106 / 123
第百六話 森の館
しおりを挟む
それからしばらく歩いた僕たちの目の前に、一つの建物が現れた。石造りの二階建てで、所々苔が生えている。また、壁に蔦が絡まっているその様子はとても古ぼけた印象を与えていた。
「ここが目的の場所のようですね」
僕は立ち止まり、前を向いたままそう言った。周囲の環境は先程までとはうってかわって、安定した状況となっている。木々は少なく光はさしている、先程の惑わす花々も見当たらない。方向感覚が狂うような磁場の乱れも無い。
「さて、どうしたものかな……ここだけ急に変わるとなると……」
明らかに故意、ここだけ環境が変わっている、という事は森全体として、何者かの手によって、侵入者を拒む仕掛けが施されている可能性が高い。その上、この部分はなんらかの理由で、今までの拒む仕掛けが無くなっている。僕はそう思った。
ここまでの広範囲、かつ、アマンダ先生ですら知らない魔法のようなものを使っているとなると……
異世界の知識がある転生者か、もしくは知識の泉のようなものが使える、そのようなこの世界の知識じゃない知識を持つ存在の関与があるかもしれない。僕はそう思った。その者自体が相手かもしれないし、そうような知識を持つ者が、知識を与えた者が相手かもしれない。どちらにせよ、知識と言う点では僕と並ぶ存在が相手になる可能性があると思っておかないと……
そのような事をしばらく考えた後、僕は振り返り皆の方を向いて語った。
「ここからはより一層危険になります。必ず離れないで下さい。中を調べる時間も惜しいから、このまま入るね」
その言葉に皆が頷いたのだった。ただ最後の言葉の真の意味はアマンダ先生には伝わっていないだろう、と僕は思った。でも、敢えてアマンダ先生は追及せずに合わせてくれたのだろう。
重々しい鉄で出来た、両開きの扉を僕が開くと、中は薄暗かった。
正面には二階へと繋がる大きな階段、ホールにはシャンデリアのようなものも吊るされている。
階段を挟んで両側には、扉がいくつかずつほぼ等間隔に並んでいる。奥は同じくらいの広さのある部屋があるのかもしれない。
そんな中、アマンダ先生は僕にこう問いかけた。
「どうする? 一部屋ずつ探す?」
その言葉に僕は黙って考えた。正直、時間が惜しい。普通に考えたら、アマンダ先生の提案通りにするのだが、今はそんな悠長な事をする余裕はない、と……
『 リア。生き残ってる人がいるなら何処にいるの?』
そこで僕は念話でリアに尋ねる。するとリアはしばらく考えてから、答えを返した。
『 そうね……生きてる人と言う意味でいいなら、その大きな階段の後ろにある、隠し階段の下にいるけど……』
『 随分含みのある言い方だね? どういう意味?』
『 まぁ、行ってみればわかるわ……』
リアからそれ以上の言葉を引き出しても、意味は無いと思った僕は、アマンダ先生に話しかけた。
「そうですね……まぁ、でも、ちょっと待って下さい」
そこまで話して僕はおもむろに、目の前の階段の裏へとまわった。そこにはリアの言う通り、見えにくくなってはいるが、扉があった。開けてみると中からはひんやりとした空気が漏れだし、地下へと続いているのはわかる。
「ここに隠し階段があります。ここを降りてみましょう」
僕は皆にそう呼びかけると、皆はすぐに僕の元へと駆け付けた。
「ちょっと! なんでこんなとこすぐに見つけるのよ?」
気持ちはわかる、けど今はそれを説明している時じゃないし、アマンダ先生には理解出来ないだろう。そう思った僕はアマンダ先生の叫びを手で制しながらこう話した。
「まぁまぁ、それは機会があったら話します。今は早めにここを降りた方が良さそうです」
そこまで語ると僕はすぐに階段を降り始めた。アマンダ先生も渋々それに従い、後を付いてきてくれたようで、その後を残りの者がついて行った。
何段降りたかは数えていないが、かなり下まで降りた事はわかる。階段は螺旋状になっており、先は見えなかったが、かなりの時間、闇に包まれた中を降りていた。しかし、下に降りるにつれ、段々と奥から光が漏れているのがわかるようになってきた。
最下層なのかはわからないが、その階段の螺旋が途切れる場所にある部屋から、光が階段に入ってきているようだった。
「じゃあ、入りますね?」
僕は階段を降りきった所で振り返って小声で話す。そして皆の頷きを確認してから扉をゆっくりと開いた。その僕の瞳に飛び込んできた光景に、思わず息を飲んだ。
「ここが目的の場所のようですね」
僕は立ち止まり、前を向いたままそう言った。周囲の環境は先程までとはうってかわって、安定した状況となっている。木々は少なく光はさしている、先程の惑わす花々も見当たらない。方向感覚が狂うような磁場の乱れも無い。
「さて、どうしたものかな……ここだけ急に変わるとなると……」
明らかに故意、ここだけ環境が変わっている、という事は森全体として、何者かの手によって、侵入者を拒む仕掛けが施されている可能性が高い。その上、この部分はなんらかの理由で、今までの拒む仕掛けが無くなっている。僕はそう思った。
ここまでの広範囲、かつ、アマンダ先生ですら知らない魔法のようなものを使っているとなると……
異世界の知識がある転生者か、もしくは知識の泉のようなものが使える、そのようなこの世界の知識じゃない知識を持つ存在の関与があるかもしれない。僕はそう思った。その者自体が相手かもしれないし、そうような知識を持つ者が、知識を与えた者が相手かもしれない。どちらにせよ、知識と言う点では僕と並ぶ存在が相手になる可能性があると思っておかないと……
そのような事をしばらく考えた後、僕は振り返り皆の方を向いて語った。
「ここからはより一層危険になります。必ず離れないで下さい。中を調べる時間も惜しいから、このまま入るね」
その言葉に皆が頷いたのだった。ただ最後の言葉の真の意味はアマンダ先生には伝わっていないだろう、と僕は思った。でも、敢えてアマンダ先生は追及せずに合わせてくれたのだろう。
重々しい鉄で出来た、両開きの扉を僕が開くと、中は薄暗かった。
正面には二階へと繋がる大きな階段、ホールにはシャンデリアのようなものも吊るされている。
階段を挟んで両側には、扉がいくつかずつほぼ等間隔に並んでいる。奥は同じくらいの広さのある部屋があるのかもしれない。
そんな中、アマンダ先生は僕にこう問いかけた。
「どうする? 一部屋ずつ探す?」
その言葉に僕は黙って考えた。正直、時間が惜しい。普通に考えたら、アマンダ先生の提案通りにするのだが、今はそんな悠長な事をする余裕はない、と……
『 リア。生き残ってる人がいるなら何処にいるの?』
そこで僕は念話でリアに尋ねる。するとリアはしばらく考えてから、答えを返した。
『 そうね……生きてる人と言う意味でいいなら、その大きな階段の後ろにある、隠し階段の下にいるけど……』
『 随分含みのある言い方だね? どういう意味?』
『 まぁ、行ってみればわかるわ……』
リアからそれ以上の言葉を引き出しても、意味は無いと思った僕は、アマンダ先生に話しかけた。
「そうですね……まぁ、でも、ちょっと待って下さい」
そこまで話して僕はおもむろに、目の前の階段の裏へとまわった。そこにはリアの言う通り、見えにくくなってはいるが、扉があった。開けてみると中からはひんやりとした空気が漏れだし、地下へと続いているのはわかる。
「ここに隠し階段があります。ここを降りてみましょう」
僕は皆にそう呼びかけると、皆はすぐに僕の元へと駆け付けた。
「ちょっと! なんでこんなとこすぐに見つけるのよ?」
気持ちはわかる、けど今はそれを説明している時じゃないし、アマンダ先生には理解出来ないだろう。そう思った僕はアマンダ先生の叫びを手で制しながらこう話した。
「まぁまぁ、それは機会があったら話します。今は早めにここを降りた方が良さそうです」
そこまで語ると僕はすぐに階段を降り始めた。アマンダ先生も渋々それに従い、後を付いてきてくれたようで、その後を残りの者がついて行った。
何段降りたかは数えていないが、かなり下まで降りた事はわかる。階段は螺旋状になっており、先は見えなかったが、かなりの時間、闇に包まれた中を降りていた。しかし、下に降りるにつれ、段々と奥から光が漏れているのがわかるようになってきた。
最下層なのかはわからないが、その階段の螺旋が途切れる場所にある部屋から、光が階段に入ってきているようだった。
「じゃあ、入りますね?」
僕は階段を降りきった所で振り返って小声で話す。そして皆の頷きを確認してから扉をゆっくりと開いた。その僕の瞳に飛び込んできた光景に、思わず息を飲んだ。
0
あなたにおすすめの小説
異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。
もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。
異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。
ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。
残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、
同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、
追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、
清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
異世界に転生したので幸せに暮らします、多分
かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。
前世の分も幸せに暮らします!
平成30年3月26日完結しました。
番外編、書くかもです。
5月9日、番外編追加しました。
小説家になろう様でも公開してます。
エブリスタ様でも公開してます。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
魔法が使えない落ちこぼれ貴族の三男は、天才錬金術師のたまごでした
茜カナコ
ファンタジー
魔法使いよりも錬金術士の方が少ない世界。
貴族は生まれつき魔力を持っていることが多いが錬金術を使えるものは、ほとんどいない。
母も魔力が弱く、父から「できそこないの妻」と馬鹿にされ、こき使われている。
バレット男爵家の三男として生まれた僕は、魔力がなく、家でおちこぼれとしてぞんざいに扱われている。
しかし、僕には錬金術の才能があることに気づき、この家を出ると決めた。
『王都の神童』と呼ばれた俺、職業選定でまさかの【遊び人】三連発で追放される。……が、実は「全職業のスキル」を合算して重ねがけできる唯一のバグ
よっしぃ
ファンタジー
王都で「神童」の名をほしいままにしていた少年、ディラン・アークライト(17歳)。
剣を握れば騎士団長を唸らせ、魔法を学べば賢者を凌駕する。誰もが彼を「次代の勇者」と信じて疑わなかった。
しかし、運命の職業選定で彼が得たのは――【遊び人】。
それも、三つの職業スロットすべてが【遊び人】で埋まるという、前代未聞の怪現象だった。
「期待外れだ」
「国の恥晒しめ」
掌を返した周囲によって、ディランは着の身着のままで街を追放される。 だが、かつて神童と呼ばれた彼の「分析力」は死んでいなかった。
『……Lv1なのに、ステータスが異常に高い? それに経験値が分散せず、すべて加算されている……?』
彼だけが気づいた真実。
それは【遊び人】という名に偽装された、この世界の管理者権限(Free-Hander)であり、全職業のスキルを制限なく使用・強化できるバグ技(デバッグモード)への入り口だったのだ。
これは、理不尽に捨てられた元・神童が、その頭脳とバグ能力で世界を「攻略」し、同じく不遇な扱いを受けていた美少女騎士(中身は脳筋)と共に、誰よりも自由に成り上がる物語。
【著者プロフィール】アルファポリスより『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』を出版、オリコンライトノベル部門18位を記録。本作は2月に2巻刊行予定。
転生してチートを手に入れました!!生まれた時から精霊王に囲まれてます…やだ
如月花恋
ファンタジー
…目の前がめっちゃ明るくなったと思ったら今度は…真っ白?
「え~…大丈夫?」
…大丈夫じゃないです
というかあなた誰?
「神。ごめんね~?合コンしてたら死んじゃってた~」
…合…コン
私の死因…神様の合コン…
…かない
「てことで…好きな所に転生していいよ!!」
好きな所…転生
じゃ異世界で
「異世界ってそんな子供みたいな…」
子供だし
小2
「まっいっか。分かった。知り合いのところ送るね」
よろです
魔法使えるところがいいな
「更に注文!?」
…神様のせいで死んだのに…
「あぁ!!分かりました!!」
やたね
「君…結構策士だな」
そう?
作戦とかは楽しいけど…
「う~ん…だったらあそこでも大丈夫かな。ちょうど人が足りないって言ってたし」
…あそこ?
「…うん。君ならやれるよ。頑張って」
…んな他人事みたいな…
「あ。爵位は結構高めだからね」
しゃくい…?
「じゃ!!」
え?
ちょ…しゃくいの説明ぃぃぃぃ!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる