転生王女は世界ランキング1位の元廃ゲーマー ~一生Lv1固定が確定しちゃってても、チート級な知識の前にはそんなの関係(ヾノ・∀・`)ニャイ

織侍紗(@'ω'@)ん?

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 ふう、やっと三百三十二回終わったわ。
 
 私は少しだけ吐き気を感じながらそう思った。流石に首を振り続けるのは堪えたみたい。今後はできる限りやらないことにしよっと。って一生でこんな機会は殆ど無いだろうけど、ってね。

『ふむ、よく聞こえなかったぞ? まさか誓わない訳あるまい。もう一度問おう。ファンダール王家に名を連ねるモノよ。汝、ファンダールの繁栄が為にその身を捧げることを誓うか?』

「誓わないです」

 三百三十三回目、さ、次がラスト、のはず。

『ふむ、よく聞こえなかったぞ? まさか誓わない訳あるまい。もう一度問おう。ファンダール王家に名を連ねるモノよ。汝、ファンダールの繁栄が為にその身を捧げることを誓うか?』

「誓います」

 私は三百三十三回の否定の後、三百三十四回目の問いには肯定の言葉を返した。それはこの先に進むため。この先は無限ループ。ってここまでも無限ループだったんだけどね。ここの瞬間だけ肯定すれば、否定の無限ループとはいえ意味のある否定だったことになる。ま、数え間違えが無ければ、だけどね。
 私は固唾を飲んで返答を待った。私の肯定の言葉を返した時から一瞬だけ遅れて、部屋に声が響き渡る。

『あいわかった。では汝に証を与えよう』

 そして私の目の前には、段々と鮮やかな模様をした石が現れてくる。そうしてその片手で包み込めるほどの石を私はポケットに押し込んだ。
 ここまでは通常通り。何回目で肯定してもこうなるの。ただ、私の目的はコレ・・じゃない。数え間違えてなければ、まだ続きがあるわ。私が待ってるのはその返事。

『しかし、ここまで断り続けるとは。よほどの無知か狂人か? 狂人ならばそれ相応のもてなしをせねばなるまい』

 よし! 成功! 数え間違えは無かったみたい。しかし、よく聞こえてなかったって言ってたけど、やっぱ聞こえてたんかーい! と毎度毎度ツッコミたくなる気持ちを押さえつつ、私は天に向けて、ビシッと指を指し示しながらその問いにこう答える。

「当然! 狂人よ!」

 自身を狂人と認める答えを返す。万が一、億が一にも偶然否定し続ける人がいるかもしれない。だから多分搭載された救済措置みたいなものね。自分が狂ってると認めなければ、この後は知らなかっただけの偶然って流れでイベントは起きない。でも、私の目的はそのイベントだし、第一私は狂人だもん。認めないワケにはいかないわ。
 すると、一瞬後に少し呆れたような声色でこう言葉が返ってきた。

『やはり狂人であったか。降りかかる火の粉は払わねばなるまい』

 そして声は聞こえなくなった。これでフラグ成立。あとはボスと戦うだけ。とはいえ今すぐじゃない。一階の特定のポイントを通るとボスフィールドに転移してバトルがはじまる。特別なフィールドなので逃げることは不可能。そもそも逃げる気なんか無いから、こんな特殊なことして、特殊なイベント起こして戦おうとするんだけどね。

「とりあえず準備は終了。後は帰るだけなんだけど、その前にすることがあるわねぇ」

 そう言ってから私は振り返り、冒険者たちの死体を一瞥してから声を上げる。

「それは追い剥ぎよ! ゲーマーとして離脱した仲間から装備を剥ぎ取る! そこには慈悲なんか無いんだから!」

 そう、追い剥ぎとも呼ばれる行為。ストーリー上離脱する仲間から装備を奪う行為だ。離脱の理由が死だろうが、旅立ちだろうが関係ない。少しでも路銀の足しになるのならば、無慈悲に剥いであげるのがゲーマーとしてやるべき事である。それはマナーと言っても過言じゃない。少しでも役に立ててあげようとしてあげてるのだから、後ろ指を指されるようなことなんかないわよ。

「さ、という訳でぇ、何か良い物ないかしら」

 そうして私はスキップをしながら死体に近寄り、三人の持ち物を漁った。が、

「目ぼしい物は全く無いわね。さすが私の為に雇われた護衛、ってところかしら」

 元々疎まれてた私である。そもそも生きて帰らせるつもりは無かったってのも知ってる。だってストーリー上は、今、この死んでる冒険者として、私の護衛として、ここに来るのだから。そして、この後の展開も知ってもいる。ただ、金目の物が無かったとしても、しっかり剥ぐのが礼儀というモノだわ。

「尖った骨と檜の棒と棍棒くらいかなぁ。何かの役に立つかもしれないし、一応持ってくか」

 売っても二束三文にもなりはしなさそうなアイテムを、そう呟きながら鞄に放りこんでいく。後はアドベンチャーズ・カードと呼ばれる冒険者の登録証だ。これをアドベンチャーズ・ギルドに持っていくと幾ばくかの謝礼が渡される。この人たちが亡くなったことを知らせてあげなきゃならないから。

「さてと、追い剥ぎも終わったことだし返しましょうか!」

 やるべき事を終わらせた私は立ち上がって、階段に向かって歩き出した。
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