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階段に向かって歩いている途中、そう、さっきちょうど私が倒れていた地点。そこよりほんの少しだけ階段に寄った場所。私はそこで天井を見上げた。天井とはいってもここは吹き抜けのようになっており、一番上の所がうっすらと明るくなっている。あの明るくなってるところはこのダンジョンの一階部分。入口から差し込む光のおかげで明るく見えているのである。そう、この辺りは最下層から一階部分が見える場所なのだ。
そしてそこにはぼんやりと吊り橋のようなものも見える。一階に戻ると言っても目的の場所は階段ではない。私の目的の場所はここ。
「位置を合わせて、と。よし、ここね」
私はその吊り橋を目印にして正確に位置を合わせる。少しだけ右に行ったり、左に行ったり。前に出たり後ろに戻ったりして。こうやって位置を少しづつ合わせてから一つ頷いた。目と感覚でしかないけど、恐らく大丈夫なはず。最悪、少しズレてたとしてもなんら問題はない。これはさっきのと違って何回でもチャレンジできる。やり直せばいいだけだから。
とはいっても、出来れば一回で成功したいわね。
そうして位置を合わせたあと、そのまま地下九階への登り階段に向かって再度歩き出した。
「いーち、にー、さーん、しー」
私は大きな声で歩数を数える。そしてあと3歩ほどで階段へ辿りつこうという場所で私は立ち止まり、くるりと今来た方向へ体を向けた。そして屈伸を何回かして、アキレス腱をググッと伸ばしたり、腕を伸ばしたりストレッチをして身体を解す。
私はひとしきり準備運動を行って一つ気合いを入れた。
「よし!」
そして先程決めた位置に向かってダッシュをした。
「それ!」
先程見定めた地点でジャンプをし、着地と同時に真逆の方向に切り返し、ググッと踏ん張った。
「うし! ショートカット成功! っと! 危ない危ない」
するとふっと目の前が一瞬で切り替わる。そして私は眼前に突如現れたロープを掴む。これは吊り橋のロープ。先程までは無かったモノ。ここにあるはずの無いモノ。しかし、それはここにある。何故かというと、私が立っているのはさっきの場所じゃないから。私は先ほど見上げた吊り橋の上に立っていた。これは何万回と行ったショートカットである。
どうも地下十階でのジャンプ中の空中座標の処理にバグがあって、うまく一階との座標を合わせて入力をすると、一階に移動してしまようだ。つまり、ショートカットとして使うことが出来る。なお、逆は出来ないので帰り限定のショートカットというワケ。これはRTAだけじゃなくて通常プレイでも使えるテクニックだった。十階はモンスターが出ないので失敗しても何度でもトライは出来るけど、一発で成功したのは流石、私。自分を褒めたい気分だわ。中学校時代やってた走り幅跳びの経験が活きたのも間違いない、と思う。
「さて、と。いきましょ」
でも、ここで私を自身を褒めたところで何も起きないし、さっさと先に進めることにした。
そして一旦出口と反対方向へ向かって歩きだす。地下への階段まで辿り着いた後、くるりと踵を返して再度来た道を戻った。
目的は先ほど時間を掛けてまで立てたフラグの回収。三百三十四回も断ったあれね。
そう、隠しボスとのバトルをする。その為にあんな長ったらしいことをしたのだから。これでそのまま帰っちゃったらやった意味も無くなっちゃうわ。 ちなみに隠しボスの出現場所は地下一階から上がって進んでくる通路だから、一旦戻って地下一階への階段から出口方向に向かって歩いていかないと遭遇することが出来ないのである。ショートカットは本来、想定していないようなバグってのがこんなとこからもわかるわね。
そうして踵を返して数歩あるくと、先程のショートカットとは違って視界が段々と歪みだす。これはさっきのはバグで、今回は通常のイベントだから。ボスフィールドに空間移動をするから視界が歪んでいくのである。
「さて、準備準備と」
これから隠しボスが出てくる。私はそう呟きながら先ほどポケットにしまった王族の証である石を取り出しぎゅっと握りしめた。
そしてそこにはぼんやりと吊り橋のようなものも見える。一階に戻ると言っても目的の場所は階段ではない。私の目的の場所はここ。
「位置を合わせて、と。よし、ここね」
私はその吊り橋を目印にして正確に位置を合わせる。少しだけ右に行ったり、左に行ったり。前に出たり後ろに戻ったりして。こうやって位置を少しづつ合わせてから一つ頷いた。目と感覚でしかないけど、恐らく大丈夫なはず。最悪、少しズレてたとしてもなんら問題はない。これはさっきのと違って何回でもチャレンジできる。やり直せばいいだけだから。
とはいっても、出来れば一回で成功したいわね。
そうして位置を合わせたあと、そのまま地下九階への登り階段に向かって再度歩き出した。
「いーち、にー、さーん、しー」
私は大きな声で歩数を数える。そしてあと3歩ほどで階段へ辿りつこうという場所で私は立ち止まり、くるりと今来た方向へ体を向けた。そして屈伸を何回かして、アキレス腱をググッと伸ばしたり、腕を伸ばしたりストレッチをして身体を解す。
私はひとしきり準備運動を行って一つ気合いを入れた。
「よし!」
そして先程決めた位置に向かってダッシュをした。
「それ!」
先程見定めた地点でジャンプをし、着地と同時に真逆の方向に切り返し、ググッと踏ん張った。
「うし! ショートカット成功! っと! 危ない危ない」
するとふっと目の前が一瞬で切り替わる。そして私は眼前に突如現れたロープを掴む。これは吊り橋のロープ。先程までは無かったモノ。ここにあるはずの無いモノ。しかし、それはここにある。何故かというと、私が立っているのはさっきの場所じゃないから。私は先ほど見上げた吊り橋の上に立っていた。これは何万回と行ったショートカットである。
どうも地下十階でのジャンプ中の空中座標の処理にバグがあって、うまく一階との座標を合わせて入力をすると、一階に移動してしまようだ。つまり、ショートカットとして使うことが出来る。なお、逆は出来ないので帰り限定のショートカットというワケ。これはRTAだけじゃなくて通常プレイでも使えるテクニックだった。十階はモンスターが出ないので失敗しても何度でもトライは出来るけど、一発で成功したのは流石、私。自分を褒めたい気分だわ。中学校時代やってた走り幅跳びの経験が活きたのも間違いない、と思う。
「さて、と。いきましょ」
でも、ここで私を自身を褒めたところで何も起きないし、さっさと先に進めることにした。
そして一旦出口と反対方向へ向かって歩きだす。地下への階段まで辿り着いた後、くるりと踵を返して再度来た道を戻った。
目的は先ほど時間を掛けてまで立てたフラグの回収。三百三十四回も断ったあれね。
そう、隠しボスとのバトルをする。その為にあんな長ったらしいことをしたのだから。これでそのまま帰っちゃったらやった意味も無くなっちゃうわ。 ちなみに隠しボスの出現場所は地下一階から上がって進んでくる通路だから、一旦戻って地下一階への階段から出口方向に向かって歩いていかないと遭遇することが出来ないのである。ショートカットは本来、想定していないようなバグってのがこんなとこからもわかるわね。
そうして踵を返して数歩あるくと、先程のショートカットとは違って視界が段々と歪みだす。これはさっきのはバグで、今回は通常のイベントだから。ボスフィールドに空間移動をするから視界が歪んでいくのである。
「さて、準備準備と」
これから隠しボスが出てくる。私はそう呟きながら先ほどポケットにしまった王族の証である石を取り出しぎゅっと握りしめた。
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