3 / 16
3
しおりを挟む
私は右手をすっと伸ばしてステータス画面を開く。ルナティック・サーガは超大人気RPGシリーズだったのでVRのナンバリングタイトルも出てる。当然私はそっちも死ぬほどやり尽くしてる。で、その中でステータスを開くのは共通動作だったから、感覚でステータス画面の開き方はわかった。
それから、私は腕を組んで、じぃーっと出てきたステータス画面を眺めていた。多分顰めっ面にでもなってただろう。悪い予感が当たったのだからそれも仕方ないわね。
「で、出てきたモノがこれかー、やっぱりねぇ」
名前 :アイラ
性別 :女
種族 :ヒューマン
職業 :無し
Lv :1
HP :20
MP :5
STR:3
VIT:3
MAG:3
AGI:3
DEX:3
EXP:35
はい、Lv1。でも、大事なのはそこじゃない。既にEXPが35もあるってこと。このダンジョンでモンスターを何体か倒した記憶はうっすらとある。で、その結果がEXP35ってこと。そこまではいい。モンスターを倒したのだからEXPが増えてておかしくはない。問題はLvが1の所。通常EXPが35もあればLvは3になってておかしくない。それなのに1のまま。悪い予感とはコレのことだった。
「やっぱりあの記憶は本当だったんだなぁ。あの駄女神の記憶ぅ」
記憶が混濁していたから正直、ハッキリと覚えている訳じゃないけど、私には死んだ時の場面ともう一つ思い出したことがあった。
それは転生? をさせられた時の記憶。なんかだだっ広い真っ白な部屋で転生だなんだって女神が私に話してきた、その時の記憶。私はそれを思い出しながら言葉に出した。
「確かノルンとか言ったっけな? あの女神。なんか手違いで殺しちゃったから転生させてあげるわ。貴女の大好きな世界に! しかも大サービスで一つ能力つけてあげる! とか言ってくれたのよねぇ」
と言われた結果がこれだ。大サービスでつけてくれた能力とやら、それはLvが1から一切上がらないことだった。
「貴女、低レベルクリアとか制限プレイ大好きだったじゃない? だから貴女の大好きな低レベルのままになるようにしてあげる! ってふざけんな! あの馬鹿女神!」
そりゃ低レベルクリアや制限プレイ、RTAなんかでルナティック・サーガシリーズはやり尽くしたと言っても過言じゃない。でも、それは何度もクリアしてからの楽しみでやってたこと。一度死んだら終わりの転生だってのに、好き好んでLv1でプレイしようなんて思う訳無いじゃない!
というワケで、私にとってステータスを確認することは意味が無いことに成り下がってしまった。今後の人生において、この画面を開くことはほぼないだろう。
だってLvが上がらないってことは、その他の数値も変わらないってこと。いくら有っても私には意味の無いEXPの数値しか変わらない。あとは職業くらいね。これも勝手に変わる訳じゃないからいちいち確認する意味無い。せっかく異世界に来たって言うのに楽しみが一つ奪われちゃった気分だわ。
こんな事してくれた駄女神には文句の十個でも言ってやりたいわね。そもそも私のことを手違いで殺しておいてこの仕打ち。ホントに何考えてるのかしら。
ま、結構読み漁ってたWeb小説でよくある、ステータス画面だったりスキル画面だったりを何度も開いて文字数稼ぎをする必要もないってことだけはプラスかな?
変わり映えしなかったり、ただインフレするだけの意味の無い文字数稼ぎなんか読み飛ばすようになって終わりだもん。
読む分には最初は楽しいし、好きな人もいるから否定はしないけどね。
「さて、状況を整理しましょ。私はルナティック・サーガの世界に転生してきた。そして一生Lvが1のまま。しかもたった一人で王家の墓の最下層。帰り道にはLvが15を超えるモンスターがウヨウヨ。と、あはは! 笑っちゃうわ!」
私は今、自分が置かれている状況を整理しようと言葉に出した。と、同時にその状況に笑いだしてしまった。
それから、私は腕を組んで、じぃーっと出てきたステータス画面を眺めていた。多分顰めっ面にでもなってただろう。悪い予感が当たったのだからそれも仕方ないわね。
「で、出てきたモノがこれかー、やっぱりねぇ」
名前 :アイラ
性別 :女
種族 :ヒューマン
職業 :無し
Lv :1
HP :20
MP :5
STR:3
VIT:3
MAG:3
AGI:3
DEX:3
EXP:35
はい、Lv1。でも、大事なのはそこじゃない。既にEXPが35もあるってこと。このダンジョンでモンスターを何体か倒した記憶はうっすらとある。で、その結果がEXP35ってこと。そこまではいい。モンスターを倒したのだからEXPが増えてておかしくはない。問題はLvが1の所。通常EXPが35もあればLvは3になってておかしくない。それなのに1のまま。悪い予感とはコレのことだった。
「やっぱりあの記憶は本当だったんだなぁ。あの駄女神の記憶ぅ」
記憶が混濁していたから正直、ハッキリと覚えている訳じゃないけど、私には死んだ時の場面ともう一つ思い出したことがあった。
それは転生? をさせられた時の記憶。なんかだだっ広い真っ白な部屋で転生だなんだって女神が私に話してきた、その時の記憶。私はそれを思い出しながら言葉に出した。
「確かノルンとか言ったっけな? あの女神。なんか手違いで殺しちゃったから転生させてあげるわ。貴女の大好きな世界に! しかも大サービスで一つ能力つけてあげる! とか言ってくれたのよねぇ」
と言われた結果がこれだ。大サービスでつけてくれた能力とやら、それはLvが1から一切上がらないことだった。
「貴女、低レベルクリアとか制限プレイ大好きだったじゃない? だから貴女の大好きな低レベルのままになるようにしてあげる! ってふざけんな! あの馬鹿女神!」
そりゃ低レベルクリアや制限プレイ、RTAなんかでルナティック・サーガシリーズはやり尽くしたと言っても過言じゃない。でも、それは何度もクリアしてからの楽しみでやってたこと。一度死んだら終わりの転生だってのに、好き好んでLv1でプレイしようなんて思う訳無いじゃない!
というワケで、私にとってステータスを確認することは意味が無いことに成り下がってしまった。今後の人生において、この画面を開くことはほぼないだろう。
だってLvが上がらないってことは、その他の数値も変わらないってこと。いくら有っても私には意味の無いEXPの数値しか変わらない。あとは職業くらいね。これも勝手に変わる訳じゃないからいちいち確認する意味無い。せっかく異世界に来たって言うのに楽しみが一つ奪われちゃった気分だわ。
こんな事してくれた駄女神には文句の十個でも言ってやりたいわね。そもそも私のことを手違いで殺しておいてこの仕打ち。ホントに何考えてるのかしら。
ま、結構読み漁ってたWeb小説でよくある、ステータス画面だったりスキル画面だったりを何度も開いて文字数稼ぎをする必要もないってことだけはプラスかな?
変わり映えしなかったり、ただインフレするだけの意味の無い文字数稼ぎなんか読み飛ばすようになって終わりだもん。
読む分には最初は楽しいし、好きな人もいるから否定はしないけどね。
「さて、状況を整理しましょ。私はルナティック・サーガの世界に転生してきた。そして一生Lvが1のまま。しかもたった一人で王家の墓の最下層。帰り道にはLvが15を超えるモンスターがウヨウヨ。と、あはは! 笑っちゃうわ!」
私は今、自分が置かれている状況を整理しようと言葉に出した。と、同時にその状況に笑いだしてしまった。
68
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私を断罪するのが神のお告げですって?なら、本人を呼んでみましょうか
あーもんど
恋愛
聖女のオリアナが神に祈りを捧げている最中、ある女性が現れ、こう言う。
「貴方には、これから裁きを受けてもらうわ!」
突然の宣言に驚きつつも、オリアナはワケを聞く。
すると、出てくるのはただの言い掛かりに過ぎない言い分ばかり。
オリアナは何とか理解してもらおうとするものの、相手は聞く耳持たずで……?
最終的には「神のお告げよ!」とまで言われ、さすがのオリアナも反抗を決意!
「私を断罪するのが神のお告げですって?なら、本人を呼んでみましょうか」
さて、聖女オリアナを怒らせた彼らの末路は?
◆小説家になろう様でも掲載中◆
→短編形式で投稿したため、こちらなら一気に最後まで読めます
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?
猿喰 森繁
ファンタジー
「パーティーを抜けてほしい」
「え?なんて?」
私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。
彼らは、そんなことも忘れてしまったようだ。
私が聖女であることが、どれほど重要なことか。
聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。
―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。
前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。
半竜皇女〜父は竜人族の皇帝でした!?〜
侑子
恋愛
小さな村のはずれにあるボロ小屋で、母と二人、貧しく暮らすキアラ。
父がいなくても以前はそこそこ幸せに暮らしていたのだが、横暴な領主から愛人になれと迫られた美しい母がそれを拒否したため、仕事をクビになり、家も追い出されてしまったのだ。
まだ九歳だけれど、人一倍力持ちで頑丈なキアラは、体の弱い母を支えるために森で狩りや採集に励む中、不思議で可愛い魔獣に出会う。
クロと名付けてともに暮らしを良くするために奮闘するが、まるで言葉がわかるかのような行動を見せるクロには、なんだか秘密があるようだ。
その上キアラ自身にも、なにやら出生に秘密があったようで……?
※二章からは、十四歳になった皇女キアラのお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる