縁の鎖

変わりゆく日常

対策会議

「そう。君が編入生の。それじゃ、ゆっくり食事を楽しんでね。俺達は時間も無いし軽食を持って、教室に戻る事にするよ。ユーディア、行くぞ。」

そう言うと、何か言いかけたフィサリスを残して、サーペントとユーディアは席を立った。

「ユーディア、俺がランチボックスを持って先に裏庭に行って居るから、ジュエリア姉上達を呼んで来てくれて。」
「はい！」


カフェテリアのギャラリー達は、サーペント達が席を立ったことを受け、いろいろな憶測が飛び交っていた。

「やはり、姉妹の仲は良くないようだ。」
「サーペント様がフィサリス様を嫌われるのは、ジュエリア様の影響ですわ。」
「それじゃ、やっぱり幽閉はジュエリア様が命じたようだ。」
「ジュエリア様ははお優しい方だと思っていましたのに、失望いたしましたわ。」

『あまりいい流れではないな。後で義姉上と相談しておかないとな。兄上にも報告しておくか。』


サーペントはカフェテリアの出来事を、ジュエリアとカモミーラに説明した。

「な、なんのそれは！？だから貴族は嫌いなのよ！」
「カモミーラ様も貴族ではばいですか。」
「う・る・さ・い・わ・よ！」
「義姉上、これからどうする？兄上のいる学院のカフェテリアを使う事も可能だよ。」
「…いいえ。今まで通り学園のカフェテリアを使うわ。下手に学院の方のカフェテリアへ行くようになれば、噂を肯定してしまう事になるわ。」
「そうよ！それに、なんでジュエリアが逃げなくちゃいけないのよ！本当に噂しかやることのない無能共に、腹が立つわ！」
「そーだ！カモミーラ様、エレスチャル侯爵家が寄贈した温室にあるコンサバトリーの使用許可は取れないでしょうか？」
「許可なんて要らないわ。私がコンサバトリーの鍵を持っているもの。」
「では明日からは、温室のコンサバトリーでランチを取ることにしては如何でしょうか？雨が降れば、ピクニックと言う訳にはいきませんから。」
「ユーディア！貴男、珍しく魔法道具マジカルウイティ以外の事で冴えてるじゃない！」

着実に、当たり前にあった日常が、少しずつ変わり始め出した。