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第2話 聖獣様
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この国では魔力を有する者は、魔法学院への入学が義務付けられている。
そして魔力持ちの中には、まれに聖獣をパートナーとしている者がいて、私もその1人だったりする。聖獣の方が人間を選ぶので、たぶん相性とかがあるのだろう。
聖獣は人間と意思疎通ができて、身体の大きさをある程度自在に変えられるが、特に何かしてくれるというわけではないらしい。パートナーである人間の危機には能力が発現するともいわれているが、そのような危機に遭遇したことがないので本当かどうかはよくわからない。
ただ、聖獣は荒んだ地に住むことはないという。聖獣が身近で暮らすのは平和の証でもあるのだ。だから大切にされている。
私は国境に近い高原にある牧場主の娘として生まれたが、生まれてすぐに聖獣様がやってきた。聖獣様は私にとって常に一緒にいる家族であり、友であり、時には師でもあった。
「昨日は初対面なのに突然おかしなことを言って驚かせてしまい、大変申し訳なかった」
翌日、授業を終えてから第三王子殿下に呼び出されてしまい、学院内の談話室で向かい合って座っている。私の膝の上には聖獣様がちょこんと座る。
昨日は突然のことで気に留めてもいなかったけれど、聖獣様が言うとおり確かに美形ではあるのかも。私は声の方が重要だけど。
「はぁ、確かに驚きました」
「貴女の聖獣がいろいろと変わっているもので、つい興奮してしまったのだ」
ああ、なるほど。
一般的に聖獣は動物の姿をしている。だけど、私の聖獣様はこの国には存在しない動物の姿をしているのだ。
「タヌキでもない。アライグマともまた違う」
ふさふさでしましまのしっぽ。
まるくてかわいらしい顔。
短いけれど熊のようなしっかりした足。
「殿下、私のパートナーである聖獣様は、レッサーパンダという動物の姿をしております」
「レッサーパンダ?」
小さく首をかしげる第三王子殿下。
「はい。はるか東方の国に住まう動物でございます。聖獣様が私のもとへいらした時、父が地元の図書館で調べてくれました。王都の中央図書館や王宮の図書室だったら、もっと詳しい資料があるかもしれません」
「なるほど、帰ったら王宮内の図書室で東方に関する資料を探してみよう」
小さくうなずく殿下。
「それから…その、無理を承知で頼みがあるんだが、貴女の聖獣をほんの少しでいいからさわらせてもらえないだろうか?」
返事をする前に疑問に思っていたことを聞いてみる。
「あの、つかぬことをおうかがいしますが、殿下にはパートナーである聖獣様はおられるのでしょうか?」
「いる。ドラゴンだ。父や兄達もドラゴンだな」
「えっ?!」
ドラゴンなどの幻獣は、膨大な魔力を有する者でないとパートナーになれないと言われている。
「心穏やかなとても良いドラゴンなのだが、いかんせん強すぎてな。普通の動物や聖獣は私のドラゴンの気配を察しただけで逃げ出してしまう。だから学院には連れてきていない」
普通、パートナーは常に一緒にいるものだが、そういう事情ではしかたないのだろう。
「そして、今みたいに連れていない時でも私自身にドラゴンの気配が残るらしく、動物や人の聖獣とふれあうことが出来ないのだ」
殿下がため息をつく。強いパートナーがいるのも、それなりに大変らしい。
「だが、貴女の聖獣はなぜか逃げ出すもことなく平然としている。その独特な姿も気になったが、私がそばにいても平気な理由が知りたかったのだ」
そして魔力持ちの中には、まれに聖獣をパートナーとしている者がいて、私もその1人だったりする。聖獣の方が人間を選ぶので、たぶん相性とかがあるのだろう。
聖獣は人間と意思疎通ができて、身体の大きさをある程度自在に変えられるが、特に何かしてくれるというわけではないらしい。パートナーである人間の危機には能力が発現するともいわれているが、そのような危機に遭遇したことがないので本当かどうかはよくわからない。
ただ、聖獣は荒んだ地に住むことはないという。聖獣が身近で暮らすのは平和の証でもあるのだ。だから大切にされている。
私は国境に近い高原にある牧場主の娘として生まれたが、生まれてすぐに聖獣様がやってきた。聖獣様は私にとって常に一緒にいる家族であり、友であり、時には師でもあった。
「昨日は初対面なのに突然おかしなことを言って驚かせてしまい、大変申し訳なかった」
翌日、授業を終えてから第三王子殿下に呼び出されてしまい、学院内の談話室で向かい合って座っている。私の膝の上には聖獣様がちょこんと座る。
昨日は突然のことで気に留めてもいなかったけれど、聖獣様が言うとおり確かに美形ではあるのかも。私は声の方が重要だけど。
「はぁ、確かに驚きました」
「貴女の聖獣がいろいろと変わっているもので、つい興奮してしまったのだ」
ああ、なるほど。
一般的に聖獣は動物の姿をしている。だけど、私の聖獣様はこの国には存在しない動物の姿をしているのだ。
「タヌキでもない。アライグマともまた違う」
ふさふさでしましまのしっぽ。
まるくてかわいらしい顔。
短いけれど熊のようなしっかりした足。
「殿下、私のパートナーである聖獣様は、レッサーパンダという動物の姿をしております」
「レッサーパンダ?」
小さく首をかしげる第三王子殿下。
「はい。はるか東方の国に住まう動物でございます。聖獣様が私のもとへいらした時、父が地元の図書館で調べてくれました。王都の中央図書館や王宮の図書室だったら、もっと詳しい資料があるかもしれません」
「なるほど、帰ったら王宮内の図書室で東方に関する資料を探してみよう」
小さくうなずく殿下。
「それから…その、無理を承知で頼みがあるんだが、貴女の聖獣をほんの少しでいいからさわらせてもらえないだろうか?」
返事をする前に疑問に思っていたことを聞いてみる。
「あの、つかぬことをおうかがいしますが、殿下にはパートナーである聖獣様はおられるのでしょうか?」
「いる。ドラゴンだ。父や兄達もドラゴンだな」
「えっ?!」
ドラゴンなどの幻獣は、膨大な魔力を有する者でないとパートナーになれないと言われている。
「心穏やかなとても良いドラゴンなのだが、いかんせん強すぎてな。普通の動物や聖獣は私のドラゴンの気配を察しただけで逃げ出してしまう。だから学院には連れてきていない」
普通、パートナーは常に一緒にいるものだが、そういう事情ではしかたないのだろう。
「そして、今みたいに連れていない時でも私自身にドラゴンの気配が残るらしく、動物や人の聖獣とふれあうことが出来ないのだ」
殿下がため息をつく。強いパートナーがいるのも、それなりに大変らしい。
「だが、貴女の聖獣はなぜか逃げ出すもことなく平然としている。その独特な姿も気になったが、私がそばにいても平気な理由が知りたかったのだ」
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