賢者の幼馴染との中を引き裂かれた無職の少年、真の力をひた隠し、スローライフ? を楽しみます!

織侍紗(@'ω'@)ん?

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第百六話 森の館

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 それからしばらく歩いた僕たちの目の前に、一つの建物が現れた。石造りの二階建てで、所々苔が生えている。また、壁に蔦が絡まっているその様子はとても古ぼけた印象を与えていた。

「ここが目的の場所のようですね」

 僕は立ち止まり、前を向いたままそう言った。周囲の環境は先程までとはうってかわって、安定した状況となっている。木々は少なく光はさしている、先程の惑わす花々も見当たらない。方向感覚が狂うような磁場の乱れも無い。

「さて、どうしたものかな……ここだけ急に変わるとなると……」

 明らかに故意、ここだけ環境が変わっている、という事は森全体として、何者かの手によって、侵入者を拒む仕掛けが施されている可能性が高い。その上、この部分はなんらかの理由で、今までの拒む仕掛けが無くなっている。僕はそう思った。
 ここまでの広範囲、かつ、アマンダ先生ですら知らない魔法のようなもの・・・・・・・・を使っているとなると……
 異世界の知識がある転生者か、もしくは知識の泉のようなものが使える、そのようなこの世界の知識じゃない知識・・を持つ存在の関与があるかもしれない。僕はそう思った。その者自体が相手かもしれないし、そうような知識を持つ者が、知識を与えた者が相手かもしれない。どちらにせよ、知識・・と言う点では僕と並ぶ存在が相手になる可能性があると思っておかないと……
 そのような事をしばらく考えた後、僕は振り返り皆の方を向いて語った。

「ここからはより一層危険になります。必ず離れないで下さい。中を調べる時間も惜しいから、このまま入るね」

 その言葉に皆が頷いたのだった。ただ最後の言葉の真の意味はアマンダ先生には伝わっていないだろう、と僕は思った。でも、敢えてアマンダ先生は追及せずに合わせてくれたのだろう。
 重々しい鉄で出来た、両開きの扉を僕が開くと、中は薄暗かった。
 正面には二階へと繋がる大きな階段、ホールにはシャンデリアのようなものも吊るされている。
 階段を挟んで両側には、扉がいくつかずつほぼ等間隔に並んでいる。奥は同じくらいの広さのある部屋があるのかもしれない。
 そんな中、アマンダ先生は僕にこう問いかけた。

「どうする? 一部屋ずつ探す?」

 その言葉に僕は黙って考えた。正直、時間が惜しい。普通に考えたら、アマンダ先生の提案通りにするのだが、今はそんな悠長な事をする余裕はない、と……

『 リア。生き残ってる人がいるなら何処にいるの?』

 そこで僕は念話でリアに尋ねる。するとリアはしばらく考えてから、答えを返した。

『 そうね……生きてる人と言う意味でいいなら、その大きな階段の後ろにある、隠し階段の下にいるけど……』

『 随分含みのある言い方だね? どういう意味?』

『 まぁ、行ってみればわかるわ……』

 リアからそれ以上の言葉を引き出しても、意味は無いと思った僕は、アマンダ先生に話しかけた。

「そうですね……まぁ、でも、ちょっと待って下さい」

 そこまで話して僕はおもむろに、目の前の階段の裏へとまわった。そこにはリアの言う通り、見えにくくなってはいるが、扉があった。開けてみると中からはひんやりとした空気が漏れだし、地下へと続いているのはわかる。

「ここに隠し階段があります。ここを降りてみましょう」

 僕は皆にそう呼びかけると、皆はすぐに僕の元へと駆け付けた。

「ちょっと! なんでこんなとこすぐに見つけるのよ?」

 気持ちはわかる、けど今はそれを説明している時じゃないし、アマンダ先生には理解出来ないだろう。そう思った僕はアマンダ先生の叫びを手で制しながらこう話した。

「まぁまぁ、それは機会があったら話します。今は早めにここを降りた方が良さそうです」

 そこまで語ると僕はすぐに階段を降り始めた。アマンダ先生も渋々それに従い、後を付いてきてくれたようで、その後を残りの者がついて行った。

 何段降りたかは数えていないが、かなり下まで降りた事はわかる。階段は螺旋状になっており、先は見えなかったが、かなりの時間、闇に包まれた中を降りていた。しかし、下に降りるにつれ、段々と奥から光が漏れているのがわかるようになってきた。
 最下層なのかはわからないが、その階段の螺旋が途切れる場所にある部屋から、光が階段に入ってきているようだった。

「じゃあ、入りますね?」

 僕は階段を降りきった所で振り返って小声で話す。そして皆の頷きを確認してから扉をゆっくりと開いた。その僕の瞳に飛び込んできた光景に、思わず息を飲んだ。
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