

「良いですけど、なかなか見せられる光景じゃないですよ?」

「心配してくれてありがとね。でも、大丈夫よ。もう見ちゃってるから……最期のお別れくらいはさせて」

「まぁ、そう言うのなら……」

「ありがと」

「じゃあとりあえずここのお二人からですね。お別れが済んだら教えて下さい。他の方の場所までご案内します」

 とアインスは話すと足元の魔石を拾い、エミリアは部屋に転がっているかつて仲間だったモノの元へと向かったのだった。
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