縁の鎖

変わりゆく日常

王太子の誘い

「ジュエリア様って、怖い方ね。」
「ご自分の手は汚さずに、人を貶めるだなど。」
「しかも母親違いとは言え、血の繋がった妹をね。」
「取り巻きに汚れ役をさせて、高みの見物とはいいご身分だ。」
「あの方が、これからの社交界を引っ張って行くと思うと…。」
「本当に、あの方が将来の王妃でいいのか？」

カフェテリアの一件以来、ジュエリアの悪評が増える一方だった。

「ジュエリア、今日の昼は私と学院でランチをしないか？レポートも提出し終えたし、どうかな？」

今朝、登校前にカーネリアンからランチに誘われて、久しぶりに学園へ行くのが楽しみになった。
ここ最近は学園での楽しみが見出せず、針の筵はりのむしろだった。


「ジュエリア、ランチに行こう。」
「ごめんなさい。今日は…/////。」
「ジュリー義姉上！今日は、兄上に誘われているんだよね～？」
「まぁ！そうだったの！御馳走様！！」
「揶揄わないで/////！！」
「ジュエリア様、楽しんで来て下さい！」

三人に揶揄われても、ジュエリアは嬉しそうに学院に向かった。


「殿下、お待たせいたしました………！？」
「ジュエリア、直ぐに給仕が食事を持って来るから、席に着いて。」

カーネリアンに促されるまま、席に着くジュエリア。

「殿下、今日のランチは…」
「国王陛下も看過できない噂が、学園に充満している。今日のランチは、その噂を沈静させるためのものでもあるんだよ。」
「殿下、やっぱり私は席を外します。殿下の貴重なお時間です。お義姉様とお二人で楽しんでください。」
「それはできないわ！フィサリス、この食事会は国王陛下のご意向です！陛下の意思に背くことになります！」

フィサリスは、国王陛下の意思と聞き大人しく従う。